このブログでは、21世紀はモノコト・シフトの時代だと書いている。モノコト・シフトとは、「“モノからコトへ”のパラダイム・シフト」の略で、二十世紀の大量生産システムと人の過剰な財欲による「行き過ぎた資本主義」への反省として、また、科学の還元主義的思考による「モノ信仰」の行き詰まりに対する新しい枠組みとして生まれた、(動きの見えないモノよりも)動きのあるコトを大切にする生き方、考え方への関心の高まりを指す。
「モノコト・シフトの研究」
「モノコト・シフトの研究 II」
「モノコト・シフトの研究 III」
モノコト・シフトは、地球規模のパラダイム・シフトではあるけれど、国や地域によってその進展は斑模様だし、同じ国や地域でも社会階層によって進み具合は異なる。一般的にいって先進国や先進地域ほど浸透が早いようだ。
モノコト・シフトは、人々のbehavior(ふるまい)の表層から思考の深層にまで及ぶパラダイム・シフトである。
表層的には、「クラフトビールの研究」の項で述べたような“「皆と同じ」から「それぞれのこだわり」へ”といったトレンドとして、あるいは「“モノ”余りの時代」の項で書いたような「モノ経済」bの余剰として、さらには「熱狂の時代」の項で述べた、イベントへの熱狂として観察できる。
深層的には、「重力進化学 II」や「時間と空間」の項で紹介した「質量のないエネルギー(光・熱・重力)」の重要性に対する気付きとして、あるいは「共生の思想」の項などで述べた、エピジェネティクス研究の深化としてある。
ふるまいの表層が思考に影響を与えることもあるが、思考がふるまいに影響を及ぼすことの方が普通だから、エピジェネティクスや「質量のないエネルギー」の重要性に対する気付きが、モノコト・シフトの本質を成すと言ってよいと思う。
思考から、自己の身体や自分がいる場所の力を外さないこと。対象を数としてではなくエネルギーとして捉えること。さまざまなコトを通してそのエネルギーを感じること。そういうモノコト・シフトの本質を理解した人が、これからのビジネスをリードしてゆく筈だ。
事象は固有時空層を成してすべて繋がっている。モノ(物質)に対しても、人はその中に潜むエネルギーを感じ取ろうとするだろう。効率よりも効用。近代以前、人々はずっとそうしてきた。日本人の「もったいない精神」もそういう気持ちの表れだ。しかし近代以降、とくに二十世紀の大量生産システムが世の中を席巻して以来、人はモノの効用よりも利用効率を優先するようになった。モノコト・シフトが進む地域・階層では、人は効率よりもまた効用を優先するようになるに違いない。
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