最近、品質や安全の問題が頻発し、高度成長時代を支えた大量生産・輸送・消費システムが軋みをみせている。大量生産を可能にしたのは、遠くから運ばれる安い原材料と大きな組織だが、多品種少量生産、食品の地産地消、資源循環、新技術といった、安定成長時代の産業システムを牽引するのは、フレキシブルで、判断が早く、地域に密着したスモールビジネスなのではないだろうか。
産業システムを牽引するのは、いつの時代でも、明確な理念と目的を持った新しい起業家たちだが、ネットワークの発達によって、今の起業家は自分の組織をむやみに大きくしなくとも、(他社との連携によって)自らの理念と目的を達成できるようになったことが大きい。
NHK「プロフェッショナル・仕事の流儀」第61回(2007年9月4日放送)に出演された、顧客の足に合わせた靴を作りこむ靴職人の山口千尋さんと、山口さんが経営する工房はそのいい例だと思う。
http://www.nhk.or.jp/professional/backnumber/070904/index.html
印象的だったのは、初めて山口さんの靴を履いたお客さんの、なんともいえない満足そうな表情と、山口さんから宿題を与えられて悩む若い靴職人の姿だ。これまでの大量生産・流通・消費時代には、自分の足に合った靴を比較的容易に作ってもらえるなどということは想像すらできなかった。
大きい組織でも、内部を分割し、小組織の精神を取り入れてうまく経営している会社もある。しかし、大きい組織はそもそも同じものを大量に生産するのに適している。
アイデアと気力のある人は、日本全国津々浦々で、陸続とスモールビジネスを立ち上げようではないか。
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