夜間飛行

茂木賛からスモールビジネスを目指す人への熱いメッセージ


三つの宿啞

2014年07月08日 [ 公と私論 ]@sanmotegiをフォローする

 前回「21世紀の文明様式」の項で、文明を蝕む宿啞として、

(1)社会の自由を抑圧する人の過剰な財欲と名声欲
(2)それが作り出すシステムとその自己増幅を担う官僚主義
(3)官僚主義を助長する我々の認知の歪みの放置

を挙げたけれど、今回はこの三つについて敷衍したい。いろいろと考えてみても、人類にとっての宿啞(治らない病気)は、概ねこの三つに集約されるのではないだろうか。

(1) 人の過剰な財欲と名声欲(greed)

 人には五つの欲望(食欲・睡欲・排欲・財欲・名声欲)があるが、前の三つ(食欲・睡欲・排欲)は、複眼主義の対比、

A Resource Planning−英語的発想−主格中心
a 脳(大脳新皮質)の働き−「公(Public)」

B Process Technology−日本語的発想−環境中心
b 身体(大脳旧皮質及び脳幹)の働き−「私(Private)」

におけるB、b系に属し、後の二つ(財欲・名声欲)はA、a系に属している。

B、b系の時間は寿命(t = life)によって掣肘されているから、前の三つの欲望はあまり暴走することはない。しかしA、a系の時間は常に現在進行形(t = 0)だから、後者の二つは気をつけていないと果てしなく増殖する。

 この理性の利かなくなった財欲と名声欲のことを、人は昔からgreedと呼んで忌み嫌ってきた。しかしいくら忌み嫌っても増殖するものは増殖する。癌細胞のように。だから健康管理と同じくいつも早め早めに手を打たなければならないわけだ。財欲と名声欲は、(他の三欲と違って)原理的に歯止めが利かない。ここが重要なポイント。

(2) システムとその自己増幅を担う官僚主義(bureaucracy)

 富と名声を手に入れたgreedは、(悪知恵を働かせて)それを自己増幅させるためのシステムを構築する。官僚主義とは新しいことを始めないことである。言われたことだけを言われた通りにやる。その官僚たちがgreedの支配下に入り、システムの自己増幅を担うようになると、社会の自由抑圧はより強化される。そして官僚たちはシステムのおこぼれに与ることでさらに増殖する。まるでシロアリのように。

(3)認知の歪み(cognitive distortions)の放置

 認知や思考は、

<内的要因>

体全体:病気・疲労・五欲
脳(大脳新皮質)の働き領域:無知・誤解・思考の癖(くせ)
身体(大脳旧皮質・脳幹)の働き領域:感情(陽性感情と陰性感情)
−陽性感情(愛情・楽しみ・嬉しさ・幸福感・心地よさ・強気など)
−陰性感情(怒りと憎しみ・苦しみ・悲しさ・恐怖感・痛さ・弱気など)

<外的要因>

自然的要因:災害や紛争・言語や宗教・その時代のパラダイム
人工的要因:greedとbureaucracyによる騙しのテクニック各種

の影響によって、常に、

二分割思考(all-or-nothing thinking)
過度の一般化(overgeneralization)
心のフィルター(mental filter)
マイナス思考(disqualifying the positive)
結論への飛躍(jumping to conclusions)
拡大解釈と過小評価(magnification and minimization)
感性的決め付け(emotional reasoning)
教義的思考(should statements)
レッテル貼り(labeling and mislabeling)
個人化(personalization)

といった歪みを生ずるリスクを抱えている。歪みを放置しておくと、greedとbureaucracyが支配するシステムに簡単に騙されてしまう。それは周りの真っ当な人たちにとって大変迷惑なことだ。

 また、市井の人びとの犯罪の多くは、この認知や思考の歪みに根ざしている。病気や疲労、五欲、無知や誤解、紛争や宗教、陰性感情の爆発など(からくる認知・思考の歪み)による犯罪である。だから、人は常に歪みを正す努力を続けなければならない。健康のために身体の歪みを正すように。

 以上、一つひとつ見てきたが、この三つは他人事ではなく、我々一人一人の内に棲みついている宿啞である。だれでも、富と名声を得れば嬉しくなってそれを増やそうとし、面倒くさくなれば前と同じ事をやり、どこかに認知や思考の歪みを抱えている。

 冒頭述べたように、人類にとっての宿啞は、概ねこの三つに集約されると思う。さまざまな性悪説や犯罪のルーツ、環境破壊や差別の元を探っていくと、だいたいこの三つに遡ることができる。特に最後の「認知の歪み」の影響範囲は広い。

 人類の宿阿がこの三つに集約されるということは、逆に言えば、この三つさえ上手くコントロールできれば、人類の寿命は今よりももうすこし長くなるということである。カテゴリ「生産と消費論」で縷々述べてきたように、そもそも人は社会のために生まれてくる。本来、ヒトは「理性を持ち、感情を抑え、他人を敬い、優しさを持った、責任感のある、決断力に富んだ、思考能力を持つ哺乳類」なのである。この「三つの宿啞」をうまく掣肘して、これからの文明様式を、生き生きとしたアルカイック・クラシック段階に戻したいものだ。それが出来なければ、(今の西欧近代文明の影響範囲は地球規模だから)この星(地球)は早々に滅びるだろう。

 尚今回のテーマは、以前「認知の歪みとシステムの自己増幅」の項などでも述べたことがある。併せてお読みいただけると嬉しい。

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posted by 茂木賛 at 15:59 | Permalink | Comment(0) | 公と私論

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