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新書読書法(2014)

2015年01月20日 [ 読書法シリーズ ]@sanmotegiをフォローする

 前回の「文庫読書法(2014)」に引き続き、新書についても去年読んだ中で、これまでこのブログや文芸評論『百花深処』で取り上げなかったけれど印象に残ったものを幾つか紹介しておきたい。

1.Art
『「黄昏のビギン」の物語』佐藤剛著(小学館新書)

 中村八大作曲、永六輔作詞の「黄昏のビギン」は、初め(1959年)水原弘によって歌われたが、1991年にちあきなおみによってカバーされ、新たなる生命を吹きこまれた。ジャパニーズ・スタンダートとなった名曲の評伝。この本の中に「ビギン・ザ・ビギン(Begin the Beguine)」という歌のことが出てくる。多くのアーティストに歌われた曲だが、私が好きなのはジョニー・マティスによるそれ。「ミスティ(Misty)」にしても「恋のチャンス(Chances Are)」にしてもマティスの歌声は艶があって素敵だ。

2.History
『新史論/書き替えられた古代史1〜3』関裕二著(小学館新書)

 関氏の古代史については以前「時系列読書法」の項などでも触れたことがあるが、このシリーズは氏のこれまでの知見を総合した通史となっている。日本の古代史は、歴代天皇の繋がりよりも、出雲、吉備、東海、越、丹波、北九州といった各地(の豪族)の動き(対立と連携)を追っていくと分りやすいようだ。このシリーズは、図によって豪族たちの動きを見ることが出来る。1では「ヤマト建国に至る道1」、2では「ヤマト建国に至る道2」、3では「ヤマト建国をめぐる連合と対立(1)と(2)」ということで、何処と何処の豪族がどう対立、連携したかが辿りやすい。関古代史の魅力は、文献や考古学を参考にするだけでなく、ヤマトの纏向、九州の日田盆地、琵琶湖、丹波と播磨を結ぶ由良川・加古川ルートや豊岡、紀伊熊野の特徴など、地形や地理条件を大いに参考にしながら論を組み立ててゆくところだろう。


3.Natural Science
『マンガでわかる無機化学』斎藤勝裕著(SB Creative)

 イオン結合や金属結合、典型元素や遷移元素、酸性・塩基性、酸化還元反応などの基礎が分りやすい。『マンガでわかる有機化学』斎藤勝裕著(SB Creative)の姉妹編。「D/A変換とA/D変換」の項で述べたように、デジタルな原子の連なりから形としての無機物や有機物が立ち上がってくる様は、デジタル情報から(アナログ的な)意味が生成されるのと同型だと思う。原子を細分化すると原子核とその周りの電子雲というアナログ状態が観測できる。さらに細分化するとデジタルな素粒子が観測できる。宇宙構造そのものがD/A変換とA/D変換のループを成しているのだろうか。

4.Social Science
『銀座にはなぜ超高層ビルがないのか』竹沢えり子著(平凡社新書)

 著者は銀座街づくり会議・銀座デザイン協議会事務局長。街づくりに地元がどう関わるか、三越の増床、歌舞伎座竣工、六丁目再開発(現在進行中)など、銀座における具体的なプロセスを丁寧に描く。大事なことは、街の人たちによる自力運営、「全銀座会」や「銀座街づくり委員会」などの組織化、「銀座デザインルール」の文書化、専門家との契約、事務局があること、行政(中央区)との信頼関係など。その手法は他の地域でも参考になると思う。

5.Geography
『ゴッホのひまわり全点解読の旅』朽木ゆり子著(集英社新書)

 ゴッホの<ひまわり>11枚のうち、花瓶に入ったひまわりの絵は7枚。そのうちの2枚はなんと日本にある(あった)。1枚は損保ジャパン東郷青児美術館にある。100.5cm x 76.5cmという大きな絵で、左にセザンヌ「りんごとナプキン」、右にはゴーギャン「アリスカンの並木路、アルル」という作品が並べて展示してある。もう1枚は戦前関西の実業家が購入、芦屋の自宅においてあったが戦中、爆撃で焼けてしまったという。残りの5枚のうち4枚は各地の美術館にある。アムステルダム1枚、フィラデルフィア1枚、ロンドン1枚、ミュヘン1枚、しかしもう1枚は個人蔵で行方がわからない(たぶんアメリカ)という。<ひまわり>全11枚、それぞれの来歴を探る朽木さんの文章が楽しい。朽木さんはICU少林寺拳法部の先輩。よくご一緒に練習した。

 以上だが、『「黄昏のビギン」の物語』の佐藤剛氏には『上を向いて歩こう』(岩波書店)という著書もある。坂本九の歌とこの本については「上を向いて歩こう」の項で書いたことがある。佐藤氏はまた、由紀さおり&ピンク・マルティーニの『1969』という味わい深いアルバムのプロデュースも手がけておられる。そのアルバムのことなどについては「1969年」の項をお読みいただきたい。

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posted by 茂木賛 at 11:24 | Permalink | Comment(0) | 読書法シリーズ

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