近代家族を超える新しい家族の枠組みについて考えてみよう。新しい枠組みの方向性については、これまで「“シェア”という考え方」、「“シェア”という考えかた II」の項で、
私有 → 共同利用
独占、格差 → 分配
ただ乗り → 分担
孤独 → 共感
世間 → 社会
もたれあい → 自立
所有 → 関係
モノ → コト
といったパラダイム・シフトとして提示してきたが、これをベースに、「近代家族」の特徴、
1. 家内領域と公共領域の分離
2. 家族構成員相互の強い情緒的関係
3. 子供中心主義
4. 男は公共領域・女は家内領域という性別分業
5. 家族の団体性の強化
6. 社交の衰退
7. 非親族の排除
8. 核家族
に倣ってそれを列記してみる。
高度成長経済が終わり、不況で外で安定的収入を得ることでかろうじて保たれてきた父権が崩れ、妻が働きに出ることで性別分業が意味を失い、高齢化社会によって子供中心主義が崩壊したこれからの家族は、
1. 家内領域と公共領域の近接
2. 家族構成員相互の理性的関係
3. 価値中心主義
4. 資質と時間による分業
5. 家族の自立性の強化
6. 社交の復活
7. 非親族への寛容
8. 大家族
といったものになるのではないだろうか。
日本社会は今、「近代家族」の崩壊を目の当たりにしながらも、糸の切れた凧のように彷徨っている。それは、敗戦直後アメリカに強制された理念優先の新憲法のもと、長く続いた経済的高度成長が、まともな思考の停止と麻薬のような享楽主義とを生み、環境に同化しやすい思考癖(日本語の特色)と相俟って、財欲に駆られた人々による強欲支配と、古い家制度の残滓に寄りかかった無責任な官僚行政とを許しているからである。「近代家族 II」の項の最後に、
(引用開始)
「“モノからコトへ”のパラダイム・シフト」(略してモノコト・シフト)の時代、街づくりにおいても、地域単位の新しい枠組みと、官僚まかせ主義からの脱却が求められている。
(引用終了)
と書いたけれど、この「新しい家族の枠組み」をベースに、商店街や街づくり、食生活や住宅などについて考えてゆこうではないか。新しいスモールビジネスの種もいろいろと見つかると思う。
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