「3つの石」、「12の土」ときたから、次は「10の雲形」といこう。雲は国際的に統一された形分類によって10種類に分けられる。それぞれの特色を『図解 気象学入門』古川武彦・大木勇人共著(講談社ブルーバックス)から書き出してみたい。
その前にまず地球の大気圏を温度分布で分けると、上から、
熱圏(中間圏の上、高度500q付近まで)
中間圏(成層圏の上、高度80q付近まで)
成層圏(対流圏の上、高度50q付近まで)
対流圏(地上から高度11q付近まで)
となる。オーロラや流れ星が光るのは熱圏、オゾン層は成層圏にある。雲が生じるのは対流圏まで。ジェット気流は対流圏上層を流れている。
対流圏にある雲は、高度によって上から、
上層雲(7qから11q付近まで)
中層雲(2qから7q付近まで)
下層雲(地上2q付近まで)
とに区分される。雲は、発達の仕方によって対流雲と層状雲とに分かれる。前者は対流によって鉛直方向に成長する雲、後者は水平に広がる雲。10の雲形の話はここからだ。
対流雲には、10のうち積雲と積乱雲の2つの雲形がある。
<積雲>別名:綿雲。雲底は下層にある。背の高いものは雄大積雲と呼ばれる。
<積乱雲>別名:入道雲、雷雲。雲底は下層にあり、雲頂は上層に達する。激しい雨と雷をともなう。
層状雲には、残り8つが含まれる。まずは「X層雲」と付く(平らに広がる)4つを下層から。
<層雲>別名:霧雲。地上に近いところに広がる。地表に接しているときは霧。
<乱層雲>別名:雨雲。中層を中心に厚く広がる。本格的な雨をもたらす。
<高層雲>別名:おぼろ雲。空一面に広がる曇り空。太陽が透けることもある。
<巻層雲>別名:うす雲。ベールのように覆う。太陽の回りに光の輪が見える。
次に「X積雲」と付く(団塊状の雲が層状に広がる)3つを下層から。
<層積雲>別名:うね雲。畑のうねのように並び、雲底が少し黒っぽく見える。
<高積雲>別名:大まだら雲、羊雲。だんだら雲団塊が多数並んで広がる。
<巻積雲>別名:うろこ雲、さば雲、いわし雲。細かいさざ波のように広がる。
最後に、
<巻雲>別名:筋雲、巻き雲。氷の粒が落下して、刷毛ではいたような筋状に見える。上層雲。
以上、まとめると、
対流雲(2つ)
<積雲>、<積乱雲>
層状雲(8つ)
<層雲>、<乱層雲>、<高層雲>、<巻層雲>
<層積雲>、<高積雲>、<巻積雲>、<巻雲>
ということで10の雲形となる。正式名は漢字が重複していて少々紛らわしい。入道雲、羊雲、うろこ雲、雨雲といった別名の方がイメージしやすいかもしれない。どちらで覚えてもいいと思う(同書51−52ページには雲形と高さを示すイラストがあるので参照されたい)。
対流雲は、寒冷前線が近づくときなどに発達する。地表の空気が暖められ上昇してできた<積雲>の下に寒気が入り込むと、雲は雄大積雲、<積乱雲>へと発達し、激しい雨が降ってくる。層状雲は、温暖前線が通過するときなど順に現れる。まず高層に<巻雲>が現れ、次に<巻層雲>と<巻積雲>、中層に<高積雲>と<高層雲>が現れ、最後に<乱層雲>が出現する。そうするとやがて雨になる。同じ層状雲でも下層の<層雲>と<層積雲>は、地表の湿った空気が上昇して横に広がる。
空で毎日繰り広げられる雲(と光と風)のドラマは、まるで壮大な交響曲をのよう。いそがしい皆さんも、仕事の合間、音楽を聴くような気持ちで空を見上げていただきたい。仕事に戻ったとき、ふと、素敵なアイデアが浮かぶかもしれない。
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