夜間飛行

茂木賛からスモールビジネスを目指す人への熱いメッセージ


クラフトビールの研究 III

2016年12月20日 [ 起業論 ]@sanmotegiをフォローする

 『究極にうまいクラフトビールを作る』永井隆著(新潮社)という本を読んだ。副題に“キリンビール「異端児」たちの挑戦”とある。本帯裏表紙にある紹介文を引用しよう。

(引用開始)

クラフトビールの聖地「スプリングバレーブルワリー」はこうして代官山に誕生した

大量生産に背を向けた型破りの挑戦は、最悪の業績にあえぐ巨大メーカーの片隅で始まった。個人の嗜好に合わせたビールを、つくったその場で飲んでもらう店を出す!ビールこそ最高の酒と信じる者たちが始めたプロジェクトは、やがて最先端のクラフト専門店として結実する。開店以来超満員の続く店の奇跡を描く最高のビジネス・ノンフィクション。

(引用終了)

私もときどき行くが代官山店は天井が高く気持ちの良い空間だ。

 このブログでは、21世紀の潮流としての「モノコト・シフト」に特徴的な、“「皆と同じ」から「それぞれのこだわり」へ”というトレンドに関して、クラフトビールの流行を追いかけてきた。

ビール経済学
クラフトビールの研究
クラフトビールの研究 II

この本もそういう中の一冊として紹介したい。

(引用開始)

 日本を筆頭に先進国はどこも、少子高齢化が進む。市場はどうしても小さくなっていく。「一番搾り」や「スーパードライ」といったナショナルブランドがなくなることは当分ないだろう。しかし、大量生産を前提としたものづくりは、いずれ限界が来るのではないか。社会のあり方が大量生産とは合わなくなってきているのだから。メーカーは新しい価値に通じるものづくりを創造していくべきだろう。一つの切り口は、「地域」ではないか。ワインやチーズなどの一部は、商品の規模は小さくとも、地域を切り口に人気を博している。バイクにしても、イタリアの中小メーカーはクラフト的なものづくりで生き残っているじゃないか。経済がグローバル化していくほど、個性的なモノが求められるはずだ――。

(引用終了)
<同書 45−46ページ>

和田徹氏(スプリングバレーブルワリー代表)の考えだという。

 この本は、キリンビールという大手が立ち上げたクラフトビールということで、企業内起業プロセスを覗くという面白さもある。企業内起業の成功と失敗については、以前「カーブアウト」、「カーブアウトII」の両項で論じたことがある。「カーブアウト III」では出口戦略について書いた。併せてお読みいただきたい。

 最後に新聞の書評も載せておこう。

(引用開始)

巨大設備で単品製造されるビール。規模をいかす生産が一般的だが、本書はその正反対の小規模、多品種少量に挑戦したキリンビールの異端児たちの奮闘記だ。当然、社内では衝突が起きるが突き詰めればキリンが目指している、うまいビール造りの「あるべき姿」に集約されて、彼らは次第に理解を得る。社内に“よい化学反応”を起こし、組織が活性化していく過程の描写は心地いい。

(引用終了)
<日経新聞 12/4/2016>

 このブログを始めた2007年の暮れ、その初稿「スモールビジネスの時代」の中で、これから産業界を牽引するのは、フレキシブルで判断が早く、地域に密着したスモールビジネスだろうと書いた。9年後の今、それがビール業界でも形となって現れてきたわけだ。頼もしいと思う。開始から9年、このブログもそろそろ役割を終えたようだ。私も次のステージへ進もうと思う。

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posted by 茂木賛 at 11:06 | Permalink | Comment(0) | 起業論

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