ビジネスで大切なことは、いろいろなデータをいつも身近に揃えておくことである。人口や所得分布に始まって、土地の風土や資源の特色、物流コストや材料原価などなど。スモールワールドで培った人脈データもその中に入るかもしれない。
それらはいつ何処で役立つか分からないが、概ねを頭に入れておけば、意外な組み合わせから新しいビジネス・チャンスを見つけることもある。このブログでもときどき、新聞や雑誌、書籍やネットなどの中から、目を引くデータを(出典を明らかにしながら)集めてみよう。
今回は、日本の食生活の変化と、自給率の変化とを組み合わせてみる。
日本の食生活の変化
(1960年度)
米: 48.3%
畜産物: 3.7%
油脂類: 5.0%
小麦: 10.9%
魚介類: 3.8%
その他:28.7%
(2005年度)
米: 23.3%
畜産物:15.4%
油脂類:14.3%
小麦: 12.4%
魚介類: 5.3%
その他:29.3%
二つの時期を比べると、米が減って畜産物と油脂類が大きく増えている。データは「フード・マイレージ」中田哲也著(日本評論社)から。
供給熱量の自給率の変化
(1965年度)
米: 100%
畜産物: 47%
油脂類: 33%
小麦: 28%
魚介類:110%
合計: 73%
(2006年度)
米: 95%
畜産物: 17%
油脂類: 3%
小麦: 13%
魚介類: 57%
合計: 40%
自給率が軒並み低下している中、依然として米は95%と高い数値を示している。データの出典は同じく「フード・マイレージ」中田哲也著(日本評論社)。
以前「スモールビジネスの時代」の中で、安定成長時代を支える産業システムの一つは「食品の地産地消」であると書いた。物流コスト面でも食の安全面でも、これからはこの傾向がさらに進むだろう。
その観点からすると、食のスモールビジネスとして当面適しているのは、今でも自給率が高い「米」を多用した加工食品(パンなど)の筈だ。また農業においては、米の高付加価値化(発芽玄米など)が重要だろう。
米の高付加価値化については、株式会社大潟村あきたこまち生産者協会の様々な取り組みが大いに参考になる。協会代表取締役涌井徹氏の書かれた「農業は有望なビジネスである!」(東洋経済新報社)に詳しい。
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