夜間飛行

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徳川時代の文化興隆

2018年02月10日 [ アート&レジャー ]@sanmotegiをフォローする

 前回「教義と信仰」の項で、複眼主義の対比、

A Resource Planning−英語的発想−主格中心
a 脳(大脳新皮質)の働き−「公(Public)」−「都市」
A 男性性=「空間重視」「所有原理」

B Process Technology−日本語的発想−環境中心
b 身体(大脳旧皮質及び脳幹)の働き−「私(Private)」−「自然」
B 女性性=「時間重視」「関係原理」

において、徳川幕府初期、両者(A側とB側)のバランスは程よく保たれていたと書いた。列島のA側は長く漢文的発想が担っていたが、戦国時代以降、漢文的発想と西洋語的発想とは共存、その後長い時間をかけて漢文的発想は英語的発想に置き換わってゆく。複眼主義では両者のバランスを大切に考える。

 しかし、「経営の落とし穴」や『百花深処』<近世の武士について>の項で見たように、徳川時代中期以降、武士は官僚化、サラリーマン化し、幕府が導入した朱子学は停滞、A側の新しい発想は学者や商人たちが局所的に担うようになる。『百花深処』<預治思想について>の項で触れた鎖国政策も手伝って、社会全体は次第にB側への傾斜を強めてゆく。

 『文明としての徳川日本』芳賀徹著(筑摩書房)という本などを読むと、その芳醇な在りようがよく見える。新聞の書評を抜粋引用しよう。

(引用開始)

 「江戸時代」とはいわず、「徳川日本」という言葉にこだわっているのには理由がある。徳川日本を一つの独立した文明体として捉えるべきだと、著者が考えているからだ。
 この主張の根底には近代とは何かという問いかけがあるのであろう。明治以降、日本は西洋に倣い、近代社会の構築に成功した、と言われている。しかし、この認識の共有には一つの落とし穴が待ち受けている。政治制度や経済構造については「古くて」「遅れた」ものが「新しくて」「先進的」なものに取って代わられたとの解釈が成り立つとしても、文芸や習俗、道徳や信仰の話になると、文化アイデンティティという問題がたちまち炙り出されてしまう。
 かつては、幕府時代は自由を抑圧する封建社会と見なされ、近代化は個人を封建的な社会関係から解放する過程だと考えられていた。それに対し、近代への歴史的転換は明治になって一夜のうちに成し遂げられたのではなく、徳川時代においてその準備が既に整えられているとする見方がある。両者はまったく相反するように見えるが、個人主義や合理主義に代表される「近代性」を普遍的価値とし、西洋の基準で日本の近世を眺めている点では変わりはない。
 前者に対し、著者はもとより歯牙にもかけないが、かといって、後者のような論にも与しない。そのかわり、十七、十八世紀の日本と西洋を比較することによって、「近世」と「近代」とを相対化し、価値中立的な立場から眺めようとしている。
 歴史の大きな流れから時代精神を捉えるかわりに、文化の移り変わりを映し出すさざ波に注目した。美術、詩歌から博物学や蘭学にいたるまで、今日なお強い光芒を放つ作品群を紹介し、時代の先駆者たちの横顔を精神史の天幕にくっきりと浮かび上がらせた。(後略)

(引用終了)
<毎日新聞 10/8/2017(フリガナ省略)>

紹介されているのは、「洛中洛外図屏風」、俵屋宗達「風神雷神図屏風」、松尾芭蕉、貝原益軒、杉田玄白、俵屋宗達、平賀源内、與謝蕪村、渡辺崋山などなど。

 社会全体として(A側とB側の)バランスを欠いていても、そこで生まれた文化・芸術(浮世絵など)は、やがて西洋に影響を及ぼすまでになる。「日本語的発想」のユニークさ、奥深さには興味が尽きない。これからもいろいろと見ていこう。徳川時代の出版物について書いた「江戸時代のベストセラー」の項も参照していただきたい。

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posted by 茂木賛 at 12:04 | Permalink | Comment(0) | アート&レジャー

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