以前「スモールビジネスの時代」の中で、安定成長時代を支える産業システムの一つは「資源循環」であると書いた。地球資源として貴重でありながら、携帯電話端末などに使われて産業のビタミンともいわれる「レアメタル」に関するデータを集めてみよう。
携帯電話の回路版に使われている主なレアメタル
ネオジウム(振動モーター)
パラジウム(キャパシタ)
インジウム(液晶)
タンタル(タンタル・キャパシター)
アンチモン(プラスチック)
ニッケル(石英振動子など)
クロム(コンタクト・ブレーカー・ポイント)
携帯電話端末にはこれら以外にも多くの金属が使われている。出典は「メタル・ウォーズ」谷口正次著(東洋経済新報社)より。さて次に、それらレアメタルの生産国を調べてみる。
レアメタルの鉱石生産比率トップ
ネオジウム:中国(93%)
パラジウム:南ア(41%)
インジウム:中国(35%)
タンタル: オーストラリア(63%)
アンチモン:中国(89%)
ニッケル: ロシア(23%)
クロム: 南ア(47%)
出典は同じく「メタル・ウォーズ」谷口正次著(東洋経済新報社)から。鉱石生産比率で見ると、これらのレアメタルが、中国や南アなどの国々に偏在していることが分かる。原材料の安定供給が不安視される理由である。
では、「資源循環」の視点から、携帯電話に使われているレアメタルや他の金属で、日本に蓄積されリサイクルの対象となるものの量をみてみよう。
主な金属の国内蓄積量(世界埋蔵量に対する比率)
インジウム:61%
銀: 22%
アンチモン:19%
金: 16%
スズ: 11%
タンタル: 10%
鉛: 10%
出典は、独立法人物質・材料研究機構(平成20年1月11日発表資料)より。すなわち、携帯電話端末で使われるインジウム、アンチモン、タンタルなどのレアメタル、金や銀などその他の金属においても、資源循環を安価に行うことさえできれば、日本はすでに世界有数の資源国なのである。
これから携帯電話端末のデザインはもっと省資源化が進むだろうが、捨てられる材料が循環されれば環境にはプラスになる。この観点からすると、先端技術を使ったスモールビジネスとして適しているのは、それらレアメタルやその他金属のリサイクル事業の筈だ。
先日テレビ番組で紹介されたティーエムシー株式会社という企業は、まさに先端技術を使って、レアメタルや希少金属のリサイクルを行う、本社社員数37名のスモールビジネスだ。
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