夜間飛行

茂木賛からスモールビジネスを目指す人への熱いメッセージ


現場のビジネス英語“Three strikes, you are out!”

2009年10月13日 [ 現場のビジネス英語シリーズ ]@sanmotegiをフォローする

 外資系の会社に勤めているAさんは、ある日ボスのトムが、部下のマイケルに対して、“Three strikes, you are out”というのを聞いた。Aさんの語学力でも、トムが「ストライク・スリーでおまえはアウトだ」と言ったことはよく分かったので、Aさんは、あとでマイケルにその意味を尋ねてみた。

 「トムは、僕が仕事で二度失敗したので、もう一度失敗したら馘首(クビ)だぞ、と云ったんだ。アメリカ人に分りやすい野球の比喩を使ってね」マイケルはAさんにそう教えてくれた。Aさんはこのブログで「3の構造」の項を読んでいたので、”Three strikes, you are out”というのも「3」に関連する云い回しだわ、とその符合を面白く思った。

 Aさんはそこで、「3の構造 II」に書かれていた、「3」の構造の特徴をノートに書き出してみた。

(イ) 多数のなかでの頂点を示す(「いろは」や「ABC」など)
(ロ) 安定性(三脚椅子の例のように不安定さの無い状態を示す)
(ハ) 発展性(二つが作用しあって新しい何かが生まれるという発展構造)

 さて、ボスのトムが使った云い回しは、どうやらこの中の(イ)に相当するようだ。三回も失敗を続ければ、そいつはその後も同じように多数の失敗を繰り返すだろうというわけだ。

 次にAさんは、ニュアンスの似た日本語の諺を考えてみた。すると、「二度あることは三度ある」と「三度目の正直」の二つが頭に浮かんだ。トムの言い分を当て嵌めてみる。「二度あることは三度ある」から次は失敗しないように気をつけろ、二度までは許してやるが「三度目の正直」で駄目なら馘首(クビ)だぞ、といった感じだろうか。Aさんは、アメリカと日本に同じような言い回しがあることに、「3の構造」の世界性を感じた。

 ところでAさんは、このうち「三度目の正直」という諺のなかに、別のニュアンスがあることを感じ取ってもいた。それは「動性」である。「二度あることは三度ある」という場合は、物事がそこで(静的に)安定してしまうけれど、「三度目の正直」には「前の二回とは違うようにする」ということで、行為の「動性」が伺える。だからこの諺は(ハ)の「発展性」に相当するのではないだろうか、とAさんは考えたのである。Aさんはこの考えに基づいて、三つの諺を(多少重なりはするものの)次のように並べてみた。

(イ) “Three strikes, you are out”(頂点性)
(ロ) 「二度あることは三度ある」(安定性)
(ハ) 「三度目の正直」(発展性)

 するとAさんはさらに、この三つの特徴のなかに(イ)→(ロ)→(ハ)という「流れ」が見えてきた。頂点性から安定性に、そして発展性へ。どういうことかマイケルの例で考えてみよう。マイケルが仕事で失敗を続ける今の状態から脱するためには、前の二回と違った何か別の遣り方をしなければならない。(イ)に始まって、(ロ)に留まってしまっていては、彼の成功は無い。マイケルは、前の失敗経験を生かして、(ハ)の発展性へと動き始めなければならないのである。

 いかがだろう、頂点から安定点に、そして発展へ、(イ)→(ロ)→(ハ)という「流れ」が見えてきただろうか。頂点を形成し、安定点へ到達しようとする意識の流れは、気付きによって、内部から分岐・発展させ、次のステージへと向きを変えることができる。皆さんも、仕事で失敗が二度続いたら、ボスから“Three strikes, you are out”と云われる前に、その失敗を活かして別の方法を編み出し、「三度目の正直」にチャレンジしていただきたい。Aさんからこのことを教えられたマイケルも、その後なんとか別のやり方で仕事に成功し、ボスのトムから褒められたという。

TwitterやFacebookもやっています。
こちらにもお気軽にコメントなどお寄せください。

この記事へのコメント

コメントを書く

お名前(必須)

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント(必須)

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

夜間飛行について

運営者茂木賛の写真
スモールビジネス・サポートセンター(通称SBSC)主宰の茂木賛です。世の中には間違った常識がいっぱい転がっています。「夜間飛行」は、私が本当だと思うことを世の常識にとらわれずに書いていきます。共感していただけることなどありましたら、どうぞお気軽にコメントをお寄せください。

Facebookページ:SMR
Twitter:@sanmotegi


アーカイブ

スモールビジネス・サポートセンターのバナー

スモールビジネス・サポートセンター

スモールビジネス・サポートセンター(通称SBSC)は、茂木賛が主宰する、自分の力でスモールビジネスを立ち上げたい人の為の支援サービスです。

茂木賛の小説

僕のH2O

大学生の勉が始めた「まだ名前のついていないこと」って何?

Kindleストア
パブーストア

茂木賛の世界

茂木賛が代表取締役を務めるサンモテギ・リサーチ・インク(通称SMR)が提供する電子書籍コンテンツ・サイト(無償)。
茂木賛が自ら書き下ろす「オリジナル作品集」、古今東西の優れた短編小説を掲載する「短編小説館」、の二つから構成されています。

サンモテギ・リサーチ・インク

Copyright © San Motegi Research Inc. All rights reserved.
Powered by さくらのブログ