先日「所有について」の項で、
(引用開始)
複眼主義によって、所有を脳の働きと身体の働きとに分けて考えてみよう。
A 脳(大脳新皮質)の働き
B 身体(大脳旧皮質+脳幹)の働き
Aにおける所有とは、都市における「法的」な所有を指し、Bにおける所有とは、何かを身につける「身体的」な付加を指す。たとえば、前者は土地や金銭の所有、後者は贅肉が付くことや衣服を纏うことだ。
(引用終了)
と書いたけれど、Aにおける所有は、“モノ”を周囲環境から切断することで成り立つ考え方である。Aの詳しい属性は、
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A Resource Planning−英語的発想−主格中心
a 脳(大脳新皮質)の働き−「公(Public)」−「都市」
A 男性性=「空間重視」「所有原理」
A、a系:デジタル回路思考主体
世界をモノ(凍結した時空)の集積体としてみる(線形科学)
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であり、こちら側の考え方にとっては、「分ける」ことが話の前提になる。「分解」「分析」「分離」「分断」「分類」「分布」「区分」などはこちら側の言葉だ。「自立」も周りからの分離独立である。ちなみにBの属性は、
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B Process Technology−日本語的発想−環境中心
b 身体(大脳旧皮質及び脳幹)の働き−「私(Private)」−「自然」
B 女性性=「時間重視」「関係原理」
B、b系:アナログ回路思考主体
世界をコト(動きのある時空)の入れ子構造としてみる(非線形科学)
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ということで、こちら側のキーワードは「連続」となろう。
“モノ”をこのように(切断して)認識するためには、もう一つ重要なファクターがある。それが「背景時空」だ。所有する“モノ”を他と区別するには、それを単体として浮かび上がらせる背景が必要になる。舞台が必要になる。理論の前提、法律の枠組み、絵画のフレーム、科学のXYZ軸などなど。
背景時空とは、あくまでも主役を際立たせるためのものだ。だからそれは「仮想」である。しかしそれがないと、人の脳(大脳新皮質)は事象(matter)を固定して客観的に認識できない。これは人工知能の「フレーム問題」とも通ずる話だ。
“コト”を所有できないのは、それが背景時空と相互作用を起こし単体として分断できないからだ。非線形科学(複雑系)でいう「バタフライ効果」は時空が連続しているから成り立つ。Bではだから「境界性」が重要ファクターとなる。アフォーダンス理論でいうところのミーデアム(空気や水などの媒体物質)とサブスタンス(土や木などの個体的物質)、そして二つが出会うところのサーフェス(表面)から成る自然界に分断はない。全ては境界で繋がっている。
Aにとっての「分断」と「背景時空」の必要性、と同時にその仮想性。Bにとっての「連続」と「境界性」。そして両者のバランスの大切さ。ここで「動詞形と名詞形」の話を想い起こすのも良いかもしれない。
以前「自分と外界との<あいだ>を設計せよ」の項で言いたかったのは、Bの世界にある我が身と、周囲環境との<境界>を、Aによって客観的に眺め分析し(自立し)、より良い影響を我が身と周囲に与え続けられるよう設計せよ、ということなのである。
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