去年「後期近代 III」の項で、後期近代は中産階級の減少・没落に特徴づけられるとし、中産階級の政治的考えは、概ねコモンセンス(社会生活上誰もが知っている共通の認識、思慮、分別、良識など倫理的な事柄)に基づいている、と書いたが、ここではコモンセンスから外れる言動(考えと行動)について、(政治的なものだけでなく広く一般的な言動も含めて)その要因を探ってみたい。
今回も前提として、複眼主義の対比を援用する。その対比(AとB)とは、
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A Resource Planning−英語的発想−主格中心
a 脳(大脳新皮質)の働き−「公(Public)」
A 男性性=「空間重視」「所有原理」
B Process Technology−日本語的発想−環境中心
b 身体(大脳旧皮質及び脳幹)の働き−「私(Private)」
B 女性性=「時間重視」「関係原理」
などの内容を指し、複眼主義では両者のバランスを大切に考える。ただし、
・各々の特徴は「どちらかと云うと」という冗長性あり。
・感性の強い影響下にある思考は「身体の働き」に含む。
・男女とも男性性と女性性の両方をある比率で併せ持つ。
・列島におけるA側は中世まで漢文的発想が担っていた。
・今でも日本語の語彙のうち漢語はA側の発想を支える。
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というもの。以下、コモンセンスから外れる言動の要因を列挙し、それぞれについてコメントしていこう。
<1>三つの宿痾
以前「三つの宿痾」の項で書いた、
(1)社会の自由を抑圧する人の過剰な財欲と名声欲(greed)
(2)それが作り出すシステムとその自己増幅を担う官僚主義(bureaucracy)
(3)官僚主義を助長する我々の認知の歪みの放置
という人類の宿痾三つの何れかによって、コモンセンスを外れた言動が生まれる。詳細は同項を参照していただきたいが、(3)の例としては、
二分割思考(all-or-nothing thinking)
過度の一般化(overgeneralization)
心のフィルター(mental filter)
マイナス思考(disqualifying the positive)
結論への飛躍(jumping to conclusions)
拡大解釈と過小評価(magnification and minimization)
感性的決め付け(emotional reasoning)
教義的思考(should statements)
レッテル貼り(labeling and mislabeling)
個人化(personalization)
などがある。それらは、
<内的要因>
体全体:病気・疲労・五欲
脳(大脳新皮質)の働き領域:無知・誤解・思考の癖(くせ)
身体(大脳旧皮質・脳幹)の働き領域:感情(陽性感情と陰性感情)
−陽性感情(愛情・楽しみ・嬉しさ・幸福感・心地よさ・強気など)
−陰性感情(怒りと憎しみ・苦しみ・悲しさ・恐怖感・痛さ・弱気など)
<外的要因>
自然的要因:災害や紛争・言語や宗教・その時代のパラダイム
人工的要因:greedとbureaucracyによる騙しのテクニック各種
によって生まれる。
<2>AとBのバランス
複眼主義の対比から言えることの一つに、脳(大脳新皮質)は新しいことを考えるのが得意であり、身体(大脳旧皮質及び脳幹)は継続性を重んじる、という傾向がある。コモンセンスのある人はAとBのバランスが良い。複眼主義でも両者のバランスを大切に考える。しかし人はこのバランスを崩して、コモンセンス外の言動を取ることがある。A側に傾斜したものでは、ひたすら理屈っぽい言動、過激な言動、計略など。B側に傾斜したものとは、身体(大脳旧皮質及び脳幹)の継続性を重視した言動。身体の弱った老人の言動はこちらが多くなりやすい。脳と身体は繋がっているから相互に影響を受ける。<1>の(3)における体全体(病気・疲労・五欲)と感情(陽性感情と陰性感情)による認知の歪みが重症化するとその悪い例となる。空気や雰囲気に呑まれたり、情(友情や愛情)に引き摺られたりしてコモンセンス外の言動に走ってしまうのは、B側の影響が強い日本人によくみられる。
尚、いわゆる常識(社会で一般的に当たり前とされている知識、考え方)と倫理性がベースにあるコモンセンスとは別物。常識は新しい優れた考えによって上書きされ得る。つねに常識を疑うのがコモンセンスだともいえる。このブログについて、“世の中には間違った常識がいっぱい転がっています。「夜間飛行」は、私が本当だと思うことを世の常識にとらわれずに書いていきます”と記したのはこのことを指しているつもりだ。
<3>社会的拘束
何らかの社会的な拘束で、本心とは違う言動を迫られそれがコモンセンスを外れた言動になることがある。
〇脅迫を受けている
〇借金がある
〇主従関係、契約関係がある
などなど。こういった要因はなかなか表に出ないので判断が難しいが、その人の言動の一貫性、社会的な地位や立場、などを調べると解ってくる。この要因は政治家やマスコミの言動に現れることが多い。
以上だが、人がコモンセンス外の言動を見せる場合、その要因を上記したなかから見つけ出し、どのように対応するかを判断して欲しい。要因が複合的な場合もある。勿論、自分の言動についても上記と照らし合わせ自省したい。







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