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現場のビジネス英語“mind & sensory”

2020年02月17日 [ 現場のビジネス英語シリーズ ]@sanmotegiをフォローする

 先回の「現場のビジネス英語」では、“out of sight, out of mind”について書いたが、今回はこの“mind”と、その対となる“sensory”について見てみたい。どうしてかというと、英会話などで、日本語の「こころ」という言葉を、どのように翻訳して相手に伝えたらよいのかを考えたいからである。

 まず“mind”から。辞書による定義は“the part of a person that makes it possible for him or her to think, feel emotions, and understand things”(Cambridge Dictionary)とある。「think, feel emotions, and understand things」だから、“mind”は、人の思考にかかわる脳の活動としてよいだろう。前回の「内因性の賦活」でいう人の「知性と自由意志」を担う部分。「理性」を担う部分といってもよい。

 それに対して“sensory”はどうか。辞書によると“connected with the physical senses of touch, smell, taste, hearing, and sight”(Cambridge Dictionary)とある。「physical senses」には、アフォーダンスでいう知覚システムの一つ基礎定的定位、自律神経系の興奮と安らぎ、さらに内臓の痛みなども含めてよいと思う。「感性」を担う部分である。

 思考にかかわる“mind”と、身体の働きにかかわる“sensory”。英語ではクリアーだが、日本語の「こころ」という言葉はどうだろう。たとえば十二世紀の歌人・西行に、

空になる
心は春の霞にて
世にあらじとも思ひ立つかな

という歌がある。『西行 魂の旅路』西澤美仁著(角川ソフィア文庫)によると、これは彼が出家を決意した時の歌で、現代語訳は「心が空に吸い込まれる感覚は、ちょうど春霞が立つのに似ていたので、同じ立つなら、私もこのまま世を遁れようと思い立ったのである」。「空に吸い込まれる感覚」の「心(こころ)」とは、感性の強い影響下にある言葉だ。「こころ」の英訳を調べると、

“mind”
“heart”
“spirit”

などとなっている場合が多い。“heart”は辞書によると“used to refer to a person’s character, or place within a person where feelings or emotions are considerd to come from”(Cambridge Dictionary)、“spirit”は“the way a person is feeling”(Cambridge Dictionary)といういことで、「こころ」という言葉は、“mind”の意味だけに収まり切らず、“sensory”に近い意味をも含有することがわかる。

 日本語の「こころ」は、“sensory”の強い影響下にある言語思考からくる。脳を身体機能と一体化して使うといってもよい。日本語、なかでも大和言葉にはそういう傾向が強くみられる。「こころ」「思い」「あこがれ」などなど。「脳と身体」などの項で述べてきたように、複眼主義では、日本語に特徴的な、“sensory”の強い影響下にある言語思考は、

A Resource Planning−英語的発想−主格中心
a 脳(大脳新皮質)の働き−「公(Public)」

B Process Technology−日本語的発想−環境中心
b 身体(大脳旧皮質及び脳幹)の働き−「私(Private)」

として、「身体の働き」の方に含めている。勿論「どちらかと云うと」ということだが。

 さて、英語の会話で「こころ」と言いたいときはどうしたらよいか。まず、自分が理性について話したいのか、感性に比重を置いて話したいのかを自問してみよう。理性についてなら“mind”を使えばよい。感性に比重を置きたいのならば、“heart”や“spirit”という言葉を選べばよいだろう。辞書にあるように、英語でも“feeling”(感情)や“emotion”(情動)は“heart”からくると思われていたわけだし、“gut feeling”や“heartbreak”といった日本語的発想に近い言い方もあるのだから。

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