以前「モチベーションの分布」の中で、
(引用開始)
釣鐘型の「正規分布」は、人の身長やみかんの大きさなど、自然界に広く見られる現象だ。モチベーションとは「やる気」である。人が興味を持つ対象はそもそも千差万別で、ある目的に対する「やる気」は、その人の興味の度合いに比例するだろうから、無作為にある目的を定めると、どうしても「全体のうち2割の人はよく働き、6割はふつうに働き、そして残りの2割はあまり働かない」という分布が出現してしまうのだろう。
(引用終了)
と書いたけれど、ある意図や行為に関する人々の興味を理由別に捉えると、360度の広がりを持つ富士山型分布曲線を描くことが出来る。
例えば「自転車を買いたい」という意図に関して、人がなぜそれに興味を持つかという理由をいくつか考えてみよう。
1. 身体を動かしながら風に当たるのが気持ちよい
2. 普段あまり訪れないところへ行ってみたい
3. お金が掛からず通勤にも便利
4. エコロジカルなところが良い
5. 自転車のメカニズムが好き
などなど。これらの理由別に人々の興味の度合いを統計に取れば、「モチベーションの分布」で見たようにそれぞれ釣鐘型の「正規分布」になる筈だから、その正規分布を立体的に御椀のように並べれば、(頂上付近はもっとなだらかな形になるが)富士山型分布曲線になるというわけだ。
「リーダーの役割」で考察したように、情報は、興味に関する「正規分布」のうち度合いの強い2割に集中するから、この富士山型分布曲線の裾野の何処に自分がいるかによって、集まってくる情報量が違ってくる。皆さんも経験があると思うが、好きなことに関しては努力しなくても何でも目に入ってくるのに、興味のないことであれば目の前にあってもまったくその存在に気付かない。興味の度合いに応じて、人の情報収集率は増減するわけだ。
勿論、興味の理由は一つだけではないだろうから、裾野のあちこちに自分がいるわけだが、例えば「自転車を買いたい」という意図について考えてみると、それぞれの「正規分布」上度合いが強い方の2割の人は、興味の横展開として次のようなことが考えられるはずだ。以下の1.から5.は、それぞれ上の1.から5.に対応する。
1. ジョギングやマラソンなどのスポーツ
2. 地域の歴史や地図などへの興味
3. 節約全般
4. ヨットやカヌーなど
5. バイクや車など他のメカニックな乗物
自転車を買ってしばらく乗り回してからでないと、なぜ自分が興味を持ったのか本当のところは分からないから、自分が裾野の何処にいるかを知るには少し時間がかかるけれど、しばらくしてもやはり「身体を動かしながら風に当たるのが気持ちよい」ということに熱心な人は、類似性のある「ジョギングやマラソンなどのスポーツ」への興味が、自然に横展開するわけだ。
そこから先は、「立体的読書法」の要領で、次々に自分の興味の対象を広げていくことも出来るし、「繰り返し読書法」の要領で、一つのことをじっくりと掘り下げることも出来る。この「興味の横展開」を自覚することによって、自分の中に眠っている様々な可能性を見出して欲しい。
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