夜間飛行

茂木賛からスモールビジネスを目指す人への熱いメッセージ


長野から草津へ

2012年09月03日 [ アート&レジャー ]@sanmotegiをフォローする

 今年も夏休みを長野蓼科の山荘をベースにして過ごすことができた。この山荘、もともと父が建てたものだが三年前母が亡くなったあと兄が相続し管理してくれている。山荘では相変わらずの読書三昧。今年山へ持っていった本は、

“利休にたずねよ”山本兼一著(PHP研究所)
“惜櫟荘だより”佐伯泰英著(岩波書店)
“戦後史の正体 1945-2012”孫崎享著(創元社)
“隠された歴史”副島隆彦著(PHP研究所)
“楽園のカンヴァス”原田マハ著(新潮社)
“ヒタメン”岩下尚史著(雄山閣)

の六冊。いつもの平行読書法の要領でこれらの本を読み進めた。

 “利休にたずねよ”は、千利休と秀吉との確執を茶の道を通して描く。以前「都市計画の不在」の項で紹介した“対談集 つなぐ建築”(隈研吾著)のなかに、西洋への対抗軸として茶室建築の話がでてくるが、利休の茶室は、その後日本独特の数寄屋造りという建築様式を生み出す。近代建築に数奇屋を復活させたのが建築家吉田五十八であり、“惜櫟荘だより”は、その吉田が手がけた熱海の岩波茂雄の別荘を修復する物語だ。

 “戦後史の正体 1945-2012”は、元外交官が敗戦後の首相たちを評価する。評価基準は、自主派(積極的に現状を変えようと米国に働きかけた人たち)、対米追従派(米国に従い、その信頼を得ることで国益を最大化しようとした人たち)、一部抵抗派(特定の問題について米国からの圧力に抵抗した人たち)の三つ。主流を占める対米追従派の欺瞞性がよく描かれている。この研究は、“さらば吉田茂”片岡鉄哉著(文芸春秋)や“属国・日本論”副島隆彦著(五月書房)の系譜に連なるものだ。“隠された歴史”は、その副島隆彦氏による、仏陀と菩薩信仰、キリストとマリア信仰を巡る文明史的考察。本物の思想家はものごとをここまでシンプルに整理できるものなのだなと感心する。

 “楽園のカンヴァス”は、ルソーの「夢」という作品と西洋の美術界を巡る良質なミステリー。“ヒタメン”は、サブタイトルに“三島由紀夫が女に逢う時…”とあるように、平岡公威(ペンネーム・三島由紀夫)の若き日の恋人と生涯の親友二人の女性による証言である。

 直面(ヒタメン)とは、能で面を用いず素顔のままのことを指す。平岡は、素顔を隠し「三島由紀夫」という仮面を被って戦後の日本社会を生きた。そして、「平岡公威の冒険」で書いたように、最後はその(孫崎氏が分析するところの)欺瞞的な政治体制に身をぶつけて死んでしまった。その死の背景にある、流行作家という職業の過酷さが二人の女性の証言から伝わってくる。平岡にとって生計を立てることとは、すなわち仮面を付けて舞台で流行作家を演ずることであった。同書によると、平岡にとって、仮面を外して生きる可能性が一瞬あったという。彼が後日、若き日の恋人と偶然店で出会ったときのことだ。当時彼女は他の男と婚約しており、平岡も既に瑤子夫人と結婚していた。その部分を“ヒタメン”から引用しよう。

(引用開始)

 そのうち、公威さんが眼を見据えて、わたくしの前に立ちはだかったかと思うと、何の挨拶もなしに、いきなり、
「僕といっしょに、行こうよ――」
と、たった一ト言、投げつけたきり、そのほかは何も言わず、あの澄んだ眼で、熟(じっ)と、わたくしを見つめましてね……。

(引用終了)
<同書 224ページ>

その場に婚約者がいたこともあって、二人はそのまま分かれてしまう。もし彼女が平岡とあとで待ち合わせるなどしていたら、彼は三島由紀夫という流行作家の仮面を外し、「平岡公威」としていまも生きていたかもしれない。

 この六冊を同時並行に読み進めることで、千利休から吉田五十八、吉田茂から西洋グローバリズム、キリストから仏教、西洋美術から戦後の日本社会まで、広い時空を縦横に楽しむことができた。

 さて夏休み期間中、山荘をベースに草津温泉まで足を伸ばしたので、ここで温泉について纏めておこう。まずはその効用について旅行案内書から引用する。

(引用開始)

 「地中から湧出する25℃以上の温水、または19種類の物質のいずれかを含む温水」と定義される温泉。
 日本人なら誰もが愛してやまないが、なぜ温泉に入ると体の芯から温まり、疲れが取れるのか。
 <総合的に体に働く温泉5大効果>
 温泉で広々とした浴槽に入り、体を伸ばしてつかれば、以下のような5つの効果が総合的に働き、体が温まり、疲れがとれ、免疫力もアップする。
@  温熱効果
交感神経と副交感神経のバランスを整える
A  水圧効果
心肺機能を向上させるとともに、むくみや疲労回復に役立つ
B  浮力効果
浮力と水の抵抗で効果的にエネルギーを消費させる
C  転地効果
遠く離れた温泉地に行って環境が変わることにより気分をリフレッシュさせる
D  成分効果
温泉に含まれている塩分や硫黄などが肌荒れや胃腸病、冷え性、神経痛などの症状を改善する

(引用終了)
<“楽楽 軽井沢・草津”(JTBパブリッシング)142ページより>

とのことで、温泉には、呼吸法笑いなどと同様、自律神経(交感神経と副交感神経)のバランスを整える効用があるという。

 温泉の成分効果は、温泉に含まれている塩分や硫黄などの鉱物(ミネラル)によって次のように分類できる。

1.  塩化物泉
2.  炭酸水素泉
3.  硫酸塩泉
4.  単純温泉
5.  硫黄泉
6.  二酸化炭素泉
7.  含アルミニウム温泉
8.  含鉄泉
9.  含銅・鉄泉
10. 酸性泉
11. 放射能泉

泉質によってそれぞれ違った効能があるという。たとえば塩化物泉は、殺菌効果があり外傷や皮膚病、関節痛などに効く。炭酸水素泉、なかでも重曹泉は肌に潤いを与える。二酸化炭素泉は、肌に炭酸ガスがつき保温効果が高いなどなど。今回訪れた草津の温泉は、酸性・含硫黄‐アルミニウム‐硫黄塩・塩化物泉で、神経痛や筋肉痛などに効くとのこと。朝入った西の河原露天風呂は広々としていてとても気持ちが良かった。

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posted by 茂木賛 at 08:50 | Permalink | Comment(0) | アート&レジャー

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