以前「理性と感性」のなかで、『仕事をしている人、「生産」をしている人は、頭を使い、物事を理論的につめながら、いろいろな事柄を「統合」の方向に持っていこうとしている。一方、自分の為になにかをしている人、「消費」をしている人の多くは、心を解き放ち、物事を感覚的に捉え、ものごとを「分散」させて楽しんでいる。』と書いたが、この「統合と分散モデル」は、企業のマーケティングにおいても大いに役立つ考え方だと思う。
どういうことかというと、人は、生産および消費活動それぞれの現場で、様々な道具(商品)やサポート(サービス)を必要とするわけだが、統合・集中の原理の下にある「生産活動」と、分散原理の下にある「消費活動」とでは、使う道具(商品)・サポート(サービス)の目的用途が180度異なり、それに応じて、商品・サービスを提供する側のマーケティング戦略もまた、180度違うということである。
雑誌「選択」(2/08号)は、家庭へのコンテンツ配信に関連した記事のなかで、テレビとパソコンの用途の違いを巡って、『CATVを世界展開する米リバティー・グループの総師であるジョン・マローンはかつてメディアにこう答えている。「パソコンを前にした人間と、テレビを前にした人間は決定的に違う。テレビは受動的なメディアで、パソコンのようにそれを能動的に使うひとは少ない。両方の種族を区別しなければ失敗するだろう」。たしかにテレビはソファにもたれて何も考えずにコンテンツを観賞するのにふさわしい。テレビをパソコンのように使って映像配信を検索したり、動画コンテンツを探したりする層がどれだけいるのかはわからない。』(87ページ)と指摘している。主に「生産活動」で使用されるパソコンと、もっぱら「消費活動」で使われるテレビとでは、マーケティング戦略やコンテンツ配信戦略が異なって当然なのだ。
スモールビジネスでも、例えばオフィス街にある文具店と指圧やヒーリング・サービスの店を考えてみれば、前者は顧客の「生産活動」に利用されるのに対して、後者はもっぱら「消費活動」として利用される訳で、顧客とのコミュニケーションから店舗のデザインまで、まったく異なった戦略が求められる。
文具店は、顧客の用途別に多用な品揃えが必要であり、詳細な顧客履歴システム、配送サービス、新しい商品の紹介などが役に立つだろう。一方の指圧やヒーリング・サービスは、顧客の気持を開放する店作りがまず大切だ。リピーターを増やすためのポイント提供、近隣レストランなどとのタイアップなども有効だろう。
「人の生産活動に注目するということ」のなかで私は、『人の「消費活動」は、その人にとって、次の「生産活動」のための準備であることが分かる。ある商品(あるいはサービス)の購入は、それを買ったお客様にとって、次の自分の生産活動に役立てるためなのだ。』とし、『結果としての「消費」だけを見ているのでは、相手が次に何を「生産」しようとしているのか分からない。そのお客様は何のためにその商品を買ったのかということ、すなわち、そのお客様の仕事(生産活動)を知り、引き続きそのお客様の生産活動をサポートする姿勢が求められるのだ。』と書いた。
これからのスモールビジネスは、顧客の「生産活動」に注目すると同時に、自らの商品・サービスが、顧客の「生産活動」もしくは「消費活動」どちらに使われるかに応じて、この「統合と分散モデル」を使った、効果的なマーケティングを編み出していって欲しい。
この記事へのコメント
確かに・・・私の頭ではちょっとついていけないような感じ(笑)
私のブログは、お恥ずかしくてお見せ出来ません!!
少しでも理解出来るように勉強いたします!!
コメント有難うございます。
確かに私のブログは内容がちょっと難しすぎますね。
書き方もあまり親切で無いかもしれません。
もうすこし噛み砕いた書き方を心がけていきたいと思います。
よろしければ是非岩澤さんのブログも紹介してください。
今後ともよろしくお願いします。
茂木
6/5/08
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