夜間飛行

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ハーモニーとは

2010年06月15日 [ 言葉について ]@sanmotegiをフォローする

 今回も、「迷惑とお互いさま」の項で述べた、日本語の「自分の属する組織を盲目的に守ろうとする力」について考察を続けたい。

 尚、前回「少数意見」の項で、「健全な組織は、新しい息吹を吹き込む異物を自らの中に積極的に抱えていなければならない」と書いたけれど、旧弊化した組織が新しく生まれ変わるプロセスについては、以前「パラダイム・シフト」や「パラダイム・シフト II」で論じたので、参照していただければと思う。

 日本の社会について、以前“現場のビジネス英語「否定形の質問について」”の項で紹介した“西洋音楽から見たニッポン”(PHP研究所)の著者石井宏氏は、そのあとがきの中で次のように指摘しておられる。

(引用開始)

 たとえば、本文の中でも書いたように、仲良く協調するというのは日本人にとっては甚(はなは)だ重要な道徳だが、白人社会にあってはそれほどのことではない。むしろ、隣人とは無害であってくれればそれでいい、くらいにしか思っていない。
 個人、個性というものが発達した人間同士が、日本人の理想とするようなユニゾン(ひとつの音)の合唱になるはずがないのである。これに対して、白人たちは、ドとミとソで、“和音”ができる、すなわち、ハーモニーが生まれる、と考えるのである。ドも、ミも、ソも、それぞれ個性があるのだが、これら三つの音を同時に鳴らすと、不思議に溶け合った別の響きがして、ドでもミでもソでもない世界が生まれる。彼らはこれをハーモニーと呼ぶ。三つの音がお互いに自己を主張しているのに、彼らの目から見ると、立派に溶け合ったハーモニーなのである。
 これに対して、“全員一致”を理想とする日本人は全員がドになるのを“和(ハーモニー)”と考え、ミだとかソだとかを唱える人間を排除する。
 今から何十年も前に、『日本人とユダヤ人』という本を書いたイザヤ・ベンダサンは、ユダヤ人のあいだでは、満票ということは考えられないので、もしそんな結果が生じたら、その投票は無効になると言っている。つまり、個性ある人間たちが投票して満票になるとすれば、それは冗談の類としか考えられないからである。
 にもかかわらず、日本の社会では今でも「満場一致」は冗談ではなく美徳である。それは「各人が個性を犠牲にして、ユニゾンになるように努力した麗(うるわ)しい成果」だからである。ドレミファを全部調律し直して、ドばかりにしてしまったピアノを、日本人は素晴らしい楽器だと考えるのである。西洋人は、そんな楽器は信用しない。ドがあり、ミがあり、ソがあって、初めて音楽になるのだから。
 この「ドしか鳴らない楽器」は直ちに全体主義に結びつく思想でもある。「満場一致」は戦争中のスローガンの「挙国一致」と同じものである。「挙国一致」思想は特高警察を生み、雑音を出す連中をしょっ引いて、ドだけしか鳴らないようにしたのであった。

(引用終了)
<同書268−269ページ>

 いかがだろう。日本語における「自分の属する組織を盲目的に守ろうとする力」が強いという特徴は、以前「言語技術」の項で述べた、

(引用開始)

日本語的発想では環境(空間)中心に物事を考えがちなので、環境を守る力は大きいけれど、主体的にものごとを決定していく力が弱いということなのである。サッカーで云えば、チームワークはよいのだが、シュートの決定力に欠けるということだろうか。

(引用終了)
<「言語技術」より>

という指摘と、表裏一体を成していると思われる。この問題は、「容器の比喩と擬人の比喩 II」の最後に書いた、「日本語表現における主体の論理をどのように構築していくか」という課題と重なっている。

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posted by 茂木賛 at 10:37 | Permalink | Comment(0) | 言葉について

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