昨日皆さんのところでは、金環日蝕を観察することが出来ただろうか。私は屋上で専用眼鏡を使って、見事なオレンジのリングを見ることができた。先日のスーパームーン、昨年12月の皆既月蝕も良かったが、今回のリングは事の外素晴らしかった。長く記憶に残りそうだ。
さて、最近「水」に関する本を、三冊続けて読んだ。一冊目は“水を守りに、森へ”山田健著(筑摩選書)で、この本については先日「多様性を守る自由意志」の項で紹介した。二冊目と三冊目は、“水の健康学”藤田紘一郎著(新潮選書)と“水とはなにか <新装版>”上平恒著(講談社ブルーバックス)である。良い機会なので、ここで「水」についての私の興味を纏めておきたい。
1. 水と健康とのかかわり
水は人の健康に欠かせない。私の水に対する興味の第一は、水と健康とのかかわりである。“水の健康学”藤田紘一郎著には、水の持つ身体への影響、とくに飲料水におけるPH値や、ミネラルの含有量(硬度)、酸化還元電位などについてやさしく解説してあるので参考になる。
2. 水の非線形的な性質
水は熱しやすくさめにくく、また凍りにくい。水は物質を溶かしやすく、クラスターを形成しやすい。“水とはなにか <新装版>”上平恒著によると、これらの性質の背景には、水が「水素結合」と「双極子能力」という二つの力を併せ持ち、他の同属元素に比べて分子間結合力が高いことが挙げられるという。以前「脳について」の項で、
(引用開始)
「脳のなかの水分子」(紀伊国屋書店)の著者中田力氏によると、脳にはニューロン・ネットワークの他にもう一つ高電子密度層があり、その仕組みが人の「内因性の賦活(自由意志や創造力、ひらめき)」を支えているという。
(引用終了)
と書いたことがあるけれど、この高電子密度層(とその下の間隙)は「水を神経伝達物質とするシナプス」だから、ここでも水が大きな役割を果たすと考えられている。水の非線形的な性質が、私の興味の第二である。尚、脳の高電子密度層と水分子との関わりを論じた中田氏の「渦理論」については、同氏の“脳の方程式+α ぷらす・あるふぁ”(紀伊国屋書店)により詳しい。
3.流域思想
このブログでは、流域思想に基づいた街づくりを提唱しているが、流域の形成には勿論「水」の存在が欠かせない。先日「多様性を守る自由意志」の項で紹介した“水を守りに、森へ”山田健著(筑摩選書)は、その水を守ろうとする実践の書である。「流域思想」、あるいは水と社会との関わりが、私の水に対する興味の第三である。また、流域の歴史を勉強する上で、各地に残る水信仰も興味深い。
水は人の健康を守り、意思を育て、流域と街をつくる大切な存在である。これからも「水の力」について様々な視点から勉強してゆきたいと思う。
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