前回ホームズとワトソンの比喩を使って、Resource Planning(R.P.)とProcess Technology(P.T.)との違いを分かってもらったところで、今回は経営のイロハである”Plan, Do, See”に沿って、企業におけるR.P.とP.T.の役割の違いを見ていこう。皆さんはホームズとワトソン、あるいは杉下右京と亀山薫になった気分で読んで欲しい。
まずは自分たちの会社の「理念と目的」を確認しよう。企業とは、仲間と力を合わせて社会の為に何かを実現するところだ。ここは二人でじっくり相談して決めて欲しい。
「会社を始める際には、なぜその会社を興そうとしたのかという理念(Mission)と、具体的に何を達成したいのかという目的(Objective)を、自分できちんと書いてみることが重要である。いくら小さくとも会社は一つの共同体だから、その理念と目的を、社員やお客様、さらには社会に対してわかりやすく伝えることが大切なのである。この二つをはっきりさせず、ただお金が儲かるからとか、人に頼まれたからという理由で始めても、会社という共同体は長続きしない。」(「理念(Mission)と目的(Objective)の重要性」より)
「理念と目的」が決まったら、次はそれに沿って、自分たちの会社が持つ資産と市場とのマッチングを計る。”Plan, Do, See”の”Plan”の部分である。よほど特殊な資産、たとえば貴重な特許などを持っていれば別だが、通常の場合、他の誰でも出来そうなやり方ではなかなかお客様に受け入れられない。独創的な戦略が必要とされる部分だ。独創性は、組織・商品・店舗・流通など合わせて少なくとも三つ以上欲しいところだ。独創性を編み出すためには、大局を観て、常識にとらわれずに大胆な発想をする必要がある。だからここはホームズ・杉下の出番である。ただし計画が頭でっかち(ひとりよがり)にならないように、きちんとワトソン・亀山がサポートしなければならない。このphaseに参考になりそうな過去の記事を載せておこう(以下同様)。
『現場のビジネス英語「MarketingとSales」』
「統合と分散」
資産と市場とのマッチングが取れて戦略が決まったらあとは実行あるのみ。”Plan, Do, See”の”Do”の部分である。いろいろと足りないものや不安なところがあるだろうが、まずはやるしかない。やってみて初めて分かることも多いものである。失敗は次に活かせば良い。だからここは、その場その場で全力を尽くすワトソン・亀山の出番だ。リーダーシップを発揮してスタッフの力を最大限引き出す。現場で皆と一緒になってチームワークで難局を乗り越える。ただし当初の目標を見失わないように、ホームズ・杉下のサポートも必要である。
「本づくりとスモールビジネス」
「里山ビジネス」
「建築士という仕事」
一定の期間が終わったら、結果を冷静に分析しなければならない。”Plan, Do, See”の”See”の部分である。ここは二人で(場合によってはスタッフも入れて)一緒にやる。R.P.的な発想から見えてくる反省点もあろうし、P.T.的発想から見えてくる反省点もあるはずだ。あそこにもう少しお金を投入していれば、あそこでもうちょっとみんなで頑張れれば、などなど。そして二人で次の目標を立てる。場合によっては「理念と目的」の修正も必要かもしれない。
「爆弾と安全装置」
「カーブアウト」
ホームズとワトソンならベーカー街の下宿、杉下と亀山なら小料理屋花の里で、味のある会話のうちにここで一話が終わるところだが、会社運営の場合は終わりがない。結果分析が終わり、次のターゲットが決まったら、少し休んでから再び「理念と目的」に沿って資産と市場とのマッチングを計り、戦略を立て直さなければならない。再び”Plan, Do, See”の”Plan”である。前話の結果を継承しながらまた新しいエピソードが続いていくのである。
この記事へのコメント
コメントを書く