夜間飛行

茂木賛からスモールビジネスを目指す人への熱いメッセージ


デジタル回路とアナログ回路

2014年10月07日 [ 非線形科学 ]@sanmotegiをフォローする

 『「無邪気な脳」で仕事をする』黒川伊保子・古森剛共著(ファーストプレス)という本を読んでいたら、「男性性と女性性」に関して、黒川さんの次のような指摘があった。

(引用開始)

黒川 そうなのです。脳のなかにはニューロン(生体細胞のなかで情報処理用に特別な分化を遂げた細胞)の連携をつかさどる軸索の長さによって、脳全体を使った直感に根ざした回路と、論理とか、空間認識をするような非常にメカニックな回路の二つが入っている。そして、誰でもその二つを使えます。前者が長い軸索の回路で、後者が短い軸索の回路です。便宜的にいえば、前者はアナログ回路で、後者はデジタル回路ということができます。
 ところで、女性と男性では脳梁の太さの違いによって、これらの回路を使う割合が異なります。女性のほうが全体回路、つまりアナログ回路のほうを頻繁に使うし、男性の場合は、どちらかといえば、短い軸索のデジタル回路をもっぱら使用して、直感に根ざした全体回路はときどき使うという特徴というか、違いがあります。

(引用終了)
<同書 44ページ>

脳には、その一部を使う論理的思考(デジタル回路)と、全体を使う直感的思考(アナログ回路)とがあり、男性性は主にデジタル回路思考、女性性は主にアナログ回路思考に表れるという指摘だ。

 複眼主義では、これまで、

A Resource Planning−英語的発想−主格中心
a 脳の働き(大脳新皮質主体の思考)−「公(Public)」
A 男性性=「空間重視」「所有原理」

B Process Technology−日本語的発想−環境中心
b 身体の働き(大脳旧皮質及び脳幹主体の思考)−「私(Private)」
B 女性性=「時間重視」「関係原理」

という対比を論じてきたが、A、a系における大脳新皮質主体の思考は、その右脳の空間認識力や左脳の論理力を局所的に突き詰めて使うという意味でデジタル回路的であり、B、b系における大脳旧皮質及び脳幹主体の思考は、脳全体を感覚的に使うという意味でアナログ回路的であるから、

A、a系:デジタル回路思考主体
B、b系:アナログ回路思考主体

という特徴をここに追加措定しても良いかもしれない。改めて言うまでもないが、複眼主義における二項対比は、「どちらかというと」ということで、冗長性を前提としつつそれぞれの特徴を強調表示している。各項目に「主体」「的」「中心」「性」といった言葉が添えてあるのはそういう意味だ。この場合、A、a系がまったく身体の働きを必要としないという意味ではなく、またB、b系がまったく大脳新皮質を使わないという意味でもない。あくまでも「特徴的には」という意味で(これらの二項対比を)理解していただきたい。

 さて、人の脳に入ってくる外部からの情報は持続的だから、女性性の脳がアナログ回路的思考を主体とするということは、その情報をそのまま直感的に(増幅・減衰)処理するということであり、それは、入力と出力とが常に1対1対応する線形的なモノ的世界よりも、1対1対応しない非線形的なコト的世界を把握するのにより力を発揮すると思われる。

 そして、男性性の脳がデジタル回路的思考を主体とするということは、外部からの持続的情報を一旦止めてA/D変換し細分化するわけだから、世界を線形的なモノの集積として分析するのにより力を発揮するに違いない。

 このことは、「二つの透明性と複眼主義」や「同期現象」の項で措定した、

A、a系:世界をモノ(凍結した時空)の空間的集積体としてみる(線形科学)
B、b系:世界をコト(動いている時空)の入れ子構造としてみる(非線形科学)

という対比と整合してくる。

 そもそも、デジタルとアナログ、線形と非線形の特徴は、

デジタル=離散的
アナログ=連続的

線形=入力と出力がリニアに対応する(「1+1=2」)
非線形=入出力がリニアに対応しない(「1+1=1」もしくは「1+1=多数」)

ということで、ふたつは別次元の話だが、人の脳が世界をどう見るかという点において、

A、a系:デジタル回路思考主体
A、a系:世界をモノ(凍結した時空)の空間的集積体としてみる(線形科学)

B、b系:アナログ回路思考主体
B、b系:世界をコト(動いている時空)の入れ子構造としてみる(非線形科学)

といった連動性が見えてくるわけだ。複眼主義の「特質を様々な角度から関連付け、発展させていくこと」という考え方の面白い一例だと思う。

 ただし、複眼主義で度々論じているように、片方を突き詰めるだけでは総合的なバランスを逸してしまう。コト(動いている時空)の解明に、デジタル回路思考も必要なことは指摘するまでもない。もともと、ゆらぎや同期といった非線形的な現象は、自然のバイナリー・システムから生まれてくるのだから。

 これからも、デジタル回路とアナログ回路、脳の両方を十全に使って、モノコト・シフト時代の様々な形象(形態と現象)を考えたい。

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posted by 茂木賛 at 09:21 | Permalink | Comment(0) | 非線形科学

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