前回「遺伝子の水平伝播」の項の最後で触れた“「酵素」がつくる腸免疫力” 鶴見隆史著(大和書房)には、健康にとって要注意な「食品添加物」が幾つか挙げられている。その部分を引用してみよう。
(引用開始)
がん、糖尿病の二大国民病を筆頭に、現在の日本の病気の惨状はびどいものです。その根本原因に、食を取り巻く環境の変化があります。本来の、自然では考えられないほど食が大量生産されているのです。その大量生産を支えるのが加工、保存のために使われる食品添加物であったり、野菜、果物に使う農薬だったりします。これらはまた、体内酵素を大量に消費させるものでもあります。
食品添加物とは、加工食品を作るときに製造や保存に用いられる甘味料、調味料、着色料、保存料、酸化防止剤、漂白剤などのことですが、安い材料を改良・補強して色彩、香り、味を調えるために使われています。
現在日本で認められている添加物は、800余種もあります。なかには腐敗防止のために、これらを加えないと食中毒の危険性のあるものもありますが、指定されているものの中には発がん性などのリスクが心配されているものも多々あります。(中略)
添加物の安全性は、動物実験で確認されているとはいいますが、この過剰使用が私たちの健康を蝕んでいくというのは疑いようもないことです。現在の日本は、添加物の入っていない食品のほうが珍しいくらいで、食卓には食品がのっているというより、添加物がのっているといったほうがいいくらいです。
要注意の添加物をあげておきましょう。防カビ剤のオルトフェニルフェノールやジフェノール、発色剤の亜硝酸ナトリウムと硝酸ナトリウム、漂白剤の亜硫酸ナトリウムと次亜硫酸ナトリウム、保存剤のソルビン酸と安息香酸ナトリウム、着色料のタール色素、酸化防止剤のエリソルビン酸ナトリウム、かんすいのポリリン酸ナトリウム、調味料の5’グアニル酸2ナトリウム、イーストフードの臭素酸カリウムなどがそれです。商品のラベル表示を見て、それらが含まれている食品には手を出さないのが賢明です。
(引用終了)
<同書 146-148ページ。フリガナ省略>
どれも舌を噛みそうな名前でなかなか覚えられないが、リストを手近かに置いておいて、買う(買った)商品ラベルと照らし合わせるのが良いだろう。“体を壊す10大食品添加物”渡辺雄二著(幻冬舎新書)には、次の10添加物が挙げられている。
(1) 発色剤・亜硝酸Na
(2) カラメル色素
(3) 合成甘味料3品目
アステルパム
スクラロース
アセスルファムK
(4) パン生地改良剤・臭素酸カリウム
(5) 合成着色料・タール色素
(6) 防カビ剤・OPPとTBZ
(7) 殺菌料・次亜塩素酸ナトリウム
(8) 酸化防止剤・亜硫酸塩
(9) 合成保存料・安息香酸Na
(10)合成甘味料・サッカリンNa
両者でほぼ一致しているのは、発色剤、イーストフード(パン生地改良剤)、着色料、防カビ剤、酸化防止剤、保存料で、その他については違いがある。害の程度により、人により、また時と共に知見が新しくなるから、いろいろな本(文献)を読んで最終的には自分で判断する必要があると思う。
ちなみに、硝は窒素(nitrogen)、硫は硫黄(sulfur)、塩は塩素(chlorine)のことで、酸化化合物の頭に付く亜・次・過は、そこに含まれる酸素の数を示す。標準的なものよりも酸素が一つ少ないと「亜」が付き、二つ少ないと「次亜」、逆に一つ多いと「過」が付く。
食品添加物の過剰な使用は、20世紀型の大量生産・輸送・消費システムが齎した“行き過ぎた資本主義”の一面だ。このブログでは、モノコト・シフト後の日本に必要な産業システムとして、多品種少量生産、食品の地産地消、資源循環、新技術の四つを挙げているが、中でも食に関しては、人の健康に直接係わるだけに特に重要だと思う。全てを地産地消で賄うわけにはいかないだろうが、添加物はなるべく少なく摂取するようにしたいものだ。
“「酵素」がつくる腸免疫力”には、食品添加物の話以外、酵素(体内酵素と消化酵素)の大切さ、体の生理リズム、食べる順番、腸免疫力の高め方、酸化から体を守る、など実践的な話も多く書かれている。腸管造血説や木炭が持つミネラルの力、マイナスの電荷を持った水素原子イオンや温熱の力などの知見も興味深い。是非一読をお勧めしたい。また、酸化については「活性酸素」の項も参照していただきたい。
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