先日「民泊新法」の項で、“民泊とは、「住宅の閾(しきい)」を利用して(あるいはちょっと拡張して)行うnon profitな公的活動の筈。一般の営利事業とは違う。それに対して「住宅宿泊事業法」などという仰々しい名前の規制を被せるのはそもそもお門違いではないのか”と書いたけれど、今から3年前、「“コト”のシェアと“サービス”」の項で、
(引用開始)
このレベルでしかシェア・サービスが語られないのであれば、次に出てくるのは政府による「規制緩和」の話になってしまう。東京オリンピックに向けてどの法律をどう変えて「民泊」を進めるかなどなど。どこまで許可するか、しないか、それが官僚の手の上でもてあそばれるだけだ。
(引用終了)
と書いたことを思い出した。「このレベル」とは、「本来“コト”のシェアは双方向・相互作用である筈なのに、シェア・サービスはまだ業者から顧客への一方向としてしか捉えられていないレベル」という意味。
3年前の予想通りになったような日本の「民泊」。このままではつまらないから、思考実験として、「新しい民泊」を考えてみたい。まずあなたが「迷惑をかけずに訪日客と交流してきた善意の家主」だとしよう。しかし民泊新法下では営業日数制限や立ち入り検査などの規制が多すぎて事業を続けられない。それならば、いっそのこと宿泊客から金をとらないnon profitな活動に衣替えしたらどうだろう。住宅の閾を貸して訪日客と交流するだけのシンプルな活動。もともと善意の家主なのだから利益は追わない。もらうのはチップだけ。そのかわり宿泊者にはできるだけ近隣商店街で食事や買い物をしてもらう。
近隣住民の理解、(民法新法を含む既存の宿泊サービスにまつわる法的束縛を受けないことへの)宿泊者の同意、商店街への事前説明などが必要だが、口コミでファンを作ればスタートできる筈。これまで何人もの訪日客と交流してきたのだから。当初は持ち出しになるだろうが、商店街の売り上げが増えれば、店主たちが部屋のメンテナンス費用ぐらい善意で出してくれるかもしれない。
名前も「民泊」ではなく、街ではやり始めている「オープン・ガーデン(Open Garden)」からヒントを得て、「Open Room for Stay」、略して「ORS」としてはどうだろう。留学生向けホームステイの観光客バージョンと考えても良いかもしれない。
先日「新しい家族概念」の項で、これからの家族と会社組織の共通点を、
1.家内領域と公共領域の接近→より近い市場での小商い
2.家族構成員相互の理性的関係→社員間のコンセンサス重視
3.価値中心主義→会社理念の共有
4.資質と時間による分業→社員の適材適所
5.家族の自立性の強調→社員の自主性の強調
6.社交の復活→福利厚生の充実
7.非親族への寛容→多様な社員構成
8.大家族→非儲け主義
と符合させだが、自分のところの宿泊者むけに観光案内などの有料サービスを始めてもいいわけで(会社登記もアリ)、「ORS」は家族概念と会社組織の融合を地で行くような事業になるのではないだろうか。
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