夜間飛行

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日本流ディベート

2016年06月14日 [ 公と私論 ]@sanmotegiをフォローする

 今回は『和の国富論』藻谷浩介著(新潮社)にある「日本流ディベート」という言葉を紹介したい。この言葉は、<第四章:「崩壊学級」でリーダーが育つ……菊池省三(元小学校教師)>の中に出てくる。少し長くなるがその対話部分を引用する。

(引用開始)

藻谷 もう一つ、菊池先生の授業で素晴らしいと思ったのは、ディベートです。
菊池 そう言ってもらえるのは嬉しいです。二十年近く前から始めたんですが、当時はまだ「一斉指導がすべて」「授業は知識を教えるもの」という古い授業感の時代でしたから、すっかりお偉方の先生から睨まれてしまって……周りの教師仲間も離れていき、あの頃はかなり苦しい思いをしました。
藻谷 きっと「小学生に“言い争い”をさせるなんて、とんでもない」とか、訳の分からん批判をする人がいたんでしょう。でも、ディベートは世界に出て行くビジネスパーソンになるためには必須のスキルです。もちろん、義務教育で世界に通じるビジネスパーソンを育てる必要はないいだけど……。
菊池 いや、ディベートはやり方がまずいとトラブルになりかねないので、事前にルールを丁寧に説明します。ディベートと言うと、アメリカ型のガチガチの討論をイメージしてしまうかもしれませんが、私の授業では、相手のプライドを叩き潰すような議論はルール違反。互いの価値観を尊重しながら堂々と意見をぶつけ合う“日本流ディベート”をやろうとしています。
藻谷 そこが素晴らしいと思ったポイントです。自動車でも料理でも、西洋のものが日本に入ってくると、マイルドで優しく、かつ汎用性が高い形にモディファイされて、それがまた西洋社会に還元されていく。特に日本に限らずアジアでのビジネスでは、相手のメンツを立てつつ、かつ言うべきことは言って、互いが折り合う地点を見つけていくという能力が極めて重要になりますから、今後、菊池先生の日本流ディベートの教育はどんどん世界に広がっていくべきではないでしょうか。
菊池 ただ、ディベートを授業に取り入れるためにいろいろ勉強したのですが、やはり個が自立している西洋社会に比べると、日本はまだ「群れ」社会だと思いました。「群れ」の外にいる人とのコミュニケーション力がとても弱い。(中略)だから、お互いを知り合い、「安心できる集団」と「自分への自信」を育むため、私の学級では「ほめ言葉シャワー」をやるんです。帰りのホームルームで、その日の日直がみなの前に立ち、クラスの子たちが思い思いに挙手して、その子のいいところを見つけて、とにかく褒めまくる。褒めるためには、その子に関心を抱いてよく観察しないといけませんし、その理由を表現する力も必要です。子供は誰でも「褒められたい」という思いがあるから、そこを刺戟されると、次はもっと褒められたいとやる気が出る、この好循環を生み出すためには、それなりの方法論が必要ですが、「ほめ言葉シャワー」をうまく回せるようになれば、集団に対する安心感と、自分に対する自信が培われます。するとクラスに落ち着きが生まれ、互いに相手を尊重する雰囲気が生まれます。

(引用終了)
<同書 125−127ページ>

 以前「会話と対話」の項で、『わかりあえないことから』平田オリザ著(講談社現代新書)の「会話」と「対話」の定義、

「会話」:価値観や生活習慣なども近い親しい者同士のおしゃべり。
「対話」:あまり親しくない人同士の価値観や情報の交換。あるいは親しい人同士でも、価値観が異なるときに起こるその摺りあわせなど。

を紹介し、「複眼主義」によって、

A Resource Planning−英語的発想−主格中心
a 脳の働き(大脳新皮質主体の思考)―「公(Public)」
「対話」−社交性の重視

B Process Technology−日本語的発想−環境中心
b 身体の働き(脳幹・大脳旧皮質主体の思考)―「私(Private)」
「会話」−協調性の重視

と関連付けたことがあるが、「日本流ディベート」は、日本人が両方を上手くコントロールして成果を挙げる手法として素晴らしいと思う。

 「会話と対話」の項でも述べたが、ディベート(対話)は、「新しい家族の枠組み」8項目、

1. 家内領域と公共領域の近接
2. 家族構成員相互の理性的関係
3. 価値中心主義
4. 資質と時間による分業
5. 家族の自立性の強化
6. 社交の復活
7. 非親族への寛容
8. 大家族

とも整合するし、起業家にとってもその能力は欠かすことが出来ない。「ほめ言葉シャワー」という手法は子供だけでなく大人の間でも通用すると思う。皆さんの組織でも実践してみてはいかがだろう。

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posted by 茂木賛 at 18:42 | Permalink | Comment(0) | 公と私論

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