夜間飛行

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海辺にて

2013年04月15日 [ プレイリスト ]@sanmotegiをフォローする

 いつも音楽で作っているプレイリスト、今回は趣向を変えて、音楽の代わりに短編小説で作ってみたい。音楽の場合の自主ルールは、A面6曲、B面6曲、全12曲としてあるけれど、短編小説の場合は12編では長すぎると思うので、プレイリスト全体で半分の6編ということにしよう。これも自主ルールだけれど、平均的な短編小説集は、だいたい5−6編くらいで構成されているのではなかろうか。

 短編小説プレイリスト第一作は、今新作で話題になっている村上春樹の作品から選ぶこととしたい。彼は長編作家だけれど、長編小説を交響曲とすれば、短編はソナタ、もしくはソナチネといった風情、あるいはジャズやロックの一曲に相当する感じがする。だから選びやすい。プレイリストのタイトルは「海辺にて」。数ある彼の短編小説から、海に関するものを6編選んでみた。

「1963/1982年のイパネマ娘」
「5月の海岸線」
「ハンティング・ナイフ」
「七番目の男」
「ハナレイ・ベイ」
「中国行きのスロウ・ボート」

海に関するものは他にもあるけれど、なぜこの6篇なのかというと、それぞれの作品の印象が、

「1963/1982年のイパネマ娘」<青春の海辺>
「5月の海岸線」<失われた海辺>
「ハンティング・ナイフ」<生きる>
「七番目の男」<死と喪失>
「ハナレイ・ベイ」<死と再生>
「中国行きのスロウ・ボート」<死と希望>

ということで、海をテーマに、青春から喪失、生と死、再生と希望まで、私の脳裏で印象が繋がっていくからだ。場所がブラジル、神戸、沖縄、日本、ハワイ、中国と、インターナショナルなのも村上春樹らしくて良いと思う。

 音楽のようにジョギング中に楽しむわけにはゆかないだろうけれど、これから暖かくなるから、是非、海辺で順番に読んでみていただきたい。あなたの脳裏に、私の印象と似たものがうまく繋がってゆけば成功というものだ。

 参考までに、それぞれの短編小説が掲載されている文庫(小説集)を載せておこう。

「1963/1982年のイパネマ娘」(“カンガルー日和”新潮文庫)
「5月の海岸線」(“カンガルー日和”新潮文庫)
「ハンティング・ナイフ」(“回転木馬のデッド・ヒート”講談社文庫)
「七番目の男」(“レキシントンの幽霊”文春文庫)
「ハナレイ・ベイ」(“東京奇譚集”新潮文庫)
「中国行きのスロウ・ボート」(“中国行きのスロウ・ボート”中公文庫)

文庫本5冊だから海辺へ持っていってもそれほど嵩張らないと思う。

 ちなみに、彼の新作“色彩を持たない多崎つくると、彼の巡礼の年”(文藝春秋)、さっそく読んで見たが、これは東日本大震災被災者の応援のために書かれたような気がする。「一旦失われた共同体と個人(主人公)のそこからの回復」ということで。一箇所だけだけれど、大地震と大津波の比喩が使われているところ(45ページ)があるし、多崎という名に東北のリアス式海岸が隠れているというコメント(昨日の毎日新聞書評欄)はおそらく正解だろう。つくるという名も日本の復興に相応しい。ストーリーの展開に多少無理があるけれど、それは、出来るだけ早くあの災害に「言葉」を与えようとした作家の気持ちの表れだと思う。全体として心温まる作品に仕上がっている。

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posted by 茂木賛 at 10:03 | Permalink | Comment(0) | プレイリスト

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