物事には表もあれば裏もある。「3の構造」でいえば表・奥・裏の3つだろうか。表と裏はたとえば、光と影、天と地、南側と北側などで、それ自体は価値中立的だ。しかし(奥もそうだが)裏は往々にして人の目から隠れている。都市のインフラでいえば下水やゴミ処理場など、裏は概ね人目に付かないところにある。そこで、物事の良し悪しを表と裏で表現することが起る。たとえば世間と裏世間、表の仕事と裏の仕事などなど。
複眼主義の対比、
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A Resource Planning−英語的発想−主格中心
a 脳(大脳新皮質)の働き−「公(Public)」−「都市」
A 男性性=「空間重視」「所有原理」
A、a系:デジタル回路思考主体
世界をモノ(凍結した時空)の集積体としてみる(線形科学)
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B Process Technology−日本語的発想−環境中心
b 身体(大脳旧皮質及び脳幹)の働き−「私(Private)」−「自然」
B 女性性=「時間重視」「関係原理」
B、b系:アナログ回路思考主体
世界をコト(動きのある時空)の入れ子構造としてみる(非線形科学)
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でいえば、A、Bそれぞれの行き過ぎが裏=悪しとなる。Aは過度の分析的・理知的な考え方、Bは過度の直感的・感情的な考え方が裏=悪しとなる。個体においてAとBは拮抗的だから、Aの行き過ぎはBの過小、Bの行き過ぎはAの過小となる。このバランスが上手く取れないと、人は「三つの宿痾」のどれかに陥りやすくなる。
(1)過剰な財欲と名声欲(greed)
(2)官僚主義(bureaucracy)
(3)認知の歪み(cognitive distortions)
このことはこれまでも縷々述べてきた。
物事は、片側ばかり見ていたのでは全体は掴めない。表で活躍するためにも裏を知ることが重要だ。表と裏、良し悪し、両方を均等に見ること。それはビジネスの第一歩でもあるがこれがなかなか難しい。習慣や経験、好みなどが邪魔をして見方を偏らせる。光が当る表ばかりに目が行く。縁の下の力持ちに目が届かない。話の裏が読めない。裏で蠢く共謀が見抜けない。
裏を見つけるのは分析派Aの得意技だ。直観派Bの方は裏よりも奥に気付く。日本語を母語とする人はもともとBが強い。世界の先進国を中心にAへの偏りが強かった20世紀、日本人の多くはその行き過ぎた物質主義や拝金主義に随分と感化されたけれど、国家の統治に関してはAを他人任せにしてきた。政治の裏が見えなかったからかもしれない。いや、見たくなかったのか。それが統治に関して<日本の戦後の父性不在>を生み出してきた。これからの世界はモノコト・シフトで全体にBに偏ってくるから、様々な分野で我々は先頭を走っていることになるが、政治に関しては逆にAを強化し、「アナロジー的思考法」の佐藤優氏を見習ってもっと見えない裏を知る必要がある。
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