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ヤンキーとオタク II 

2014年06月17日 [ 公と私論 ]@sanmotegiをフォローする

<公と私論>

 先日「ヤンキーとオタク」の項で、

(引用開始)

 「出自と志向」による分析によって、さらに屈折した人の精神パターン、特定の分野にフォーカスした行動分析や、志向の様式変化追跡(アルカイック→クラシック→マニエリスム→バロック→グロテスク)なども可能になると思われる。また項を改めて論じてみたい。

(引用終了)

と書いたが、まず「屈折した人の精神パターン」について説明してみよう。ヤンキーやオタクについては、先日の項をお読みいただきたい。

 建築家や経営者など、集団を束ねる仕事の人や、作家や役者など、仕事で個性を際立たせたい人は、自分の出自とは反対の性性を自家薬籠中の物とした上で、意図的に、ヤンキー、あるいはオタク的キャラクターを演じようとする場合がある。キャラを際立たせることで仕事がやり易くなるからだ。前者にはヤンキー的な人が多く、後者にオタク的な人が多いのではないか(勿論その逆もあるだろう)。

 たとえば建築家の隈研吾氏は、出自としては男性性が強いにもかかわらず、女性性を自家薬籠中の物にした上で、建築家・経営者としてヤンキー文化を志向するという「ひねり」を加えているように見受けられる。『ヤンキー化する日本』での斉藤環氏との対談や、「モダニズムからヤンキーへ」という歌舞伎座設計始末記(『新建築』5/2013号)を読むとそう感じられる。

「出自」→「ひねり」→「志向」

男性性 → 女性性 → 男性性

というパターンである。昔ソニーの盛田昭夫氏が「経営者はネアカでなければならない」と言ったが、それも同じようなパターンだと思う。

 次に「特定の分野にフォーカスした行動分析」について。以前「認知の歪みとシステムの自己増幅」の項で、認知の歪み(思考の歪み)は精神的自立を阻害すると述べ、「認知の歪みを誘発する要因」の項で、人は認知の歪みから完全に自由であることは出来ないと述べたが、全般的にはバランスが取れていても、特定の分野にフォーカスすると、人は(自分でも気付かないうちに)けっこう思考の歪みに陥っていることがある。噂話を耳にしたとき、酒に酔ったとき、自分が詳しくない分野の新聞記事を読んだとき、スポーツを観戦しているときなどなど。そういう時、本来はバランスが取れた人格者が突如キャラの立った態度に出ることがある。

 たとえば、運転席に着いた人が急にヤンキー的態度を取ることがある。それは車の運転という特定の行動において、その人の脳に、下に記したようなさまざまな認知の歪みが発生するからだろう。

二分割思考(all-or-nothing thinking)
過度の一般化(overgeneralization)
心のフィルター(mental filter)
マイナス思考(disqualifying the positive)
結論への飛躍(jumping to conclusions)
拡大解釈と過小評価(magnification and minimization)
感性的決め付け(emotional reasoning)
教義的思考(should statements)
レッテル貼り(labeling and mislabeling)
個人化(personalization)

「こんなところに路駐するなバカヤロ!」「歩行者信号はとっくに赤だぞ!」などなど。皆さんも経験があるのではないか。私にも覚えがある。小さな認知の歪みは大したことではないが、それが積もり積もるとやがて行動が間違った方向へズレてしまうから気をつけたい。

 最後に「志向の様式変化追跡」とは何か。認識と欲望の形式には、初歩的で純粋な段階からグロテスクな最終段階まで、様々な傾向(様式)があると考えられる。芸術様式などでよく使われる「アルカイック→クラシック→マニエリスム→バロック→グロテスク」という流れをそれに当て嵌めて考えると、ヤンキー・オタク文化の度合いが掴みやすいと思う。「彼のヤンキー度はもうバロック的だな」「彼女はクラシカルな山オタクだね」などなど。

 これを逆に言うと、ある特定の事柄(issue)に固執したヤンキー・オタク文化は、やがて形式主義的(マンネリ)になり、最後にはグロテスクな色合いを帯びるから、人は、いつも新しいことにチャレンジしていないと駄目だということでもある。このことは、ヤンキーやオタクに限らず、バランスよく男性性・女性性を志向しようとする一般の人にも当て嵌まると思う。自分の関心分野を広げる(「興味の横展開」を続ける)ことで、常に気持ちを若々しく保っていただきたい。

 ついでに、以前「6つのパーソナリティ」の項でみたパーソナリティ・タイプ(性格の要素)を短く纏め、それに男性性・女性性要素も加えた上で表にしておこう。

リアクター:感情・フィーリングを重要視する人。(女性性)
ワーカホリック:思考・論理、合理性を重要視する人。(男性性)
パシスター:自分の価値観や信念に基づいて行動する人。(男性性)
ドリーマー:内省、創造性に生きる静かな人。(女性性)
プロモーター:行動の人。チャレンジ精神が旺盛。(男性性)
レベル:反応・ユーモアの人。好きか嫌いかという反応重視。(女性性)

自分が志向したい性格や文化の参考になると思う。

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posted by 茂木賛 at 09:32 | Permalink | Comment(0) | 公と私論

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