前回「鳥瞰的な視野の大切さ」の項で、先のアメリカの大統領選挙に触れ、このブログで提唱している複眼主義の対比、
A Resource Planning−英語的発想−主格中心
a 脳(大脳新皮質)の働き−「公(Public)」−「都市」
A 男性性=「空間重視」「所有原理」
B Process Technology−日本語的発想−環境中心
b 身体(大脳旧皮質及び脳幹)の働き−「私(Private)」−「自然」
B 女性性=「時間重視」「関係原理」
を基に、
(引用開始)
トランプ大統領はビジネスライクにA側の仕事をこなしてゆくことだろう。そのとき日本のアメリカとの政治交渉は、B側に偏った日本的発想の政治家たちでは歯が立たない。水戸岡氏のような、A側の大切さが解り尚且つBの重要性に気付いている人が、日本stateに必要となってくるに違いない。
(引用終了)
と書いたが、ここで、日本stateの代表にどのような人が相応しいか考えてみたい。「プライムアーティストしての天皇」の項で紹介した『天皇と憲法』島田裕巳著(朝日新書)でいう「日本の大統領」にどのような人が相応しいのか。
以前『百花深処』<日本の戦後の父性不在>の項で、日本国の権力者が米軍に従属する道を選んだ理由を、
(1) 環境中心の考え方
(2) 優秀な人材は経済復興に
(3) 認知の歪み
(4) ヤンキー化
(5) 老人の隠居
(6) 国家理念の不在
と纏めたが、父性の復活を果たす(この六項目を一つずつ引っ繰り返してゆく)には、第一に、(1)の環境中心の考え方=B側の発想から脱却し、A側の発想ができる人が必要である。これは議論の余地がないと思う。
このブログで最近取り上げた、
黒川伊保子さん(「脳と身体 II」)
竹村公太郎氏(「中小水力発電」)
島田裕巳氏(「プライムアーティストしての天皇」)
伊東豊雄氏(「みんなの家 II」)
西原克哉氏(「重力進化学 II」)
の各氏は、水戸岡氏(「物事の繋がりの重要性」)同様、AとBのバランスを心得た有能な人々だろう。
思考実験として、日本の大統領にいかなる人が相応しいかを、この6名の中で考えてみる。先日「女性による父性代行」の項で、『さいはてにて やさしい香りと待ちながら』(チャン・ショウチョン監督)という映画を紹介し、
(引用開始)
<日本の戦後の父性不在>の問題は、女性による父性代行によって補われ得る。そのことをこのラストは示唆しているように思えた。
(引用終了)
と書いたが、これをヒントに、私は黒川伊保子さんに注目したい。
黒川さんは女性だからB側の発想については自家薬籠の中の物。尚且つA側の発想ができる。日本はもともと女性性が強い。外国も日本の強さをそこに見ている筈。とすれば、女性でA側の発想ができる人、そういう人が日本の大統領として一番相応しいのではあるまいか。いかがだろう。
勿論、実際の大統領には、女性でA側の発想ができる人というだけではなく、それ以外の様々な資質、見識、能力他が求められるから、最適な人がいまの日本に居るかどうかわからないけれど。
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