夜間飛行

茂木賛からスモールビジネスを目指す人への熱いメッセージ


テキーラ・サンライズ

2009年09月01日 [ アート&レジャー ]@sanmotegiをフォローする

 「テキーラ・サンライズ」という映画を覚えている方はおられるだろうか。1988年のハリウッド作品で、監督はロバート・タウン(Robert Towne)、主演はメル・ギブソン(Mel Gibson)、ミシェル・ファイファー(Michelle Pheiffer)、カート・ラッセル(Kurt Russel)の三人、いまは亡きラウル・ジュリア(Raul Julia)も脇役で出演していた。先日DVDを借りて観たのだが、88年当時、まだフロリダにいた頃この作品を見たので懐かしかった。

 この映画のなかでメル・ギブソンが飲んでいたのが、映画タイトルでもある「テキーラ・サンライズ」である。“カクテルBook300”若松誠志監修(成美堂出版)によると、テキーラ・サンライズは、

(引用開始)

「口当たりがよく、フレッシュな味わいが楽しい」

カクテルの名のとおり、グラスの中へ朝焼けの空を流しこんだような美しい色調が特徴。

(引用終了)

ということで、その作り方は、

(引用開始)

テキーラ 45ml
オレンジ・ジュース 90ml
グレナデン・シロップ 2tsp
大型のグラスにキューブ・アイスとテキーラ、オレンジ・ジュースを入れ、ステアする。グレナデン・シロップを静かに沈める。チェリー、オレンジ・スライスを飾る。

(引用終了)
<同書132ページ>

とある。私もフロリダ時代よくテキーラ・サンライズを飲んだ。映画の舞台はロス・アンジェルス(Los Angeles)の海岸なのだが、夕刻、メル・ギブソンとカート・ラッセルが浜辺で語り合う場面では、キー・ウエストで見た壮麗な夕焼けを思い出した。

 ところで、同書テキーラ・サンライズの項には、

(引用開始)

1972年にロックバンド「ローリング・ストーンズ」のミック・ジャガーがアメリカ・ツアーの間じゅう愛飲したところから有名になったカクテル。

(引用終了)
<同書132ページ>

ともある。ミック・ジャガーといえば、最近、映画「シャイン・ア・ライト」のDVDがリリースされた。オープニングの《ジャンピング・ジャック・フラッシュ》から最後の《サティスファクション》まで、ミックは息も吐かせぬ熱唱で観客を魅了する。以前「五つ星」で紹介した中山康樹氏は、著書“ミック・ジャガーは60歳で何を歌ったか”(幻冬舎新書)のなかで、

(引用開始)

 ミック・ジャガーがいる限り、ストーンズが「世界のロックンロール・バンド」と名乗ることは許されるべきなのだろうと思う。ミックの動きには、声には、たしかにそう実感させるだけのものがある。その背景には、「ミック・ジャガー」という職業を選択した男の覚悟と不断の努力があるのだろう。

(引用終了)
<同書26ページ>

と書いておられる。

 晩夏の宵、テキーラで「政権交代」を祝し、そのあとゆっくりメル・ギブソンやストーンズのDVDを観るというのはいかがだろうか。

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スロッピー・ジョーズ

2009年06月23日 [ アート&レジャー ]@sanmotegiをフォローする

 “ヘミングウェイの酒”オキ・シロー著(河出書房新社)を読んでいたら、フロリダのキー・ウエストにある「スロッピー・ジョーズ」という名の酒場のことが書いてあった。同書は、ヘミングウェイに纏わる名酒の数々を、唐仁原教久氏の挿絵とともに綴った素敵な本だ。その帯には「大人の男たちが憧れ続ける永遠のアイコン、ヘミングウェイの作品と人生を彩った名酒の数々をオキ・シローが語り尽くす、味わい深い一冊。」とある。「スロッピー・ジョーズ」について書かれた部分から引用しよう。

(引用開始)

 ヘミングウェイがパリでの生活を終え、二番目の妻ポーリンとアメリカへ帰国したのは1928年、二十九歳の時のこと。その途中、ほんの数日のつもりで立ち寄ったのがこのキー・ウエストだった。(中略)
 数日間の滞在予定が数週間に伸び、結局十一年間もヘミングウェイはこのキー・ウエストで暮らす。その最大の要因は、シルバー・スリッパーという名の酒場で、土地の男たちと親交を持ったことにあった。中でも、彼の後半生を方向付けた「海の素晴らしさ」を教えてくれた男、スロッピー・ジョーことジョー・ラッセルとの出会いは決定的だったようだ。

(引用終了)
<同書114−115ページ>

 シルバー・スリッパーという名の酒場は、やがてそのスロッピー・ジョーが買い取り、店の名前も「スロッピー・ジョーズ」となったという。

(引用開始)

 パリ時代とはまるで異質の酒場。ここでヘミングウェイはもっぱらスコッチのソーダ割りを飲み、土地の男たちと親しんだ。文学とは全く無縁の男たち。そして海。愛艇ピラール号を購入したのもこの時期なら、三番目の妻マーサとであったのもこの酒場でだった。キー・ウエストに住まなければ、キューバに渡ることも、名作『老人と海』が生まれることも無かったかもしれない。まさに人生の分岐点。その意味でスロッピー・ジョーの店は、ヘミングウェイにとってどこよりも特筆すべき酒場だったと思う。
 その後、スロッピー・ジョーズは現在のデュバル通りに移転。ヘミングウェイが愛したバーとして、大繁盛を続けている。

(引用終了)
<同書116ページ>

 さて、“エリアガイド/135 アトランタ・ニューオーリンズ・マイアミ”津神久三著(旺文社)を見ると、キー・ウエストにある「キャプテン・トニーズ・サルーン」という名のバーについて、

(引用開始)

 フロリダ州最古のバーの一つ。「パパ」ことヘミングウェイとスロッピー・ジョーとの間の親交は、文学好きの人ならよく知る話。2人はこのスロッピー・ジョーの店で、共に飲み、語り、時には腕ずもうに興じた。ジョーの語る気高くも荒々しき海の話が、ヘミングウェイの創作の心を大いに刺激したともいわれる。この店をジョーから引き継いだのがトニー船長、ということからこの名がある。名刺がベタベタ貼られた壁や、バラック然とした粗野なつくりを見ると、いかにもヘミングウェイ好み――の気持ちにもなる。事実、「パパ」が3番目の妻マーサと出会ったところだ。(後略)

(引用終了)
<同書189ページ>

とある。私もフロリダで暮らしていた頃、幾度かキー・ウエストへ遊びに行ったことがあるが、当地で、ヘミングウェイとスロッピー・ジョーが良く飲み明かしたのは「スロッピー・ジョーズ」ではなく別の酒場だった、と聞いたことがある。

 “エリアガイド/135 アトランタ・ニューオーリンズ・マイアミ”には、その「スロッピー・ジョーズ」のことも載っている。

(引用開始)

(前略)伝説化された人物にかかわりある場所の、本家争いはどこにもあるようだ。この店の奥の部屋が、実は「パパ」ヘミングウェイとジョーが飲みあかしたところだという。古い写真、「パパ」がつりあげたという魚の剥製と、ヘミングウェイだらけの店。店がミジット・バーという名前だった頃、ヘミングウェイがよく来たのは確かで、ここも彼のごひいきの一軒だったのだろう。(後略)

(引用終了)
<同書190ページ>

ヘミングウェイとスロッピー・ジョーは、両方のバーでよく飲み明かしていたのだろう。としても、ヘッミングウェイが三番目の妻マーサと出逢ったのは、果たして何処だったのだろうか。私はどちらのバーへも行かなかったけれど、街の見物は充分に楽しんだ。特に、岸壁から眺めたアメリカ最南端の夕焼けは忘れがたい。

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庭園について

2009年05月25日 [ アート&レジャー ]@sanmotegiをフォローする

 休日の朝、家内と犬の散歩をしたあと、一人で庭の草木に水を遣る。春先の庭は、さまざまな花が咲き乱れて美しい。

庭園について

 永井壮吉(号荷風)に関する本、“朝寝の荷風” 持田叙子著(人文書院)から引用しよう。

(引用開始)

 永井荷風の文学の一つの鍵は、庭であり、そこに咲き薫る花々である。今、もっぱら二十代から四十代にかけての彼の日記・小説・エッセイを読みすすめているところなのだが、そこにはなんと魅惑的な庭々が登場することか。しかもそれらはただ美しく光り輝き、彼になぐさめと癒しをもたらしているばかりではない。そこにはありありと荷風のひそかな慟哭や苦しみ悩みも刻み込まれ、樹々も花々も彼とともに息づく。
 親孝行は人間の原点、家を興し子孫をなすことが当然の明治の世において、自身の感情や完成を最優先し独身を貫く荷風は、ある意味で怪物(モンスター)だ。彼の庭の一面は、その怪物化を助長し、世間の既存の概念の侵入を防ぐ楯であり、城郭である。けれど現実にはその城郭の、なんと脆く儚いことか。荷風の日記には、樹々や花々で構成されるその楯があっけなく崩壊し、怪物の自分がひとりで巷に放り出される哀しみの涙もつづられている。
 これからそっと荷風の心の小径をたどり、彼が大切に育てる庭をのぞいてみたい。純白の花が咲き乱れ、樹々に風渡り蜜のように甘く匂うその秘密の花園で私たちは、少女のように無垢でたおやかな荷風に出逢うかもしれない。あるいは血まみれになって抗いもがく怪物の荷風に逢うかもしれない。とまれまず一歩、しずかに小径を踏み出そう。(後略)

(引用終了)
<同書67−68ページ>

 私も庭が好きだ。以前「里山ビジネス」のなかで、

(引用開始)

 たとえば庭園である。庭園は人が快適さを求めて作ったという面では都市の一部だが、花や樹木の生息という意味では自然の一部でもある。(後略)

(引用終了)

と書いたが、先回「楕円形と斜線分」で描いた図上、庭の属する領域を緑色で表してみると、

庭園の図

となる。「楕円形と斜線分」のなかで、

(引用開始)

基本的に「都市の働き」は左側、「自然の働き」は右側だが、楕円内部の斜線によって、「庭園」など都市の機能に組み込まれた自然の一部が「公(public)」の領域に属し(左上)、「廃墟」など自然に還った都市の一部が「私(private)」の領域に属している(右下)ことを現している。

(引用終了)

と書いたのはこのことを言葉で表現したものだ。庭園は、人々の「心の城郭」として、都市と自然との境界に存在している。

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サラサーテのことなど

2009年05月11日 [ アート&レジャー ]@sanmotegiをフォローする

 以前「エッジ・エフェクト」のなかで紹介したNHK-BSの「名曲探偵アマデウス」というシリーズ番組は、その後も、

サン・サーンス「動物の謝肉祭」
ドビュッシー「牧神の午後への前奏曲」
リヒャルト・シュトラウス「ティルオイゲンスピーゲルの愉快ないたずら」
シューベルト「さすらい人幻想曲」
ヴィヴァルディ「四季」
ショパン「英雄」
モーツァルト「交響曲第41番ジュピター」

と続き、先日はサラサーテの「ツィゴイネルワイゼン」だった。5123(ソドレミ)の魔術、ロマ音階、トリルとグリッサンドによる泣きの調べ、ハイポジションの多用、チャルダーシュのラッシューとフリッシュ、左手による高速のピッチカートなど、この曲の魅力が余すところなく紹介され楽しかった。

 その前のモーツァルト「交響曲第41番ジュピター」も面白かった。特に、第四楽章でジュピター音型(ドレファミ)が波のように重なり合い、変形され、最後に第一楽章から出来てくる5つのモチーフが、チェロ・ビオラ・バイオリン1・バイオリン2・コントラバスの五つの楽器で同時に奏でられるコーダの部分は美しい。モーツァルトはこれまでもよく聴いていたけれど、こうして解説を受けながらだと、作曲や演奏の技術的なことがよく分かる。

 ショパンの「英雄」は、ショパンが祖国ポーランドの独立を祈願しながら書いたというポロネーズで、最後にヘ短調から変イ長調に転調するところがミソ。ヴィヴァルディ「四季」は、多様な演奏が可能なバロックの名曲。シューベルト「さすらい人幻想曲」は、遠隔転調によるイ長調から変ホ長調への“突然光が差し込むような驚きの演出”がロマン派らしい、などなど、西洋近代音楽の薀蓄を知ることが出来る。天出臼夫と響カノンの二人も好調で、番組ごとに異なった多彩なゲストとの遣り取りも楽しい。興味のある方は、そのうち再放送があるだろうから、見逃さないようにしていただきたい。

 今回サラサーテ「ツィゴイネルワイゼン」の番組タイトルは“恋するアラフォー”とやらで、ゲスト・クライアント役には、テレビ朝日の「相棒」で亀山薫の妻美和子役だった鈴木砂羽さんが出演した。「相棒」シリーズの面白さの一端は多彩な脇役陣にあるのだが、先シリーズ途中で亀山が「特命係り」からいなくなり、鈴木さんの出番もなくなってしまったようで寂しい気がする。

 さて、サラサーテの「ツィゴイネルワイゼン」に関して、作家内田栄造(号百閨jに“サラサーテの盤”という短編小説がある。私は、学生時代に“日本の文学34 内田百閨E牧野信一・稲垣足穂”(中央公論社)という文学全集シリーズでこれを読んだ。今回読み返してみたが、この短編はやはり「恐怖の名作」の名に相応しい。

 この作品を「恐怖の名作」と呼んだのは、同文学全集シリーズの編集委員でもあり、同書の解説を受け持った平岡公威(ペンネーム三島由紀夫)である。その解説から引用しよう。

(引用開始)

 もし現代、文章というものが生きているとしたら、ほんの数人の作家にそれを見るだけだが、随一の文章家ということになれば、内田百闔≠挙げなければならない。たとえば「磯辺の松」一遍を読んでも、洗煉の極み、ニュアンスの極、しかも少しも繊弱なところのない、墨痕鮮やかな文章のお手本に触れることができよう。(後略)

(引用終了)

 サラサーテを巡って名曲探偵から内田百閧ワで書いてきたが、私の手元にあるこの曲の入ったCDは、“ツィゴイネルワイゼン〜パッション 諏訪内晶子(ヴァイオリン)、ブタペスト祝祭管弦楽団、指揮:イヴァン・フィッシャー”(Philips)である。今度、新しく買った車の中でじっくりと聴いてみるとしよう。

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崖の上のPonyo

2008年10月21日 [ アート&レジャー ]@sanmotegiをフォローする

 映画についても書いていこう。この夏観た、宮崎駿監督作品「崖の上のポニョ」(スタジオジブリ製作)はとても楽しい映画だった。特に、初めの方に出てくる海底の場面や、主人公のポニョが大きな波に乗って宗介の家へ向かうところ、家での食事、洪水のあとポニョと宗介がポンポン船で母親リサを探しに行くところなど、心に残るシーンが沢山あった。久石譲氏の音楽も可愛らしい。

 映画パンフレットに「海が生き物のようにまるごと動画になったスリリングな作品」と書いてあったが、宮崎監督は今回CGを一切使わず全場面を手で書き起こしたとのこと、迫力の在る場面の数々はその成果なのだろう。まずは傑作の完成を喜びたい。

 宮崎駿監督は、自然描写と、自然と共生する主人公を描くのが上手い。なかでも、「となりのトトロ」や「千と千尋の神隠し」、「もののけ姫」や「耳をすませば」(脚本・絵コンテ・製作プロデューサー担当)など、日本の自然と女の子を主人公とした作品はどれも素晴らしい。先回「公(public)と私(private)」のなかで、日本語的発想には、豊かな自然環境を守る力が育まれていると書いたけれど、その意味で、宮崎氏は日本語的発想に優れた監督である。だから観客は、作品の構成やストーリーの整合などよりも、その豊潤な映像と音楽に浸れば宜しい。ポニョや宗介のちょっとした動きや表情、舞台となる新浦の街や保育園などの建物など、行き届いたディテールも目を楽しませてくれる。

 この映画を製作したのは云わずと知れた株式会社「スタジオジブリ」である。この会社は、2005年に株式会社徳間書店から分離独立したが、それ以前より徳間書店の子会社として運営を続け、2001年に「三鷹の森ジブリ美術館」会館、2008年に保育園を設立、2009年にはアニメーター養成所を開設予定など、本業の映画作成以外でもユニークな活動を展開している。スタジオジブリ・代表取締役プロデューサーの鈴木敏夫氏は、その著書「仕事道楽」(岩波新書)のなかで、会社について次のように書いておられる。

『 原点は何なのか?
 もともとジブリは、宮崎駿・高畑勲の映画を作るために立ち上げた会社です。やりたいことをやるために、会社を作った。でも、一方でジブリ作品がこれだけの実績を作ってくると新しい可能性が見えてくるし、また一方で会社として動きはじめる経営という問題がいやおうなく浮上してくる。このときどう考えるか?
 ぼくの答えは簡単です。「いい作品を作るために、会社を活用できるうちは活用しましょう」。これに尽きます。だから、そのために全力を尽くしたい。会社を大きくすることはまったく興味がないんです。「好きな映画を作って、ちょぼちょぼに回収できて、息長くやれれば幸せ」と思っていたし、それはいまでも変わりません。理想は「腕のいい中小企業」です。(後略)』(同書167−168ページ)

 宮崎駿・高畑勲という日本を代表する二人のアニメ監督と、優れたプロデューサーを持ち、起業の「理念と目的」が明確な「スタジオジブリ」は、アート業界における日本最強のスモールビジネスかもしれない。

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五つ星

2008年08月12日 [ アート&レジャー ]@sanmotegiをフォローする

 音楽についても書いていこう。この一年ほどジョギング中にiPodで聴く曲はサザンオールスターズ(サザン)や桑田佳祐(クワタ)のものが多い。サザンはこの8月をもって活動を無期限に停止するという。「クワタを聴け!」中山康樹著(集英社新書)は、サザンとクワタの曲を全て(2007年1月時点まで)評論・採点している愉しい本だが、その中からサザンの曲だけを取り出して、五つ星(最高点)に選ばれたものを以下に並べてみよう。

「思い過ごしも恋のうち」(10ナンバーズ・からっと)
「ふたりだけのパーティー〜Tiny Bubbles(Type-A)」(タイニー・バブルス)
「私はピアノ」(タイニー・バブルス)
「C調言葉にご用心」(タイニー・バブルス)
「マチルダBABY」(綺麗)
「ミス・ブランニュー・デイ(MISS BRAND-NEW DAY)」(人気者で行こう)
「夕方Hold On Me」(人気者で行こう)
「Melody(メロディー)」(KAMAKURA)
「Bye Bye My Love(U are the one)」(KAMAKURA)
「逢いたくなった時に君はここにいない」(Southern All Stars)
「希望の轍」(稲村ジェーン)
「真夏の果実」(稲村ジェーン)
「BOON BOON BOON〜OUR LOVE[MEDLEY]」(世に万葉の花が咲くなり)
「せつない胸に風が吹いてた」(世に万葉の花が咲くなり)
「HAIR」(世に万葉の花が咲くなり)
「涙の海で抱かれたい〜SEA OF LOVE〜」(キラーストリート)
「BOHBO No.5」(キラーストリート)
「ナチカサヌ恋歌<Live at BUDOKAN>」(シングル「真夏の果実」)

成程。アルバムとしては、全14作品中、3作目の(タイニー・バブルス)と11作目の(世に万葉の花が咲くなり)から3曲、(人気者で行こう)、(KAMAKURA)、(稲村ジェーン)、(キラーストリート)からそれぞれ2曲、(10ナンバーズ・からっと)、(綺麗)、(Southern All Stars)から1曲ずつ五つ星の曲が選ばれている。五つ星が選ばれなかったアルバムは、最初の(熱い胸さわぎ)、4作目の(ステレオ太陽族)、次の(NUDE MAN)、12作目の(Young Love)、13作目の(さくら)だが、

「勝手にシンドバッド」(熱い胸さわぎ)
「栞(しおり)のテーマ」(ステレオ太陽族)
「匂艶(にじいろ)The Night Club」(NUDE MAN)
「愛の言霊(ことだま)〜Spiritual Message〜」(Young Love)
「BLUE HEAVEN」(さくら)

などなど、これらのアルバムにも良い曲は少なくない。また、

「いとしのエリー」(10ナンバーズ・からっと)
「Oh!クラウディア」(NUDE MAN)
「鎌倉物語」(KAMAKURA)
「YOU」(Southern All Stars)
「涙のキッス」(世に万葉の花が咲くなり)
「あなただけを〜Summer Heartbreak〜」(Young Love)
「TSUNAMI」(シングル「TSUNAMI」)

などのヒット曲も、中山氏の基準では五つ星には選ばれなかった。中山氏のこの本は、音楽家としてのクワタと、グループとしてのサザンへの思いに溢れている。だからこそ氏は、音楽的に最高と思えるものだけに五つ星を付けたのだろう。

 サザンの30年間(1978−2008)は、私のアメリカ13年(1979−1992)、日本16年(1992−2008)と重なり、様々な想い出とつながっている。そういう想い出を下敷きにして、自分にとっての「五つ星」を選ぶのも楽しい筈だ。私が今この五つ星リストに追加したい曲はというと、

「涙のアベニュー」(タイニー・バブルス)
「夏をあきらめて」(NUDE MAN)
「NEVER FALL IN LOVE AGAIN」(綺麗)
「さよならベイビー」(Southern All Stars)
「LONELY WOMAN」(キラーストリート)
「八月の詩(セレナード)」(キラーストリート)

などだが、皆さんの場合はいかがだろうか。

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コーヒーハンター

2008年06月24日 [ アート&レジャー ]@sanmotegiをフォローする

 コーヒーや紅茶、ワインや日本酒、ウィスキーなどの本を読むのは楽しい。このブログでも、ときどきそういった話題で書いてみよう。

 「コーヒーハンター」川島良彰著(平凡社)は、コーヒーに賭ける著者の情熱物語だ。

 『世界一おいしいコーヒーが復活。インド洋に浮かぶレユニオン島で、ルイ十五世が愛した幻のコーヒー「ブルボン・ポワントゥ」の香りが、21世紀によみがえる。世界中をめぐってコーヒーづくりに携わった日本人矜持と情熱により、絶滅の淵から救われたコーヒーの再生と復活の物語。それは、「サステイナブル・コーヒー」のあり方を考えさせるコーヒー環境論でもある。』(本の「帯」の紹介文)

 コーヒーハンターとは、「常に新しい産地、最新の品種・栽培・精選加工の情報を求めて生産国を歩き、今回のように失われた品種の再開発をする僕のような人間」(同書167ページ)たちのことを指すという。川島氏は、高校を卒業後すぐ、エルサルバドルへ留学しコーヒーについて学んだ。内戦をくぐり抜けながら勉学を続け、やがて日本のコーヒー会社に就職、ジャマイカ、ハワイ、スマトラなどでコーヒーを作り続ける。しかし、エルサルバドルで学んだレユニオン島の「ブルボン・ポワントゥ」という幻のコーヒーのことが忘れられず、ついにレユニオン島に渡って、現地の人々と一緒にそのコーヒーを蘇らせたのである。

 「ブルボン・ポワントゥ」の再発見から、生産に漕ぎ着けるまでの努力、カフェ・レユニオン(レユニオン島コーヒー生産者組合)と川島氏との心温まる信頼関係、出荷から復活セレモニーまでのストーリーはとても感動的だ。川島氏は留学以来2003年に帰任するまで、二十年以上ずっと海外で仕事を続けてこられたので、海外と日本とのコミュニケーション・ギャップをどう埋めるかということに精通しているに違いない。私も川島氏には及ばないが十三年間アメリカに赴任していたからその苦労がよく分かる。
 
 この本は、コーヒーが好きな人なら誰もが楽しめるだろう。私も毎朝の一杯を欠かさないが、アラビカ種・カネフェラ種といった豆の分類、ジャマイカのブルーマウンテンやハワイ・コナなどの産地状況、栽培から焙煎にいたる製造工程など、コーヒーに関する一般的な情報も豊富だ。

 巻末の著者略歴によると、川島氏は26年勤めたコーヒー会社を昨年退職し、株式会社グランクルーカフェを設立(取締役社長)したとある。

 「これからの人生は、僕の考えに賛同してくれる生産者と一緒に、最高級のスーパー・プレミアム・コーヒーの開発に費やします。これまで存在しなかった最高品質のコーヒーを追い求め、それを市場に紹介し、コーヒーをワインの域にまで高めるのが目標です。そしてコーヒー愛飲家の方々に、もっともっとコーヒーを楽しんでいただけたらと思います。また、僕を育ててくれた生産国への恩返しとして、微力ながらサステイナブル・コーヒーの考え方を消費国で根付かせる努力を続けます。つまり地球環境保護の良きパートナーであるコーヒー栽培を通して、生物多様性の保全を推進し、生産に関わる人々の労働や生活環境の向上を目指す活動です。新たに団体を作るのではなく、すでに活動をはじめている団体へのコーヒー栽培や流通のへのアドバイス、消費者に向けての情報発信、サステイナブルについて一緒に考えるような活動も始めます。」(「あとがき」より)

 この時代、氏も新たな一歩を、スモールビジネスとしてスタートさせた訳だが、今後のエネルギーに溢れたご活躍に期待したい。

コーヒーハンター―幻のブルボン・ポワントゥ復活

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Before the Flight

2008年05月13日 [ アート&レジャー ]@sanmotegiをフォローする

 以前「螺旋階段」のなかで、「螺旋階段の面白いところは、中心の周りを回っているうちに空間を上下してしまうことだろう。勿論回っているといっても階段を上り下りしているわけだから、空間を上下するのは当たり前なのだが、狭いところをグルグル回っているだけで、空間を移動できてしまうような錯覚があって楽しいのだ。」と書いた。

 螺旋階段は、空間として面白いだけでなく造形として美しい。なぜ螺旋階段を我々は美しいと感じるのか。空間を上下に移動するのは重力に対して垂直方向の動きである。垂直方向の動きのうちでも、特に重力に逆らう上昇運動の中にこそ「美」が生まれる、と私は思っている。

 人間は、常に重力によって大地に引き寄せられているので、それに逆らうものへ強い憧れを抱くようだ。走る男、空へ舞い上がる鳥、天を向いた植物の穂先、スポーツ・カーの流線型など、重力から逃れようとする運動や形態に対して、人間は本能的に美を感じ取る。

 人間はまた、言葉によって過去の記憶を手繰り寄せて美を味わうことも出来る。たとえば、「はる霞、たなびきにけり久方の、月の桂も花やさくらむ」(紀貫之)という歌に、美しさを感ずる人も多いだろう。

 「美」には大きく分けて二つの範疇があるようだ。二つは重なる部分も多いし、はっきりと分けることも難しいが、ひとつは、螺旋階段のように重力に逆らう運動に基づき、我々の気分を生き生きとさせてくれる感覚的な美しさであり、もう一つは、脳の中で構成される、過去の記憶に基づく郷愁的な美しさだ。それ自体に動きはないものの、優れた建築、庭園、彫刻、宝石などは、重力を一旦吾身に引き受けた上で、次の飛躍を内に秘めた「力」の表現であり、大きくは前者の範疇に入ると思われる。

 さて、三年前の今頃、私は神奈川県立近代美術館葉山で「ハンス・アルプ展」を見た。ハンス・アルプは、1886年にストラスブールに生まれた詩人・彫刻家で、ダダイズムの創始に関わった人だ。そのときの展示作品の中に「Before the Flight」と題された、高さ79cmの白大理石の優雅な彫刻があり、私は作品もさることながら、その題名に興味を持った。

Before the Flight

 作品(写真本右頁)はまさに「それ自体に動きはないものの、重力を一旦引き受けた上で次の飛躍を内に秘めた力の表現」そのもので、「Before the Flight」という題名がまさに相応しいと思ったのである。

 美術館は、「一色海岸と三ヶ岡山に挟まれた美しい自然環境のなかに位置している。延べ床面積七千百十一平方メートル、展示室総面積千二百九十七平方メートル、地上二階の鉄筋コンクリート造りの建物である。展示室のあるメーン棟と、講堂、レストラン、ショップのある別棟の、大小ふたつのL字型の建物が中庭を囲み、恵まれた周囲の景色を積極的に内部に取り込むために中庭に面して設けられたガラス張りの展示ロビーからは、緑豊かな三ヶ岡山を望むことができる。」(東京新聞2/13/2004より)建物にきらびやかなファザードなどは無く、それ自体が自然に溶け込むことを眼目としているようだった。重力に逆らう力の表現は、天へ一直線に駆け上る類の男性的な表現もあれば、緩やかなカーブを描きながら自然との共生を目指すような女性的な表現もあるのだろう。

 ところで、展示会で見た「Before the Flight」の日本語の題名は、「逃亡前」というのであった。「Flight」にはたしかに「逃亡」という意味もあるが、私の「反重力美学説」に基づいて考えるならば、この場合は「逃亡前」ではなく、「飛翔前」とでも訳すべきではなかっただろうか。

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螺旋階段

2008年02月15日 [ アート&レジャー ]@sanmotegiをフォローする

 上質な建築物を見学したり写真集や図面を見たりするのは楽しい。意外な発見があればなおのこと良い。なかでも博物館や美術館は、建物と同時にその展示品も楽しめるので、面白そうな企画展があれば時間を見つけて出掛けるようにしている。

 去年の秋、車で箱根の「ポーラ美術館」(日建建設/安田幸一設計)を訪れた。ガラスを多用した建物が紅葉した林に溶け込んだ様子や、「モネと画家たちのたび」と題された印象派の企画展も素敵だったが、意外な発見として、入り口のところから下に延びている、使われていない螺旋階段に気付いた。

螺旋階段

 そこで、何故こんな小さな螺旋階段があるのか考えてみた。緊急避難用だろうか?建物は、入り口からすぐのところに受付へ降りるエスカレーターがあるから、たとえ建物全体が停電したとしても、止まったエスカレーターを階段代わりに使えばよい。だから避難用とは思えない。荷物の搬入用だろうか?そうとしては階段の横幅が狭すぎる。むしろ実用ではなく、地下一階ロビーの光を透過するガラス壁同様、モダンな美術館の装飾の一つとして作られたものだろうか?そうだとすると設置されている場所が悪い。それとも単なる関係者の趣味だろうか?結局分からずじまいだが、設置経緯をご存知の方がいれば教えていただきたいものだ。

 螺旋階段の面白いところは、中心の周りを回っているうちに空間を上下してしまうことだろう。勿論回っているといっても階段を上り下りしているわけだから、空間を上下するのは当たり前なのだが、狭いところをグルグル回っているだけで、空間を移動できてしまうような錯覚があって楽しいのだ。「同時並行読書法」であげた彫刻家イサム・ノグチの、「ブッラク・スライド・マントラ」という札幌大通公園にある作品は、階段と滑り台がらせん状に組み合わさった遊具で、子供たちは螺旋の生み出す不思議な周期運動を体感できる。

 さて、螺旋というかたちで有名なのはDNAの二重構造だが、もうひとつ思い浮かぶのが「音階」である。螺旋と音階の関係については、「音律と音階の科学」小方厚著(講談社ブルーバックス)に詳しい。また、ポーラ美術館の螺旋階段は円柱状だが、純正律で音階を極座標上に表現すると、裾広がりの渦になるという。そういえば洋館の螺旋階段の多くは、そのような裾広がりの優雅な形をしている。

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posted by 茂木賛 at 21:30 | Permalink | Comment(0) | アート&レジャー

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