今年の「日本女子プロ選手権」ゴルフは、諸見里しのぶ選手が通算6アンダーのスコアーで優勝した。二位の全美貞選手がイーブン・パーだから、6打差での優勝ということになる。日曜日の午後TV放送を観ていた限りの話だが、難しいコース設定にも関らず、彼女はドライバーのフェアウェイ・キープ率が高く、グリーンを狙うショットでうまくボールを止めることが出来ていた。
ドライバーが曲がってボールがラフに捕まると、どんなプロでも次のショットでうまくボールをコントロールすることが出来ない。私の我流ゴルフではどの道うまくボールをコントロールすることなど出来ないけれど、それでもドライバーで打ったボールがフェアウェイに残れば、次のショットは安定する。
諸見里しのぶ選手は、この「ドライバーでフェアウェイをキープして、グリーンを狙うショットでうまくボールをカップの傍に止める」という「ゴルフの王道」を見事に実践していた。さて、彼女のプレイを観ていて思い出したのは、「リーダーの役割」で述べた、
(引用開始)
経営に必要な情報は、どうしてもリーダー及びその周辺に集中する。内容は変化し量は増えていくから、組織全体のおける情報量の分布は、概ね「ベキ則」に従う。
(引用終了)
というところである。週末のんびりTVを観ていても仕事を思い出してしまうのだから我ながら呆れるが、どういうことか説明してみよう。
ここでいう「ベキ則」とは、構成要素自体が成長し、ネットワーク上優先的選択が起きる場合の法則で、簡単に言えば、金持ちは益々金持ちになる、という80:20の法則(全体の20%の人が80%の収入を得るという喩え)のことである。
ドライバーを安定して打てる人は、(次のショットをコントロールすることが可能だから)グリーンを狙うショットでうまくボールをカップの傍に止めることができ、スコアーが良くなるが、ドライバーを安定して打てない人は、グリーンを狙うショットでうまくボールを止めることができず、スコアーを悪くしてしまう。この傾向は18ホール全てで起きる。その結果、スコアーの差はホール毎に累積していく。それまでのスコアーが良ければ、たとえラフに入っても余裕を持って対処出来るから大崩れしない。ゲームが進むにつれて、前者は後者に対してますます(ベキ則的に)優位に立つわけだ。勿論、ゴルフはドライバーの上手い下手だけではないけれど、この差は大きい。
以前「個人事業主」のなかで、
(引用開始)
自分の興味分野に確信が持てるようになり、それを仕事に活かしたいと思う人は、「個人事業主」として独立し、自らの得意分野に沿った「スモールビジネス」を立ち上げて、社会への貢献を図っていただきたい。
(引用終了)
と書いたけれど、ビジネスを始めたあと継続的に仕事が来るかどうかは、初期顧客を十分満足させられるかどうかにかかっている。十分満足した顧客は、リピーターとしてあなたの店を訪れてくれるばかりでなく、周りの人にも声をかけてくれるから、店の評判は高まるだろう。逆に初期の顧客を満足させられなければ、悪い評判が立って、ますます仕事が来なくなるだろう。これをゴルフの比喩でいえば、特にゲームの初期、ドライバーできちんとフェアウェイをキープするということである。
それではどうしたらドライバーを安定して打てるようになるのか。月並みな答えだが、それには練習を積むしかない。練習を繰り返してショットに自信をつけ、試合には平常心で臨む。「日本女子プロ選手権」における諸見里しのぶ選手はまさにそのお手本のようなゴルフだった。
顧客を満足させるためには、日々の努力が必要である。これからスモールビジネスを立ち上げる人は、この「フェアウェイ・キープの原則」を念頭に置いて、素晴らしいスタート・ダッシュを計っていただきたい。
この記事へのコメント
コメントを書く