前回「統合と分散」の中で、『自らの商品・サービスが、顧客の「生産活動」もしくは「消費活動」どちらに使われるかに応じて、この「統合と分散モデル」を使った、効果的なマーケティングを編み出していくべきだと思う。』と書いたが、ビジネスによっては自らの商品・サービスが、顧客の「生産活動」と「消費活動」の両方で使われるケースもあると思う。
たとえば例として、街中の「レストラン・カフェ」の場合を考えてみよう。顧客は商談などの「生産活動」にカフェを使うだろうし、食事などの「消費活動」にはレストランの方を主に使うだろう。こういう場合、マーケティングではどのような手法を用いればよいのだろうか。
私ならば、まず店を大きく二つのセクションに分けるだろう。そして「カフェ」の部分は、顧客の「生産活動」(商談や仕事など)に使いやすいような明るい店作りにし、「レストラン」の部分は、顧客がリラックスできるような店作りを行うだろう。可能であれば営業時間も分ける。
その上で、「カフェ」の方では、インターネットの使用、会員制度・ニュースレターの発行、顧客の意見を参考にしたメニュー開発、顧客の回転が低いことを見越した高めの価格設定などを積極的に行っていく。一方の「レストラン」では、分かりやすいメニューの作成、料理の質を落とさない範囲での低めの価格設定などを心がけ、顧客の生産活動を知る努力をしながら、リピーターを増やすための各種施策を行う。勿論、食材・接客の品質を高く保つことは大前提だ。
その上でさらに、二つが同じ場所にあることを活かした、何らかのクロスマーケティング、たとえば、カフェ会員へのレストラン招待、などを試みるだろう。二つのセクションの特徴を出した名刺(裏表利用)作成なども行っていく。
「携帯電話」などのように、(サービスではなく)商品が、顧客の「生産活動」と「消費活動」の両方で使われるケースはどうか。スモールビジネスで「携帯電話」を作ることはないだろうが、思考実験として考えてみよう。
今の携帯各社は、世代別・男女別中心のマーケティング戦略のようだが、私ならばやはり、レストラン・カフェの場合同様、まず大きく二つの商品カテゴリーに分ける。たとえば二つを「お仕事携帯」、「お遊び携帯」と呼ぼう。それぞれに対して「統合と分散モデル」に沿ったサービスを展開する。その上でさらに、二つが同じブランドであることを活かした、クロスマーケティングを試みるだろう。
「お仕事携帯」と「お遊び携帯」とに分けた機能・デザイン設計、それぞれに向けた(顧客の生産活動に注目した)ソフト開発などを行えば、提供する価値を明確にすることが出来るし、そもそもユーザーにとって、使って楽しい商品が出来上がると思うがいかがだろう。
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