この読書法の良いところは、気分転換ばかりではなく、記憶や思考に関わる脳の複数の分野が同時期に刺激されることだと思われる。私は大体以下五つの分野の書物を並行的に読み進める。
1. Art
2. History
3. Natural Science
4. Social Science
5. Geography
5番目のカテゴリーは地理だけに止まらず、モノとモノとの関係を論じたTopology(位相学)的な本や各種実用書も含む。勿論、本の内容によってカテゴリーはオーバーラップするわけだが、本のメイン・テーマで大雑把に分ければよい。たとえばこういう具合だ。
1. 「イサム・ノグチ 宿命の越境者」ドウス昌代著(講談社)
2. 「白の民俗学へ 白山信仰の謎を追って」前田速夫著(河出書房新社)
3. 「免疫の意味論」多田富雄著(青土社)
4. 「ドル覇権の崩壊 静かに恐慌化する世界」副島隆彦著(徳間書店)
5. 「新説 東京地下要塞」秋葉俊著(講談社)
これらの本は一見何の脈絡もない。しかしそれが故に、カテゴリーを越えて思わぬつながりが生まれることがある。私にとって副島隆彦氏は、1950年代に勢いのあったアメリカの社会科学が何故衰退し、それを日本がどう受け入れたのか(受け入れなかったのか)ということについて目を開かせてくれた人だが、多田富雄氏の人体免疫システムに関する知見は、行き詰ったアメリカの行動科学の先にある、新しい社会科学のあり方に示唆を与える。
並行読書法の効用は、脳のニューロン・ネットワークから見ると、まるでスモールワールドのような話だが、ニューロンの同時発火という同期現象から考えると、むしろ熱力学や波動理論と関係がありそうだ。


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