このブログでは、起業理念が明確な小規模企業(スモールビジネス)を応援している。“小が大を越えるマーケティングの法則”岩崎邦彦著(日経新聞出版社)は、スモールビジネスにおけるマーケティングについて書かれた本だ。新聞の書評を引用しよう。
(引用開始)
人口減少社会の日本で企業が生き残るためのマーケティング戦略を紹介する。キーワードは書名にある「小」だ。
高度成長期には大企業による同一商品の大量生産、大量販売によって生活水準が向上した。当時の消費社会のキーワードは「大」だった。だが豊かさを手にした消費者は次に他人とは違う商品やサービスを好むようになる。多様性が重視されるこうした社会では「大」より「小」が重要になる。小さな企業、小さな店にチャンスが生まれる。
著者は長年、地域社会と消費行動を研究テーマとしてきた。そこから見えてきたのは「全国」から「地方」、「総合」から「専門」、「効率性」から「感性」などへの社会構造と消費者意識の変化だ。
本書では、多くの消費者調査で浮かんだ、消費者の細分化した好みを解説。随所に設問を挟むなど読者の理解を助ける工夫も凝らしている。
商品開発や営業に携わる人には、日本の消費者の実像を知るのに役立つだろう。個性的で独自色を出せる「小規模の強み」を探し出し、それを調和のとれた形に組み合わせる必要性を感じるはずだ。
また、本書を読み進めていけば、新しい強みを見つけることだけが大切ではないこともわかる。個性的な強みがありながら見過ごしているケースがあり、身の回りでの再発見から商機をつかむことが可能だからだ。
(引用終了)
<日経新聞 5/6/2012>
ということで、この本には、「ほんもの力」「きずな力」「コミュニケーション力」という3つの力に注目したマーケティング戦略が平明に書かれている。本の帯裏には、
(引用開始)
「全国」から「地域」へ、「総合」から「専門」へ、「画一性」から「個性」へ、「量」から「質」へ、「無難」から「本物」へ、「効率性」から「感性」へ――時代のトレンドは、小さな企業に吹く追い風。
3つの力「ほんもの力」「きずな力」「コミュニケーション力」
でチャンスをつかみとれ!
(引用終了)
とある。興味のある方にお勧めしたい。
ここのところ、スモールビジネスに関連する本が多く出版されている。“計画と無計画のあいだ”三島邦弘著(河出書房新社)、“「本屋」は死なない”石橋毅史著(新潮社)、“営業部は今日で解散します”村尾隆介著(大和書房)、“小商いのすすめ”平川克美著(ミシマ社)などなど。スモールビジネスとは、モノを大量生産・販売するのではなく、その場所に起こるコトをベースとした商売である。やはり時代は「“モノからコトへ”のパラダイム・シフト」を迎えているのだろう。
尚、“「本屋」は死なない”については「本の系譜」、“営業部は今日で解散します”については「これからのモノづくり」、“小商いのすすめ”については「ヒューマン・スケール」の各項で紹介した。併せてお読みいただけると嬉しい。
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