会社で最も重要なのは、その理念(Mission)だろう。以前「理念(Mission)と目的(Objective)の重要性」の項で、
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会社を始める際には、なぜその会社を興そうとしたのかという理念(Mission)と、具体的に何を達成したいのかという目的(Objective)を、自分できちんと書いてみることが重要である。
いくら小さくとも会社は一つの共同体だから、その理念と目的を、社員やお客様、さらには社会に対してわかりやすく伝えることが大切なのである。この二つをはっきりさせず、ただお金が儲かるからとか、人に頼まれたからという理由で始めても、会社という共同体は長続きしない。
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と書いたけれど、「創業理念」は起業した後も重要である。何故なら、その文言は、なぜその会社が営業を続けるのかを示す、いわば会社の存在理由(レゾンデートル)だからである。
この理念先行型の考え方は、起業や会社運営という大きな場面だけではなく、その中で、さまざまなプロジェクトを推進・実行する際や、個人のキャリアプラン作りにも有効である。“ミッションからはじめよう!”並木裕太著(ディスカヴァー・トゥエンティワン)は、その為のフレームワークを平明に解説した本だ。新聞の書評を引用しよう。
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使命を重視し課題の整理を
ビジネスとは絶え間ない課題解決のこと。航空会社の経営企画室に配属された「大空翔子」は、格安航空会社への対抗策という課題を会社から与えられる。戸惑う彼女の前に登場したのが、コンサルタント「並木裕太」。彼はフレームワークやツリーやらの専門用語を駆使して課題を解決に導く。
裕太が説く解決のステップは、「ミッション(使命)、ロジック(論理)、リアライズ(実行)」。リアライズには「レジスター(認識)、エンゲージ(向かい合い)、コミット(責任を持つ)」の三つが必要ということで、翔子は随所で「また出た、横文字! 耳障りだし、意味がわからない」と、ツッコミまくる。そのツッコミに裕太が答える中で、意味不明の用語がわかりやすく解説されていく、という仕掛けだ。
著者は外資系コンサルタント会社出身で、この本も、コンサルお得意のロジカルシンキングを扱っているが、「ロジック」よりも「ミッション」を重要視した点に、新たなひらめきがある。ミッションとは「なぜ、それを実行するのかというそもそもの志、使命」のこと。ビジネスの現実はロジカルとはいい難いが、ミッションという軸が見え、課題整理のスキルがあれば、前に進むことはできる。そのスキルの最先端を、誰にも使い勝手よく整理している。
(引用終了)
<朝日新聞 5/13/2012>
ということで、この本には、ミッションをつくる上で役に立つツールが多く紹介されている。一読をお勧めしたい。
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