夜間飛行

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日本海側の魅力

2015年07月14日 [ 起業論 ]@sanmotegiをフォローする

 先日青森の奥入瀬へ旅行したついでに、津軽まで足を伸ばしてその先の日本海を見てきた。今回は日本海側について書いてみたい。

 最近日本海や日本海側について書いた本が多い。北陸新幹線開通の影響かもしれないが、それ以上に、モノコト・シフトの時代、人々の関心が大量生産時代に発展した太平洋側から、発展の遅れた日本海側へ向いてきているせいではないだろうか。

 モノコト・シフトとは、「“モノからコトへ”のパラダイム・シフト」の略で、二十世紀の大量生産システムと人の過剰な財欲による「行き過ぎた資本主義」への反省として、また、科学の還元主義的思考による「モノ信仰」の行き詰まりに対する新しい枠組みとして生まれた、(動きの見えないモノよりも)動きのあるコトを大切にする生き方、考え方への関心の高まりを指す。

 発展が遅れると(それでもなんとか持ちこたえていると)一周遅れで時代の先端に立つことがある。日本海側もその一例に違いない。こちら側にはまだ自然が多く残されている。

 日本海や日本海側について書かれた本のうち目に留まったものをざっと挙げるだけで、

『裏が、幸せ。』酒井順子著(小学館、3/2/2015)
『北陸から見た日本史』読売新聞北陸支局編(洋泉社、3/5/2015)
『日本海ものがたり』中野美代子著(岩波書店、4/22/2015)

がある。単行本が出たのは少し前だが最近文庫になった『奇跡のレストラン アル・ケッチャーノ』一志治夫著(文春文庫、3/10/2015)もある。これは山形の庄内平野にあるレストランの物語だ。

 私自身、青森や秋田、北陸など、最近日本海側へ行く機会が増えた。増えたというより意図的に日本海側への旅を増やしているというべきかもしれない。まあ、京都や奈良、四国や瀬戸内海、長野や福島、北海道などへも行っているから実際の比率はそうでもないかもしれないが、気持ちの上で日本海側への旅は格別なものがある。『裏が、幸せ。』の書評を引用しよう。

(引用開始)

日本海側から価値の転回迫る

 近代日本は国民国家として統合されると同時に「表」と「裏」の分断を経験した。重工業中心の国土開発から取り残されがちだった日本海側、いわゆる裏日本は雪に閉ざされる冬の厳しさもあり、過疎化を深めた地域も多い。
 しかし、そんな日本海沿岸を旅行して現地の人々と交わり、それぞれの地に縁のある人物の生きざまや文学作品に触れた著者は、改めて「裏」の魅力に惹かれ始める。
 それは弱者に同情する「判官びいき」ではない。たとえば輪島塗の漆器には暗さの中でこそ浮かび上がる美がある。光よりも陰翳を味わおうとするその感性は、輝かしい未来を無邪気に夢見た経済成長を終え、限りある条件の中での成熟を目指すことにあるこれからの日本に必要なものだろうと著者は指適する。
 折しも北陸新幹線開通とタイミングが一致。親しみやすい文体も相まって観光指南書として楽しく読めるが、実は価値観の本質的な転回を迫る野心的な一冊でもある。武田徹(評論家)

(引用終了)
<朝日新聞 4/12/2015(フリガナ省略)>

本の帯には、<これからの日本で輝くのは「控えめだけれど、豊かで強靭な」日本海側です。>とある。開発が遅れた日本海側は起業チャンスとして、将来有望だと思う。

 この本でも紹介されているけれど、雑誌『自遊人』の編集部は、新潟にある(東京から新潟に移した)という。このブログでは「心ここに在らずの大人たち」「フルサトをつくる若者たち」「限界集落は将来有望」「高度成長という幻想」などの項で、これからは「地方の時代」だと述べてきた。雑誌『ソトコト』が最近「地方で起業するローカルベンチャー」という特集を組んだ(7/2015号)のもその表れだろう。中でも「日本海側」は、これから発展が期待されるユーラシア大陸への玄関口でもある。だからそれを視野に入れた発想のビジネスも展開できる。

 私にとって日本海側への旅が格別な理由がもう一つある。それは古代史に関わる関心事で、日本列島への文化の流入ルートとしていわゆる「時計回り」、シベリアから北海道をへて東北、北陸へと伝わった筈のヒトとモノのトレースに興味を持っている。今回青森では三内丸山遺跡も見てきた。

 ビジネス的な関心と古代史的な興味、それがあるからこれからも日本海側への旅を続けようと思う。尚、金沢のことは「金沢の魅力」の項をどうぞお読み下さい。

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posted by 茂木賛 at 13:20 | Permalink | Comment(0) | 起業論

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