ビジネスでは経営戦略上、競合他社と競争して勝ち残りを狙うのか、競合他社と提携して協調を図るのか、難しい判断を迫られるときがある。スモールビジネスといえども例外ではない。そういう場合には、例のResource Planning(R.P.)的発想で全体を俯瞰し、結論を出さなければならない。
判断するのに重要なのは、対象事業における経営資源の多寡・増減であることは云うまでもない。しかし、それは自社と他社との相対的な比較ではなく、競合他社を含めた全体の多寡・増減でなければならない。全体の資源に限りがあることが見えているのに闇雲に競争すれば、互いに疲弊し他社もろとも倒れてしまう。一方、資源が潤沢にあるのに競争せずにいると、新規参入者にしてやられることになる。
勿論、資源は事業の分野や段階によって異なるから、ある分野では競争しながら別の分野で協調する、といったこともあり得る。たとえば、空から降ってくる太陽光はいわば無尽蔵である。だから、太陽電池、なかでも色素増感型電池を手がけている会社は、今年スイスの研究者が持つ基本特許が切れたことでもあり、大いに自社技術の深化を目指せばよい。しかし、発電に供給が充分でない材料(たとえばシリコン)を必要とする場合、その資源調達に関しては他社との協調を図るべきだ。
この「競争か協調か」という判断は、企業経営に限られたことではない。自治体やスポーツ団体など、人・物・金に関わる様々な現場でこの判断が必要だ。
わかりやすい例えを使って考えてみよう。サッカーやバスケット・ボールなどのチーム・スポーツを考えて欲しい。この場合の資源は人、すなわち選手たちである。「自由競争」と「チームワーク(協調)」はどのような場面で使い分けられるのか。
コーチが大勢の選手の中からベンチに入る選手を選び、さらにその中からスターティング・メンバーを選ぶのは「自由競争」の原理に基づいている。すなわち、人的資源はチーム内の全ての選手たちであり、豊富にあるものの中から「自由競争」の原理でベストなものを選び出すわけだ。場合によってはよそのチームの選手も選ぶ対象になる。一方、実際の試合になると、スターティング・メンバーおよびベンチの選手たちはチームとして団結しなければならない。これが「チームワーク」だ。この場合の目的は試合に勝つことで、人的資源は(スターティング・メンバーとベンチの選手たちだけに)限られるからである。
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