夜間飛行

茂木賛からスモールビジネスを目指す人への熱いメッセージ


人を褒めるということ

2008年08月07日 [ 生産と消費論 ]@sanmotegiをフォローする

 少し前の新聞に、『「称賛=精神的励み」研究で裏づけ』という記事があった。短いコラムなので全文引用しよう。

 『自然科学研究機構生理学研究所(愛知県岡崎市)の定藤規弘教授の研究チームが、他人から褒められると、ヒトの脳は現金を受け取った場合と同じ部位が活性化するという研究結果を発表した。
 ロイター通信によると、十九人の健康な男女を対象に、カードゲームで勝って賞金を得たときと他人から褒められたときの脳の反応を、それぞれ特殊な磁気共鳴画像装置(MRI)で撮影して比較した。
 研究チームは、今回の研究結果は、称賛はヒトに精神的な励みを与えるという長年の仮説を科学的に裏付けるものだとしている。
 研究の結果は、米科学誌「ニューロン」に掲載された。』(5/13/08「東京新聞」より)

 「生産が先か消費が先か」で述べたように、人生の目的が消費(自分のための行為)ではなく生産(他人のための行為)であってみれば、人の脳には、その生産行為に対して、本能的に喜びを感ずる仕組みが備わっている筈だ。相手から受ける称賛は、その行為が本当に相手のためになったことの証であり、称賛が現金を受け取ることと同様な効果を生むというこの研究結果は、その本能を証明するものだと思われる。

 また、以前「生産と消費の分離・断絶」の中で、『「通貨価値」なるものをいったん外して考えれば、ある人の「生産」が別のある人の「消費」であり、ある人の「消費」が別の或る人の「生産」なのだから、社会における「生産」と「消費」の価値総和は、互いに見合っている筈なのである。』と書いたけれど、称賛が現金を受け取ることと同様な効果を生むということは、報酬が金銭の多寡に関わらないということであり、「生産と消費の等価性」を示唆するものでもある。

 「生産と消費の等価性」については、以前、アフォーダンス理論の重要な点のひとつとしても触れた。

 『二つ目は、環境と知覚とが、運動を通して表裏一体とされる点である。私の「生産と消費論」では、生産と消費はコインの裏表のようなものなのだが、それは、(アフォーダンス理論で)環境と知覚とが表裏一体とされるのと同じ構造のように思われる。「集合名詞(collective noun)の罠」では、これを「生産と消費との相補性」と呼んだ。
 表裏一体ということは、お互いの交換価値が等しいということである。私はこの価値等価性を「通貨とは異なる価値基準の鼎立」として、さらに展開・深化できないものかと考えている。これまでの経済理論では、生産と消費とは別々の場面で、それぞれ異なった動機で行われ、その価値は通貨という客観的な価値基準で決まるとされている。このようなアフォーダンス理論の経済学への適用は、まだあまりなされていないのではないだろうか。』(「アフォーダンスについて」)

 定藤規弘教授チームの研究結果は、単に「称賛はヒトに精神的な励みを与えるという長年の仮説を科学的に裏付ける」だけではなく、最近の「行動経済学」や「神経経済学」が対象とする、人の「利他的行動」のルーツに迫るものだと思う。今後もこの分野の研究に注目してゆきたい。

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posted by 茂木賛 at 13:45 | Permalink | Comment(0) | 生産と消費論

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