夜間飛行

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民泊新法

2018年07月03日 [ 起業論 ]@sanmotegiをフォローする

 新聞を読んでいたら「民泊撤退ビジネス急増」という記事が目に付いた。住宅宿泊事業法(民泊新法)が施行された途端に民泊からの撤退が急増しているという。民泊とは、住宅の空き部屋を宿泊用に貸すこと。新聞記事の冒頭部分を引用しよう。

(引用開始)

 民泊の廃業や縮小で生じた空き部屋を活用したり、家具の処分を手伝ったりするサービスの利用が急増している。15日に施行された住宅宿泊事業法(民泊新法)で、営業日数や安全設備の規制が厳しくなった。煩雑な手続きやコスト増で民泊の継続を断念するケースが相次ぐ。事業からの円滑な撤退を目指す家主の需要を取り込んでいる。
 「規制でがんじがらめ。迷惑をかけずに訪日客と交流してきた善意の家主まで締め出している」。民泊の廃業を決めた東京都新宿区の男性は憤る。
 新法で営業日数は年間180日までに制限された。自治体によっては独自の上乗せ規制も可能。男性は営業可能日数の大幅減少や任意の立ち入り検査を嫌い、民泊から撤退した。(後略)

(引用終了)
<日経新聞 6/23/2018>

記事はこのあと、部屋を賃貸マンション・貸会議室に模様替えするサービスや、不要になった家具を引き取るビジネスを伝える。

 前回「新しい家族概念」の項で、日本社会の古い仕組みを、

(引用開始)

 一方に「建築自由」、公よりも私を優先する土地所有制度があり、もう一方に「一住宅=一家族」、公と私の境界をはっきりさせ私人には公的領域に手を出させない住宅制度がある。この二つの制度を変えない限り、「私」はますます内に閉じ籠り、「公」はますます官僚支配に覆われる。

(引用終了)

と書いたけれど、民泊新法もこの典型のように見える。

(1)公よりも私を優先する土地所有制度(「建築自由」)があるから、近隣住民とトラブルを起こしても構わないと考える民泊業者が出る。

(2)それを止めるのに、公と私の境界をはっきりさせ私人には公的領域に手を出させない制度(「一住宅=一家族」)からしか法的対応ができないから、外側から様々な規制(民泊新法)を掛ける。

(3)結果、この記事にあるような「迷惑をかけずに訪日客と交流してきた善意の家主」も排除されてしまう。

 このままいくと、「ヤミ民泊」といった言葉が出回り、新しく住宅の空き部屋を宿泊用に貸そうとする私人の参入ハードルは高くなる。その一方、悪知恵の働く業者は規制をかいくぐる様々なノウハウを持っているだろうから、近隣住民とトラブルを起こしても構わないと考える民泊はそう減らないのではないか。

 民泊とは、「住宅の閾(しきい)」を利用して(あるいはちょっと拡張して)行うnon profitな公的活動の筈。一般の営利事業とは違う。それに対して「住宅宿泊事業法」などという仰々しい名前の規制を被せるのはそもそもお門違いではないのか。実際に関わっているわけではないから間違っているかもしれないが。いかがだろう。

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posted by 茂木賛 at 11:30 | Permalink | Comment(0) | 起業論

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