前回に引き続きモノコト・シフトの研究を続けたい。21世紀の主流の考え方は、コト=「固有の時空」を大切に考えるということだった。ただし誤解のないように付け加えておくが、これは今後モノがなくなるという話ではない。大量生産が終わるわけでもない。その辺りについては「これからのモノづくり」の項を参照していただきたい。
複眼主義の対比も再掲しておこう。
A Resource Planning−英語的発想−主格中心
a 脳(大脳新皮質)の働き−「公(Public)」−「都市」
A 男性性=「空間重視」「所有原理」
B Process Technology−日本語的発想−環境中心
b 身体(大脳旧皮質及び脳幹)の働き−「私(Private)」−「自然」
B 女性性=「時間重視」「関係原理」
A、a系:デジタル回路思考主体
世界をモノ(凍結した時空)の集積体としてみる(線形科学)
B、b系:アナログ回路思考主体
世界をコト(動きのある時空)の入れ子構造としてみる(非線形科学)
勿論、複眼主義の要諦「どちらかというと」という但し書き付きである。
この対比からも分かるように、「固有の時空」を大切に考えるということは、事象(matter)を脳(大脳新皮質)で考えるのではなく、身体(大脳旧皮質及び脳幹)で考える、覚えるということだ。何事も、上達するにはまずそれを好きになることだという。リラックスするには温泉にでも浸かってのんびり体を休めると良い。大一番の勝負に勝つためには逆に場(固有時空)に飲まれないようにしなければならない。スポーツ選手は練習によって技を身体に憶えこませる。
脳は事象をモノ化する。身体は事象をコト化する。以前「脳腸バランス」の項で『脳はバカ、腸はかしこい』藤田紘一郎著(三五館)という本を紹介したが、脳は事象をモノ化してしまうから単純で、腸は事象をコト化するから複雑な栄養素を消化できるということなのだろう。
ここで大切なのは、身体で考える、覚える、感じる、消化するということは、自分の固有時空が、対象の固有時空と同期・共鳴するということだ。同期現象は、非線形科学の代表例である。「相転位と同期現象」、「同期現象」ほか、カテゴリ「非線形科学」の諸項をお読みいただきたい。
時空はある程度持続しなければまわりに影響を与えられない。「継続は力なり」という。それが好影響を与えるものであれば、自分の身体は健やかであり続けることができる。広々とした空間、素敵な友人、自由な環境、明るい窓、良い空気、美味しい水、華やかな香り、美しい景色などなど。それは、自律神経を通して脳にも好影響を与える。そうでなければ逆に健康を害する。脳にも悪影響を与える。そう考えると、モノコト・シフト時代、大切な固有時空には、
● ある程度持続する
● まわりに好影響を与える
といった二つの特徴を抽出することができるだろう。
当り前のことのようだが、この二つの条件を満たす“コト”はそう多くない。食排、運動、仕事、読書、恋愛、気象、我々自身とそのまわりでは無数の“コト”が日々起っている。そしてまた消滅している。そのなかで、この二つの特徴を有する時空を選んで身近に接すれば、自身が健康になり、自分もまた人や社会に好影響を与えることができるだろう。人間関係も好転するに違いない。お店の経営でも、この二つに留意すれば繁栄間違いなしの筈だ。
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