前回「暗号の手紙」の項でみた『秘密諜報員ベートーヴェン』古山和男著(新潮新書2010年)に触発されて何冊か関連する本を読んだ。以下、それらを簡単に紹介しておきたい。
1.『哲学するベートーヴェン』伊藤貴雄著(講談社選書メチエ2025)副題「カント宇宙論から《第九》へ」
改革派に与していたというベートーヴェンの生い立ちと、彼を取り巻く人物たちとの交流を知ろうと手にした本。《第九》作曲への道筋がよりよく見えて来る。本のカバー裏表紙にある紹介文は次の通り。
(引用開始)
「われらが内なる道徳法則と、われらが上なる星輝く天空! カント!!」
――一八二〇年、四十九歳のベートーヴェンは、そう書き記した。
《第九》初演のおよそ四年前のことである。
引用された『実践理性批判』の結語に加えられたわずかな変更と、この大いなる感激は、何を物語るのか。
果たして哲学は音楽に影響をもたらしたのか。
ベートーヴェンと、彼を取り巻く文化的、社会的文脈から《第九》を生んだドイツの時代精神を描き出す!
(引用終了)
2.『ゲーテとベートーヴェン』青木やよひ著(平凡社新書2004年)副題「巨匠たちの知らざれる友情」
ベートーヴェンを取り巻く人物たちの中でとくに興味深いゲーテとの交流について書かれた本。章立ては以下の通り。
第一章 対照的な二人の巨匠
第二章 青春の迷いのとき――ゲーテ
第三章 宮廷音楽家からの出発――ベートーヴェン
第四章 成熟のとき――ゲーテ
第五章 両巨匠をつなぐもの
第六章 夏の保養地ボヘミア
第七章 世紀の出会い
第八章 知らざれる幸福な再会
第九章 二つの世界の交響
第十章 ゲーテの沈黙とベートーヴェンの政治意識
ゲーテとベートーヴェンは一八一二年に夏の保養地ボヘミアで初めて出会う。そのことは『秘密諜報員ベートーヴェン』にもあるが、この本にはその前後の経緯も描かれていて好奇心が満たされる。
3.『ミステリー作家漱石の謎を解く』古山和男著(帝京新書2024)副題「百年計画で斃すべき敵の正体」
古山氏の新しい本。こちらは夏目漱石の小説の裏を探る内容。本のカバー表紙にある紹介文は次の通り。
(引用開始)
漱石の謎「文学の形式はF+f」「敵を百年計画で斃す」の意味は何か。
日露戦争の戦死者、霊が現れる能楽の夢幻能に手がかりが。
『草枕』の那美も『三四郎』の美彌子も、亡霊の「迷女(マドンナ)」だった!!
(引用終了)
漱石の『吾輩は猫である』や『坊ちゃん』、『草枕』や『三四郎』をこのような視点で読んだことはなかった。ベートーヴェンの話同様興味深い内容。







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