夜間飛行

茂木賛からスモールビジネスを目指す人への熱いメッセージ


建築士という仕事

2008年07月22日 [ 街づくり ]@sanmotegiをフォローする

 建築士という仕事、なかでも住宅や小規模公共施設を対象とする仕事は、これからの時代を牽引する重要なスモールビジネスの一つだと思う。

 「最高の建築士事務所をつくる方法」湯山重行著(エクスナレッジ)という本は、これから事務所を開こうとする建築士への丁寧なガイドブックだ。一級建築士である湯山氏ご自身の事務所設立体験を元に、独立の心構え、オフィスの立地からクライアントとの付き合い方、設計の進め方からスタッフの雇用、契約書の作り方まで、幅広く説明してあるので参考になることが多いと思う。

 これまで私は、安定成長時代の産業システムとして、

1. 多品種少量生産
2. 食の地産地消
3. 資源循環
4. 新技術

の四つを挙げ(「スモールビジネスの時代」)、それぞれについて、

1. 本の出版(「本づくりとスモールビジネス」)
2. 米の高付加価値化(「食生活の変化と自給率」)
3. レアメタルのリサイクル(「レアメタル」)
4. 新技術のカーブアウト(「カーブアウト」)

などを例にとって具体的に見てきた。

 当然ながら、四つの産業システムが複数関連したビジネスであれば、時代を牽引する力はより強くなる。たとえば先回の「里山ビジネス」は少なくとも、

1. 多品種少量生産(ワイナリー、野菜園)
2. 食の地産地消(ワイン、レストラン)
3. 資源循環(水、肥料など)

の三つが関連した、魅力的なビジネスモデルだ。住宅や小規模公共施設を対象とする建築士の仕事は、

1. 多品種少量生産(受注生産)
2. 資源循環(エネルギー)
3. 新技術(建材や工法など)

の三つが関連しており、これからの時代、重要度が増すに違いない。私のオフィスでも、建築士さんの起業を積極的にサポートしていきたい。

 湯山氏の本は、起業の方法や、起業時点で必要になる備品のリスト、コストの概算、税金のことまで詳しく説明してあるので、建築士さんだけでなく、新しくスモールビジネスを始めようと考えているその他の皆さんにも参考になると思う。

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里山ビジネス

2008年07月15日 [ 街づくり ]@sanmotegiをフォローする

 「集団の時間」のなかで、都市の時間 (t = interest)と自然の時間(t = ∞)について述べ、「社会問題の多くは、この2種類の時間の混同から起こる。」と書いたが、(都市と自然の)二つの時間が隣接するところに、興味深い空間や現象が生まれることも事実だ。

 たとえば庭園である。庭園は人が快適さを求めて作ったという面では都市の一部だが、花や樹木の生息という意味では自然の一部でもある。たとえば遺跡である。遺跡は長い年月を経てすでに自然の一部であるが、かろうじて都市の痕跡を残すことで過去の栄華を偲ばせる。昔から人はこのような、都市と自然の時間が明示的に隣接している場所に特別の興味を抱いてきた。

 しかし高度成長時代、人々は自然を捨てて都市へ集中した。遠くから運ばれる安い原材料に自らの生活を委ね、それを支えるために大きな組織が大量生産・輸送・消費システムを構築した。都市の時間(t = interest)が全てを覆い始め、自然はバランスを失って強い災害をもたらすようになった。「個」のレベルで言えば、身体を置き去りにして、頭のゲームに熱中した時代といえよう。

 「多品種少量生産、食品の地産地消、資源循環、新技術といった、安定成長時代の産業システムを牽引するのは、フレキシブルで、判断が早く、地域に密着したスモールビジネスなのではないだろうか。」(「スモールビジネスの時代」)と書いたのは、この二つの時間が隣接した空間や現象への復帰宣言でもある。「個」のレベルで言えば、頭で考えるだけではなく、身体を一緒に動かして何かを作り出していくということである。

 庭園と同じように、日本の「里山」も都市と自然の時間が明示的に隣接した空間だ。しかも里山は、単なる観賞用の庭園と違って、人の生活を支える資源循環システムでもある。「ヴィラデスト・ガーデンファーム・アンド・ワイナリー」のオーナー、エッセイストでもあり画家でもある玉村豊男氏の「里山ビジネス」(集英社新書)には、スモールビジネスとしての里山の可能性が余すところなく描かれている。

 ワイナリーという施設が意味するもの、生活観光の時代、拡大ではなく持続することの大切さ、野菜の地産地消、井戸水の利用、資源の循環システム、職人的仕事観、一人多芸、若者の育成などなど、時には失敗談などを交えながら、玉村氏はこの「小さな王国」について情熱的に語る。本文中、ワイナリーの設立趣意書から一部引用があるが、それは地域密着型スモールビジネスの精神を表して余蘊がない。

 「農業は続けることに意味がある。その土地を絶えず耕して、そこから恵みを受けながら、人も植物も生き続ける。それが農業であり、人間の暮らしである。ワイナリーを中心に地域に人が集い、遠方から人が訪ねて来、そこでつくられたワインや野菜や果物を媒介にして人間の輪ができあがる。それが来訪者を癒し、地域の人びとを力づけ、双方の生活の質を高めていくことにつながるだろう。
 ワイナリーじたいはとりたてて大きな利益を生むものではなくても、そうした、農業生産を基盤とした地域の永続的な発展と活性化を促すひとつの有効な装置として機能すれば、これほど大きな価値を実現できるものは他には類がないと思う」(77ページより)

 尚、「ヴィラデスト・ガーデンファーム・アンド・ワイナリー」については、「ヴィラデストワイナリーの手帖」山同敦子著(新潮社)にも詳しい。

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