夜間飛行

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みんなの家 II

2016年11月01日 [ 街づくり ]@sanmotegiをフォローする

 以前「みんなの家」の項で、建築家伊東豊雄氏の『あの日からの建築』(集英社新書)という本を紹介したが、最近、その続編ともいえる『「建築」で日本を変える』伊東豊雄著(集英社新書)が出た。まずカバー表紙裏の紹介文を引用しよう。

(引用開始)

グローバル経済に席巻され経済合理主義ばかりを追求した東京などの都市の建築は、町並みを無機的で均質な風景に変えてしまった。そこでは、地域独自の歴史文化や自然とのつながりは失われている。著者は近代主義的な建築に限界を見出し、地方にこそ人と人をつなぐ、自然環境と調和した新たな建築の可能性があると考えている。岐阜県「みんなの森 ぎふメディアコスモス」や愛媛県「大三島プロジェクト」といった著者の最近の建築プロジェクトの紹介を通し、脱成長の時代の新たな建築のあり方を提案する。

(引用終了)

 前著が出版されたのは2012年10月だから4年ぶりの新著だが、その間著者はどこでどのような活動を行ってきたのか。新聞の書評を引用したい。

(引用開始)

 東日本大震災以後、日本の建築が変わりつつある。「建築」という存在を、単体の建築物から、それが拠って立つ地域やコミュニティ、あるいは竣工前後の市民ワークショップやイベント活動までを含みこむ、より広く大きなものとして再定義する潮流が生まれている。平たく言えば、建築の「社会性」を問い直すこと。この流れは日本に限らず、世界各地の建築に同時多発的に現れている。
 伊東豊雄は、こうした近年の建築の思想をめぐる潮目の変化を体現する建築家だ。震災を契機に、被災地の復興計画や小さな集会所の設計等、それまでの作風とは打って変わる社会的プロジェクトの実践の方へ、大きく舵を切った。
 本書は、そんな伊東が現在、岐阜、愛媛、長野、茨城で進めている四つのプロジェクトを紹介する。共通するのは地方というフィールドだ。「都市を向いた建築の時代は終わった」と宣言する伊東は、人と密に交流しながら、その場に固有の文化や自然環境と調和した建築をつくる可能性が残る地方にこそ、建築の未来があると言う。とりわけ愛媛・大三島での活動が興味深い。美術館の設計に始まり、私塾の塾生や外国人学生との調査研究、空き家の保存活用、果てはワイナリーの創業まで。従来の建築家の職能を飛び越える様々な活動を通じて、地域に貢献する建築の在り方が模索されている。(評者 市川絋司=建築史家)

(引用終了)
<東京新聞 10/9/2016(フリガナ省略)>

このブログでは、「地方の時代」「地方の時代 II」「里山システムと国づくり」「地方の時代 III」の項などで、地方の重要性や可能性に言及してきたが、本書はそれを建築家の視点から論じたものとなっている。

 伊東氏はこの本で、建築を「人びとを繋ぎ、新しい何かを生む場所や空間にかたちを与えていくこと」(141ページ)と定義する。

(引用開始)

 今、私が目指している建築は、近代主義が切り離してしまった建築と人びとの距離を縮めること、いや一般の人たちの手に建築を取り戻すことです。そのことが、建築に自然を回復させ、地域性や歴史文化を継承させ、コミュニティを再生させることに繋がると考えています。
 建築は日々の生活のリアリティを実感できる場でなければなりません。建築家だけでない、つくる人も、暮らす人も、活動する人も、みんなが建築に関わってこそ、建築は生き生きとした生命を宿すことができるのです。

(引用終了)
<同書 194−195ページ> 

時間が止まった「モノ」よりも、「コト」の起こる場の力を大切に考える「モノコト・シフト」の時代に相応しい建築論だと思う。

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posted by 茂木賛 at 13:15 | Permalink | Comment(0) | 街づくり

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