夜間飛行

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神経伝達物質とホルモン

2013年03月05日 [ 非線形科学 ]@sanmotegiをフォローする

 先日「現場のビジネス英語“take your time”」の項で見てきた自律神経とエネルギー生成系に関連して、神経伝達物質とホルモンの働きについて、“脳内ホルモンで幸せ気分を手に入れる本”ライフ・サイエンス研究班編(KAWADE夢文庫)という本を読んだ。

 神経伝達物質については、以前「仕事の達人」の項で“脳内物質仕事術”という本を紹介したが、神経伝達物質とホルモンとの違いは、前者が、神経細胞のあいだで情報を伝達するのに対して、後者は血液中に放出されて情報を伝達する。前者は短時間しか作用しないが、後者は比較的長く作用する。この本でいう「脳内ホルモン」とは、脳内で分泌され人の感情や気分に関係する神経伝達物質とホルモン、両方を指すとのこと。また、本書にはハッピーホルモンという言葉も出てくる。「ハッピーホルモン」とは、脳内ホルモンに加え副腎などから分泌されるホルモンも含むという。本書から引用しよう。

(引用開始)

 ハッピーホルモンの数は100種類以上も存在することがわかっている。そして、それらのホルモンのうち、作用が解明されているものは少なく、明らかになっていないものが多い。
 よく知られているハッピーホルモンを挙げると、アセチルコリン、ノルアドレナリン、アドレナリン、ドーパミン、セロトニン、メラトニンなどがある。
 これらが感情や感覚の伝達を受けもっており、おもに興奮系、抑制系のふたつに分けられる。
 セロトニンは通常、興奮系に分類されるが、興奮系を鎮める調整役としても働く。調整系のホルモンは少ないが、ここではセロトニンを調整系に分類し、3種類に分けて紹介する。
 これら3種類のハッピーホルモンのバランスによって、心はさまざまな状態になり、感情も湧き上がってくるのである。
 興奮系、抑制系、調整系それぞれにどういうものがり、どのような働きをしているか見ていこう。
 3つのうちもっとも種類が多いのは、興奮系のハッピーホルモンで、これに該当するのがノルアドレナリン、ドーパミン、アセチルコリン、グルタミン酸など。(中略)
 次に、抑制系のハッピーホルモンの代表がGABA(γ−アミノ酪酸)だ。抑制系はほかにもいくつかあるが、GABAは圧倒的に多く、脳のなかなの神経細胞の30パーセントをGABA神経が占めている。
 GABAは、脳が興奮した際のブレーキ役を果たし、アクセル役の興奮系とのバランスを保っている。そのため、GABAが不足すると脳の興奮が鎮まらない。極端なケースでは、けいれんを起こすこともある。
 また、前述したが、調整系のハッピーホルモンは少なく、その代表的なものがセロトニンである。

(引用終了)
<同書 38−41ページ(ふりがなは省略した)>

各種化学物質の作用の詳細については本書をお読みいただきたいが、簡単に目次のタイトルから拾うと、

ドーパミン:快感や幸福感、やる気をもたらすホルモン
アセチルコリン:リラックスし、体にエネルギーをためるホルモン
βエンドルフィン:“脳内麻薬”の異名をとる鎮痛ホルモン
セロトニン:やる気をだし、精神を安定させるホルモン
GABA:緊張や不安、イライラを緩和するホルモン
オキシトシン:男女、親子の愛情を育てるホルモン
ノルアドレナリン・アドレナリン:ストレスに立ち向かうホルモン

となる。ちなみに以前紹介した“脳内物質仕事術”には、

ドーパミン:幸福物質(幸福、快感)
ノルアドレナリン:闘争か逃走か(恐怖、不安、集中)
アドレナリン:興奮物質(興奮、怒り)
セロトニン:癒しの物質(落ち着き、平常心)
メラトニン:睡眠物質(眠気)
アセチルコリン:記憶と学習(ひらめき)
エンドルフィン:脳内麻薬(多幸感、恍惚感)

とあった(カバー裏の表)。いろいろな本で「神経伝達物質とホルモン」の働きについて知っておくと、仕事にもきっと役立つことと思う。

 このブログでは、脳の働き(大脳新皮質主体の思考)と身体の働き(脳幹・大脳旧皮質主体の思考)とのバランスの大切さを強調しているが、健康には、自律神経(交感神経と副交感神経)とホルモン系、さらには以前「免疫について」の項で書いた免疫系とのバランスが欠かせない。さらに本書から引用しよう。

(引用開始)

 自律神経やホルモン系は、免疫とも密接に関係している。私たちの体は、恒常性(ホメオスターシス)が備わっている。ホメオスターシスは、外部からのさまざまな刺激にたいして、体内の環境(生理、代謝、臓器の働きなど)を一定に保つ働きである。自律神経の中枢がある視床下部は、自律神経だけでなく、ホルモン系、免疫系の機能も調整し、ホメオスターシスを維持している。
 そのため、自律神経、ホルモン系、免疫系は、三者それぞれが互いに影響しあう関係にある。つまり、自律神経が崩れるとホルモン系や免疫系に影響するし、ホルモン系に異常が生じると、それが自律神経や免疫系に影響する。また、免疫系に問題が起きると、それが自律神経やホルモン系に影響することがある。

(引用終了)
<同書 33−34ページより(ふりがなと一部括弧内を省略した)>

自律神経、ホルモン系、免疫系は、互いに影響し合いながら、我々のからだの恒常性(ホメオスターシス)を保っているのである。

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posted by 茂木賛 at 10:04 | Permalink | Comment(0) | 非線形科学

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