友人(K-Kodama君)とのバンド
「HUSHBYRD」のサイトをご覧いただくと分かるけれど、我々の曲には英語(歌詞)のものが少なくない。その際使う不定冠詞a/anと定冠詞theについて、用法の骨格を整理しておきたい。ビジネスにも役立つと思う。参照するのは、『THEがよくわかる本』ランガーメール編集部著(共栄図書株式会社)と『aとtheの物語』同著(同社)の2冊。
名詞には、可算名詞と不可算名詞とがある。不可算名詞には固有名詞も含まれるがこれは後回しにして、まずは可算名詞と一般不可算名詞に限って話を進めたい。
(1)A whale is an animal.
(2)The whale is an aminmal.
(3)Whales are animals.
この三つの文は日本語に訳すとどれも「クジラは動物です」となってしまう。このブログでは複眼主義と称して、
A Resource Planning−英語的発想−主格中心
a 脳(大脳新皮質)の働き−「公(Public)」
B Process Technology−日本語的発想−環境中心
b 身体(大脳旧皮質及び脳幹)の働き−「私(Private)」
という対比を述べているが、冠詞というものは、対象と向き合った主格が脳(大脳新皮質)で判断する記号(的な言葉)だから、環境と一体化する日本語的発想からは往々にして抜け落ちてしまうのだ。
常に冠詞を気に留めている英語的発想で、上の三つがどのように区別されるのか見てみよう。まず(1)から。これは彼らにとって最もわかりやすい言い方で(単純な単数形の文体)、特に幼児と話すときなどに使われる。同じものがたくさんある中から幼児にその一つ(一頭)をピックアップして説明するという感じ。a/an suggests one of manyの用法である。次に(3)をみると、無冠詞の複数形になっているが、話の内容が少し大人向きの場合には複数形が用いられる。この用法は、
Whales are sociable animals.
といったちょっと高度な説明文の方が本当はふさわしい。a/an suggests one of manyにおけるmanyの場合の用法。では(2)はどうか。theは本来the implies one and onlyということで、たくさんある中の特別な一つ(または複数)を指す場合に使われる。これを(4)として加えると、たとえば、
(4)The whales there are big.
「あそこの(あの海域の)クジラは大きい」といった場合。しかし(2)はそうではなく、その一つが皆を代表するthe one representing allという意味で用いられている。これを「代表のthe」という。
以上、それぞれの用法を整理すると、
(1)a/an suggests one of many
(2)the one representing all
(3)many
(4)the implies one and only
ということになる。一般不可算名詞では(1)と(3)はないが、(2)と(4)は基本的に同じだ。
(2)I am playing the jazz.
(4)I like the jazz played by Miles Davis.
ここで日本人に特に難しいのは(2)の用法だろう。(4)は日本語でいう「その」とか「あの」だけれど、(2)は、目に見えない頭の中で考える仮想上の存在(実在)である。これは日本語的発想にはない。
The teacher needs endless patience.
I am learning the tango.
Monday is the worst day of the week.
He plays the piano.
などなど。一方(4)は目の前の存在で、
The teacher in our class is from Scotland.
Would you mind opening the window?
Go and stand in the corner.
など。日本語の「その」、「あの」という意味。より分かりにくいのは二つの用法が混ざる場合だ。たとえば、
I learned how to hold the bat.
Hold the bat this way.
といった場合、上は(2)の用法だが、下は目の前にあるバットだから(4)だ。状況によりtheは変身する。
さらにややこしい習慣として、英語的発想では、親しみ(familiarity)や近道(short-cut)で、(2)の用法のtheを抜いてしまうことがある。
He plays the piano.
He plays piano.
会話などでは往々にして下の言い方をする。
He plays tennis.
これはHe plays the game of tennis.の略。さきほど一般不可算名詞のところで「基本的に」と書き加えたのも、(2)の用法の場合waterとかairとか一般的すぎる言葉には、親しみ(familiarity)で習慣的にtheを付けずに無冠詞でいくからだ。
(2)においてtheを付けるか付けないかは文脈次第(it depends on the context.)といえる。強調したり文の格調を高めたり(theを付ける)、そうしなかったり(付けない)。日本人にはわかりにくいが、それでもこの代表のtheは面白い。とくに不可算名詞の場合には、英語的発想特有の考え方がふんだんに出てくる。LifeとかFaithとかGodとか。ランガーメール編集部氏は「この代表のtheがあるから英語が魅力的な言語になるのである。このtheがなかったら英語は絶対に国際語にはなれない。」と書いておられる(『aとtheの物語』53ページ)。詳細はこの2冊をお読みいただきたい。
最後に、不可算名詞のうちの固有名詞(本などのタイトルや地名・国名など)について見ていこう。
<本などのタイトル>
The Magician(S・モーム)
Death on the Nile(A・クリスティー)
A Tale fo Two Cities(C・ディケンズ)
The Picture of Dorian Gray(O・ワイルド)
タイトルはキャッチコピーのようなものだから一般の文章とは扱いが違う。a/anで始めるか、theではじめるか、無冠にするか、要点はタイトルにいかに人々の関心を引き付けるかにある。突然Deathと出てくるとそこに一層の緊迫感が生まれる。The TaleではなくA Taleとくると、二都に関する物語は数あれどこれは皆さん今まで読んだことも聞いたこともない物語ですよ、といったニュアンスが出てくる。
<地名・国名>
地名には冠詞を付けない。
Lake Victoria
Mount Everest
しかしその一帯を指す場合はtheをつける。
the Strand
the Lake District
the Lizard Point
この場合のtheは広い地域を一つにまとめる働き(one and only +α)をする。
国名にはふつう冠詞はつけないが、
the United Kingdom
the United States
など連合国や合衆(州)国の場合はthe(only ones)が付く。
<建造物>はどうか。
London Zoo
Backingham Palace
The London Museum
The Golden Bridge
住人にとって身近に感じる建造物は地名と同じような扱いでtheが付かない。しかし博物館など身近でない場合やとくに他と区別したい建造物にはthe(one and only)を付ける。
以上長々と書いてきたけれど、用法の骨格を理解していただけただろうか。疑問があればいつでも気軽にコメントをお寄せ下さい。私は英語の先生ではないから判断がつかない場合も出てくるかもしれないけれど、それは皆で考えましょう。