『隠された神々』吉野裕子著(河出文庫・2014年11月)
『日本人の死生観』吉野裕子著(河出文庫・2015年3月)
『内臓とこころ』三木成夫著(河出文庫・2013年3月)
『生命とリズム』三木成夫著(河出文庫・2013年12月)
の四冊を紹介したわけだが、吉野民俗学も三木生命学も21世紀に復活すべき地味だが重要な学説だと思う。
この昭和期に活躍した二人の学者(三木成夫1925−1987、吉野裕子1916−2008)の仕事は一見かけ離れているように見えるけれど、吉野民俗学の、日本の古代信仰は「母なる自然(母胎)を中心とした同心円的世界観を持っていた」という指適、三木生命学の「人体構造は体壁系と内臓系の双極性を持つ」という知見とそこから発展した西原重力進化学、これらは複眼主義の定立にとても役立つこととなった。
西原重力進化学の交感神経と副交感神経系、三木生命形態学の体壁系と内臓系、この二つの対極性から生まれたのが、反重力美学(交感神経)と郷愁的美学(副交感神経)、男性性(体壁系)と女性性(内臓系)の四つの組合せによって美意識を分類する「複眼主義美学」である。

古代信仰から連綿と続く、日本人の「自然に偏した意識構造」を組み込んだ複眼主義美学の成果は、<宇宙的郷愁とは何か>などとして、最近、電子書籍サイト「茂木賛の世界」の『百花深処』に載せたのでお読みいただけると嬉しい。
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