夜間飛行

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視覚を巡る認知の諸相

2013年05月28日 [ 非線形科学 ]@sanmotegiをフォローする

 先日「認知の歪みを誘発する要因」の項で、歪みの可能性要因を内と外に分け、

<内的要因>

体全体:病気・疲労・五欲
脳(大脳新皮質)の働き領域:無知・誤解・思考の癖(くせ)
身体(大脳旧皮質・脳幹)の働き領域:感情(陽性感情と陰性感情)

<外的要因>

自然的要因:災害や紛争・言語や宗教・その時代のパラダイム
人工的要因:greedとbureaucracyによる騙しのテクニック各種

と纏めたけれど、最近、視覚を通した認知について面白い本を読んだのでご紹介しよう。“ひとの目、驚異の進化”マーク・チャンギージー著(インターシフト)がそれで、この本には、四つの視覚能力についてこれまでの常識とは異なった知見が披露されている。副題には“4つのすごい視覚能力があるわけ”とある。その四つとは、

第1章 感情を読むテレパシーの力
第2章 透視する力
第3章 未来を予見する力
第4章 霊読(スピリット・リーディング)する力

で、第1章には「カラフルな色覚を進化させたわけ」第2章には「目が横でなく、前についている便利なわけ」第3章には「現在を知覚するには、未来を見る必要があるわけ」第4章には「脳が文字をうまく処理できるわけ」との副題がついている。著者による纏めの部分を引用しよう。

(引用開始)

 第1章で取り上げた色覚は、感情やそのほかの状態を肌から読み取れるようになるために選択された。第2章で取り上げた前向きの目は、見通しの悪い環境で透視能力を使えるようになるために選択された。そして、第3章で取り上げた錯視は、現在を知覚できるように選択された未来予知能力の結果だった。
 自然淘汰はあらゆる動物の目を形作ったが、人間の目には一つ、ほかの動物には見られない特徴がある。私たちの目は外に向かって働きかけ、世界を形作るのだ! 目は―――そして私たちは―――文化を通してそうする。つまり、視覚の超人的な能力を進化させる第二の道があるということで、それはこの最終章での霊読に関する話を理解する上で決定的に重要になる。私たちは、文化を通して、目に合うように周りの世界を変えられる。自然淘汰は、目が自然のものを上手に処理できるようにした。そこで、文化は自然界のものと似た特性を持つ視覚的記号を進化させた。目ができるかぎりうまく処理できるように。

(引用終了)
<同書 273−274ページより>

 詳細は本書をお読みいただきたいが、この本には、このブログで書いてきたことを補う知見が多く含まれていると感じる。第1章の話は、肌の境界性(「皮膚感覚」)と、社会的動物としての人(生産と消費論)、第2章の話は、ものごとを複眼で見ること(「複眼主義とは何か」)の重要性、第3章の話は、脳の時間が現在進行形(t = 0)であること(「アフォーダンスと多様性」)、第4章の話は、さらに文字の「筆蝕体感」や言葉の「発音体感」へと発展する筈だ。

 全体として、視覚に関するこれらの話は、アフォーダンス理論における自己意識(自己と世界との関係)を想起させる。世界は人の能力をアフォードし、人は知覚を通して世界に意味を与えるのだ。

 この本の内容まだ仮説の部分が多いかもしれないが、こういった最先端の知見を検証することで、その分野の無知・誤解・間違いを少なくしていくことが、認知の歪みを減らすことに繋がる。これからもこういう面白い本があったらご紹介していきたい。

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posted by 茂木賛 at 09:39 | Permalink | Comment(0) | 非線形科学

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