建築士という仕事、なかでも住宅や小規模公共施設を対象とする仕事は、これからの時代を牽引する重要なスモールビジネスの一つだと思う。
「最高の建築士事務所をつくる方法」湯山重行著(エクスナレッジ)という本は、これから事務所を開こうとする建築士への丁寧なガイドブックだ。一級建築士である湯山氏ご自身の事務所設立体験を元に、独立の心構え、オフィスの立地からクライアントとの付き合い方、設計の進め方からスタッフの雇用、契約書の作り方まで、幅広く説明してあるので参考になることが多いと思う。
これまで私は、安定成長時代の産業システムとして、
1. 多品種少量生産
2. 食の地産地消
3. 資源循環
4. 新技術
の四つを挙げ(「スモールビジネスの時代」)、それぞれについて、
1. 本の出版(「本づくりとスモールビジネス」)
2. 米の高付加価値化(「食生活の変化と自給率」)
3. レアメタルのリサイクル(「レアメタル」)
4. 新技術のカーブアウト(「カーブアウト」)
などを例にとって具体的に見てきた。
当然ながら、四つの産業システムが複数関連したビジネスであれば、時代を牽引する力はより強くなる。たとえば先回の「里山ビジネス」は少なくとも、
1. 多品種少量生産(ワイナリー、野菜園)
2. 食の地産地消(ワイン、レストラン)
3. 資源循環(水、肥料など)
の三つが関連した、魅力的なビジネスモデルだ。住宅や小規模公共施設を対象とする建築士の仕事は、
1. 多品種少量生産(受注生産)
2. 資源循環(エネルギー)
3. 新技術(建材や工法など)
の三つが関連しており、これからの時代、重要度が増すに違いない。私のオフィスでも、建築士さんの起業を積極的にサポートしていきたい。
湯山氏の本は、起業の方法や、起業時点で必要になる備品のリスト、コストの概算、税金のことまで詳しく説明してあるので、建築士さんだけでなく、新しくスモールビジネスを始めようと考えているその他の皆さんにも参考になると思う。
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