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後期近代 III

2024年11月15日 [ 公と私論 ]@sanmotegiをフォローする

 今という時代の文明的位置づけについてこれまで、

後期近代
後期近代 II

と綴ってきたが、最近「X」(旧Twitter)の方で追加的に思う所を書いたので、ここにそれを転記して纏めておきたい。

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@ 現代は西洋近代が終った「ポスト・モダン」の時代などではなく、近代化が徹底し「後期近代」に入った時代。その先に見える未来は、negativeに考えると「高度監視社会」、positveに考えると「地域充実社会」となるだろう。

A 後期近代の特徴の一つは「中産階級の減少・没落」。西洋近代が合理主義と機会平等を推し進めた結果、先進国(G7)を中心に地域社会が充実し「中間階級」が興隆した。しかし後期近代に至り、社会は一握りの「富裕層」とその他大勢の「貧困層」とに分離、「中産階級」は減少・没落した。

B 今の先進国の政府は、富裕層による貧困層のコントロール装置と化している。ヨーロッパの一部では貴族と官僚によるコントロール、ヨーロッパのその他とアメリカでは軍産と官僚によるコントロール。彼らの支配ツールとして「情報操作」「戦争」と過激な「宗教」が使われる。

C 中産階級において、若年層は過激で老年層は保守的、女性性は安定を好み男性性は競争を好む、といった違いはあれど、彼らは基本的に合理主義と機会平等を尊重、その政治的考えは「中道」である。

D 中産階級が減少・没落した現在、政治家や政治的考えを「右」だ「左」だと評価・判断し、支持や否定するのはナンセンス。「右」や「左」は、厚い中産階級があるなかで「中道」からのズレを補正するための議論だから。

E 中産階級が死に瀕している現在、政治家や政治的考えを支持・否定する基準は、彼ら彼女らが富裕層と貧困層の分離を固定化しようとする「高度監視社会」派か、中間層の再興を指向する「地域充実社会」派か、という一点だと思う。

F 近代化に後れを取った国々(BRICS)は、いまの段階で独裁から民主政治へと向かい中間層の充実を図ろうとしている。後期近代に入った先進国が余計なちょっかいを出さない限り、それらの国々は中産階級が興隆し「地域充実社会」へ向かうと考えられる。

G 日本はG7の一角を占めながら、歴史的経緯から未だ米軍支配下にある特殊な国。そもそも日本の近代は「個の自立」を伴わない疑似近代社会。戦前は主に英国、戦後米国の恩恵を受けて中産階級の興隆はあったが、それは経済に偏した歪(いびつ)な形のもの。

H 明治維新以降の日本に、文化的に新しいものは少ない。リットン調査団からパペット・ステーツと呼ばれた戦前の満州国なども歪(いびつ)さの表れか。ただ、日本には近代以前の遺産が豊富で、西洋や他地域にはない面白さがある。日本語という稀な母音言語もその一つ。

I 疑似近代の日本も、後期近代に入り他の先進国同様「中産階級の減少・没落」に直面している。日本はまず「個の自立」によって疑似近代から近代へと歩みを進めなければならないが、政治家や政治的考えを支持する基準は、中間層の再興を指向する「地域充実社会」派かどうかであるべき。

J 今の日本には、近代以前(近世まで)の遺産を生業にしている人たちが少なからずいる。歌舞伎役者、落語家、日本画家、茶道家、庭師、日本料理人などなど。一方、日本にも西洋近代を良く知る人たちがいる。医者、科学者、思想家、実業家、バイリンガル、お雇い外国人など。

K 日本が「高度監視社会」派に支配されたままだと、前者は観光資源としての役割しかなくなり、後者は消滅するか富裕層に吸収されてしまうだろうが、「地域充実社会」派が主導権を得ると、前者と後者が橋渡しされて、地域に根差した新しい日本的中産階級が形作られる可能性が出てくる。

L その例になるような話として、今日の東京新聞「TOKYO発」というコラムに、地元の呉服店、川越で地域誌を発行する女性、着物研究家の英国人、技術力の高い地元の織物会社らのコラボで、幕末の江戸っ子を魅了した川越唐桟(とうさん)という織物が蘇りつつあるという記事が載っていた。

M 今回のアメリカ大統領選挙では中間層の再興を指向する「地域充実社会」派(トランプ)が勝利し「高度監視社会」派支配に歯止めが掛かった。米軍支配下の日本も、そちらへ動きを加速させるチャンスだと思う。各党の中では減税をメインに掲げる「れいわ新選組」の主張が真っ当に見える。

N 「西洋近代」とは、西洋近代文明(Western Modern Civilization)のこと。先進国で中間層が上手く再興し、後進国で中間層が興隆すれば、これからは、それぞれの国が地域充実社会を築き上げる「地域近代」、地域近代文明(Local Modern Civilization)の時代が来るのではないだろうか。
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以上だが、「中産階級」の政治的考えは概ねコモンセンス(社会生活上誰もが知っている共通の認識、思慮、分別、良識など倫理的な事柄)に基づいている。それは概ね人類共通だから、「地域近代」の時代になっても各地域の政治的考えにあまり違いは生まれないと思う。

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posted by 茂木賛 at 10:58 | Permalink | Comment(0) | 公と私論

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