夜間飛行

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観光業について II 

2015年09月22日 [ 起業論 ]@sanmotegiをフォローする

 前回の「観光業について」の項に引き続き、これからの観光業にとって大切だと思われることを検討してみたい。前回の復習になるが、モノコト・シフト時代は、経済三層構造、

「コト経済」

a: 生命の営みそのもの
b: それ以外、人と外部との相互作用全般

「モノ経済」

a: 生活必需品
b: それ以外、商品の交通全般

「マネー経済」

a: 社会にモノを循環させる潤滑剤
b: 利潤を生み出す会計システム

において、特にa領域(生命の営み、生活必需品、モノの循環)への求心力と、「コト経済」(a、b両領域)に対する親近感が増す。観光業は「コト経済」(b領域)がベースだから、ヨーロッパなど先進諸国における、後者(「コト経済」への親近感)の増大を追い風にすべきである。「コト経済」の真価は、別の層「マネー経済」の指標では捉えきれない、むしろ、

(1)日本語(文化)のユニークさをアピールする
(2)パーソナルな人と人との繋がりをつくる
(3)街の景観を整える(庭園都市)

といったGDPに表われない部分に磨きを掛けることが大切になる、という話だった。

 21世紀は、モノコト・シフトの時代であるとともに、ユーラシア大陸の発展が期待される世紀でもある。ユーラシア大陸とは、ヨーロッパとアジアとを合わせた地形的に独立した地域を指す。最近(2015年8月に)出た『中国、アラブ、欧州が手を結びユーラシアの時代が勃興する』副島隆彦著(ビジネス社)は、これからはアメリカの時代が終わり、中国を中心としたユーラシアの時代が来ることを予言する内容の本だ。「あとがき」から一部引用しよう。

(引用開始)

 いちばん新しい中国の話題は、AIIBアジアインフラ投資銀行の設立である。そして中国政府が4月に打ち出した「一帯一路」構想は、これからの世界に向かって中国が示した大きなヴィジョンだ。ユーラシア大陸のド真ん中に、10億人の新たな需要が生まれる、中国とロシアと、アラブ世界とヨーロッパ(インドも加わる)が組んで、新たなユーラシアの時代が始まるのだ。

(引用終了)
<同書 231ページ(フリガナ省略)>

詳しくは本書をお読みいただきたいが、一帯一路の「一帯(ワンベルト)」とはユーラシア大陸を貫通する幾本もの鉄道と幹線道路のであり、「一路(ワンルート)」とは南米諸国にも繋がる世界横断航路を示しているという。規模の大きな話である。

 英国と日本は、ちょうど西と東からユーラシア大陸を挟むような位置にある。この大陸の発展を観光業の観点でみれば、西欧諸国を西の端として、中欧と北欧、中近東、インド、中国、ロシアを含む大陸全土から、多くの人が日本を訪れるということである。前回、「日本海側の魅力」の項で論じた関心事、と書いたのはこのことだ。

 今の時点では、モノコト・シフトの波を早く被った地域(先進国)と、まださざなみ程度の地域(開発途上国)の違いがあるから、ユーラシアから日本へ来る人々の多くは、単純にモノを買い求めることが興味の中心かもしれない。しかしやがてモノコト・シフトが進めば、彼らの間でも「コト経済」(b領域)への親近感が高まるに違いない。そのとき、日本が大陸と同じではつまらないではないか。だから、

(1)日本語(文化)のユニークさをアピールする
(2)パーソナルな人と人との繋がりをつくる
(3)街の景観を整える(庭園都市)

といった話になるわけだ。「日本の森」の項などで見たとおり、日本列島は南北に長く山が多い。世界のどこにも見られないような多様な森、山、海岸線が広がっている。そういう自然環境(で起る様々なコト)も訪れる人々を魅了するだろう。

 日本の歴史を振り返り、古代からのユーラシアとの接点をいろいろと探り出すのも面白いかもしれない。ユーラシア大陸の西端にある英国と組んで、二つの島国の似ているところ、違っているところを大陸の文化と関連付けて研究するのも楽しいかもしれない。

 その他の地域、南北アメリカ大陸、オセアニア、東南アジア、アフリカ大陸からの観光客に対しても、同様のことがいえる。「コト経済」の最先端を実践する国としての日本、そういう魅力が世界の人々をこの地へ引き寄せる筈だ。

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posted by 茂木賛 at 11:20 | Permalink | Comment(0) | 起業論

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