夜間飛行

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地方の時代 II

2013年10月01日 [ 公と私論 ]@sanmotegiをフォローする

 前回に引き続き、地方都市の魅力・意義について考えたい。“(株)貧困大国アメリカ”堤未果著(岩波新書)によると、いまアメリカを中心に世界で「コーポラティズム」(政治と企業の癒着主義)が進行しているという。本書から引用しよう。

(引用開始)

 いま世界で進行している出来事は、単なる新自由主義や社会主義を超えた、ポスト資本主義の新しい枠組み、「コーポラティズム」(政治と企業の癒着主義)にほかならない。
 グローバリゼーションと技術革命によって、世界中の企業は国境を超えて拡大するようになった。価格競争のなかで効率化が進み、株主、経営者、仕入れ先、生産者、販売者、労働力、特許、消費者、税金対策用本社機能にいたるまで、あらゆるものが多国籍化されてゆく。流動化した雇用が途上国の人件費を上げ、先進国の賃金は下降して南北格差が縮小。その結果、無国籍化した顔のない「1%」とその他「99%」という二極化が、いま世界中に広がっているのだ。
 巨大化して法の縛りが邪魔になった多国籍企業は、やがて効率化と拝金主義を公共に持ち込み、国民の税金である公的予算を民間企業に委譲する新しい形態へと進化した。ロビイスト集団が、クライアントである食産複合体、医産複合体、軍産複合体、刑産複合体、教産複合体、石油、メディア、金融などの業界代理として政府関係者に働きかけ、献金や天下りと引きかえに、企業寄りの法改正で、“障害”を取り除いてゆく。
 コーポラティズムの最大の特徴は、国民の主権が軍事力や暴力ではなく、不適切な形で政治と癒着した企業群によって、合法的に奪われることだろう。

(引用終了)
<同書 273−274ページ>

 この「1%」によるコーポラティズムは、以前「世界の問題と地域の課題」の項で述べた、世界の問題としての「過剰な財欲と名声欲、そしてそれが作り出すシステムの自己増幅」そのものだ。それに対して、「“モノからコトへ”のパラダイム・シフト」(略してモノコト・シフト)は、世界の「99%」が希求する新しい時代の規範である。

 モノコト・シフトの時代においては、「個の自立」と、コトの起こる小規模な「地方都市」が必要であり、コーポラティズムを撃退できるのは、そのような“コト”同士の横の連携だろう。堤さんは、

(引用開始)

 食、教育、医療、暮らし。この世に生まれ、働き、人とつながり、誰かを愛し、家族をいつくしみ、自然と共生し、文化や伝統、いのちに感謝し、次の世代にバトンを渡す。そんなごく当たり前の、人間らしい生き方をすると決めた「99%」の意思は、欲で繋がる「1%」と同じように、国境を越えて繋がってゆく。
 意思を持つ「個のグローバリゼーション」は、私たちの主権を取り戻すための、強力な力になるだろう。

(引用終了)
<同書 277ページ>

と述べておられる。単なる“モノ”の流通ではなく、物語を持った“コト”の横の連携。流域思想でいうところの「両端の奥の物語」を持った“コト”同士の共振。日本語発のそういう物語をもっと紡いでゆきたいものだ。

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posted by 茂木賛 at 10:34 | Permalink | Comment(0) | 公と私論

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